夢中文庫

結婚前提で愛してますっ!

  • 作家あゆざき悠
  • イラスト期田
  • 販売日2018/4/24
  • 販売価格400円

他の子と同じ扱いじゃ嫌!! 「結婚前提で付き合ってください!」宮園エレナは仕事でとても頼りになりずっと憧れていた職場の先輩、瀬谷大地につい口走ってしまう。長身で芸能人顔負けのルックス、『彼女を作らない主義、体の関係だけの相手はたくさんいる』という噂もある大地をなんとか自分に振り向かせたいエレナ。どうしたらこの気持ちをわかってもらえる? 初めての恋はなかなかうまくいかない。大好きだけど迷惑になりたくない。どこまで彼の中に踏み込んでいいの? 彼の心をいつか手に入れたくて──。そうして自分の気持ちに正直にぶつかってくるエレナに、真剣な恋愛に興味を持てなかった大地も少しずつ気持ちを動かされていく。

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第一章 砕け散った恋心
 大手輸入家具チェーン店に就職した宮園(みやぞの)エレナは、入社研修後にベイエリア店に配属されて半年が経った。国内最大級の広さを誇る三階建ての店舗は一階がホームセンターと輸入食品を取り扱うスーパー、そしてフードコートが入っている。二階には組み立て家具やキットがあり、三階は大型輸入家具を販売している。
 エレナはこの三階に配属され、彼女の直属の上司であるフロアマネージャーは瀬谷(せや)大地(だいち)だ。二十六歳でマネージャーを任されるほど仕事のできる男は、誰に対しても分け隔てなく接してくれる。一七三センチという長身のエレナよりも背が高く、一八五センチはあるだろう身長と爽やかな笑顔は芸能人顔負けだ。大地ファンは多く、エレナもその一人だった。
 エレナはその憧れの先輩上司と今、二人きりで夕食を摂っている。早番だったエレナだが、雑務に追われて二時間ほど残業をして業務を終わらせた。ちょうど大地と帰りが一緒になり、食事に行こうと誘われたのだ。駅近くの居酒屋に入った二人は、ビールで乾杯した。
「宮園がビール好きだとは思わなかったよ」
 大地の言葉にエレナは少しだけバツの悪い顔をした。
「この顔立ちのせいですよね。よく言われますよ。ワインが似合うとか」
「そう言われるだろうなぁ。日本酒も好きだったりする?」
「洋食より和食が好きですし、日本酒も好きです」
 エレナは普通に答えているつもりだが、緊張して心臓が跳ねあがってしまう。大地はエレナの要望を聞きつつ、注文してくれる。
(日本人なのにエスコートが慣れているって感じ。すごく大人っぽくてかっこいい)
 エレナはそんなことを思いながら、大地と仕事の話やたわいのない話で盛り上がっているつもりだが、緊張していつもよりも心臓の音が大きく響く。
「宮園ってハーフだろ?」
「母がイタリア人で父が日本人です」
「そっか。日本育ちだって聞いているよ。それより宮園は明日、休み?」
「はい」
「夏のボーナスでベッドを買うって言ってただろ? 買った?」
「いえ、まだです。欲しいベッドはあるのですが、予算も厳しいし、何よりも大きさが」
「一人暮らしでワンルームだと、ベッドで占領されるから考えるよな」
「そうなんですよね。それでちょっと考えちゃって」
 エレナはそう言いながら、大地の部屋に興味を抱いた。
「瀬谷さんはどんな部屋ですか? 家具はうちの店のものですか?」
「さぁ? 想像に任せるよ」
 大地のことだ。きっとおしゃれな部屋に住んでいるのだろうと勝手な想像をしていた。
「瀬谷さんは明日、お休みですか?」
「俺は遅番。そろそろ帰ろうか」
 大地の言葉にエレナは頷くしかなかった。本当はもう少し彼と一緒にいたい。彼がどんな人かもっと知りたい。大地のことを少しずつ知りながら、この半年の間に彼への想いを募らせていた。
 居酒屋は大地が奢ってくれた。
「さて行こうか」
 大地に誘われるがまま、エレナは建物の中に入った。駅近くの建物はまるでマンションのようで、フロントがあるのが不思議だった。
(ここって瀬谷さんのマンション?)
 一瞬、エレナはそんなことを思ったが、部屋に入って驚いた。大きなベッドが部屋の中央にあり、ガラス張りのバスルームが見える。
「ここってホテルですか?」
「うん、気付かなかった?」
「初めてで」
「外観がラブホテルっぽくないからいいよな、ここ」
 大地はどうやらここのホテルに慣れているようだ。エレナも噂には聞いたことがある。
『瀬谷さんって彼女は作らない主義らしいよ』
 だけどセフレはたくさんいるらしい。身体だけの関係を持っている女性は多い。バイトの女子大生や契約社員、本社の女性とかたくさんの人と関係があるという噂がある。だけどこの夜の大地は一度もエレナの上司という立場を外れなかった。そのため、こんなことが起こるとは思いもしなかった。

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