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超、俺様社長とらぶれっすん

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  • 作家ひなの琴莉
  • イラストまろ
  • 販売日2015/6/24
  • 販売価格300円

「セックスはスポーツ」だと言う社長の小野瀬は、容姿がいい。財産もある。女性が放っておかない存在だ。セックスをしようと思えばいつでもできる。小野瀬にとっては24時間制のスポーツクラブのようなもの。男性経験がない詩穂だが、セックスは『愛の行為』だと信じて疑わない。詩穂は小野瀬に恋をしている。だからこそセックスは『愛の行為』だと、どうしてもわかってもらいたい。そんな思いから小野瀬を酔った勢いで説教してしまった。「じゃあさ、『愛の行為』と『スポーツ』の違いを、お前が教えてくれよ」と言われてしまい……。毒舌で超俺様の社長に、詩穂は『愛』を教えることができるのか?身長差40センチのデコボコラブストーリー。

――俺の苦しみを和らげたいと思ってんだろ?
好きな人に悲しい過去があるなら……。
悲しみを和らげてあげたい。
癒してあげたい。
なんでも願いを聞いてあげたい。
そう思ってしまうのが、女心。
――じゃあさ。お前の処女、くれない?
彼は、口元をクイッとあげて笑った。
何を言い出すのかと思えば、心臓が口から飛び出そうなほど驚くことを言った。
どうして……こんな人のことを、好きになってしまったのかな……。


詩穂(しほ)は『Idea.Store』という会社に勤務する24歳。
『Idea.Store』は、素人もプロのクリエイターも関係なく自らの得意なことをサイトにアップし、それを買いたい人が買うというオンラインストアーである。
東京の一等地にあるビルにオフィスを構えており、会社の雰囲気は明るい。
社員は8名勤めており、詩穂も皆と一緒に和気あいあいと働いている。
詩穂は会社では一番下っ端だが、最近は大事なことも任されるようになりやりがいを感じて頑張っていた。

「ほら、どんどん飲めよー。普段のウップンを晴らせ」
『Idea.Store』の社長である小野瀬(おのせ)は、我が社の社員に自ら進んでお酌をしている。
今日は月に一度行っている懇親会の日であり、会社近くの創作居酒屋の座敷席を貸しきり社員らは楽しく飲んでいた。
入社して2年――。
詩穂は、密かに小野瀬へ思いを寄せている。詩穂にとって、小野瀬は大きい人間だ。
背格好だけじゃなく、器も含めて……。
入社当時、電話対応すらろくにできなかった詩穂は、まわりの社員になかなか馴染めず、物静かな女の子だった。
会社で小野瀬と二人きりになった時にこんなことを言われた。
「お前を採用した理由、教えてやろうか?」
「……はい」
「おとなしくて自信がなさそうだからだ。俺がこいつを成長させようって思ったの」
普通であれば不採用なのに。
少し変わった感覚の人だけど、ひとりの人を大切にしようとする小野瀬の心意気に詩穂は惹かれ、この人の元で一生懸命働こうと思った。
詩穂は、落ち込んでしまった日もあまり感情を出さない。しかし、小野瀬は詩穂の些細な変化にも気がつきことあるごとに励ました。
詩穂は小野瀬のそういうところを尊敬し、どんどん好きになっていたのである。
そして、詩穂は心をだんだんと開くようになり少しずつ明るくなった。
仕事は大変だが、今は毎日が楽しい。
詩穂は、充実した毎日だからこそ、恋愛がしたいと思うようになった。
もしも叶うなら小野瀬のような素敵な人と、お付き合いしたい――。しかし、小野瀬は31歳の若き社長であり『Idea.Store』の他にも企業などへ投資をしており、大金を動かしているやり手である。
ただの平社員の自分なんかがつりあうわけがない。
それに加え、詩穂は体型にかなりコンプレックスがある。
身長148センチで体重40キロ。まるで小動物のようだ。
目の上ギリギリに作った厚めの前髪。いわゆるぱっつん。焦茶のふんわりセミロングを仕事の時は、ポニーテールにしていることが多い。
大きな潤んだ二重。小さな鼻。小さな唇。
童顔であり、胸も小さく大人の女と言う感じがしない。
大袈裟かもしれないが、このままずっと小野瀬に片思いをして、誰とも付き合うことがなく人生を終える気がしていた。
そのために楽しみといえば、恋愛小説を読んでキュンキュンすること。
もう24歳なのにこんなんでいいのかなと不安になっていた。

「ほら、チビも飲めよ」
「あ、ありがとうございます」
隣の席に座っていた詩穂は、ちらっと小野瀬を見た。
ネクタイを緩めた姿は、男性なのに色気がある。
身長188センチの長身に、よく鍛えあげられて筋肉質でスタイルのいいがっちりした体型をしている。
髪型は、髪色は明るすぎないショートで毛先を遊ばせていた。
自信がありそうな整った眉毛と、綺麗な二重。スーツがとても似合う男性だ。
小野瀬の元で働いている限り恋心は消えないだろうなと心の中で詩穂は苦笑いをした。
「だから、言ってるだろ。セックスはスポーツだって」
詩穂は、小野瀬の発言にカシスオレンジを喉に詰まらせそうになった。
そして、隣に座っている小野瀬をこっそりと睨む。
(社長ったら、またそんなこと言っている……)
なぜか飲み会では、下ネタになることが多い。
普通の会話をしていたのだが、やっぱりそっち系の話になってしまう。
詩穂は男性経験ゼロであり、下ネタは苦手だ。聞かないようにするがなんせ隣に座っているから全部聞こえてくる。
「快楽を得ることができて、いい運動になる。セックスは最高だ」
自分の言うことは正しいとの雰囲気で言った小野瀬は、ビールを流し込む。
「相手がいればいいですけど」
小野瀬の向かい側に座っている男性社員が、すねた口調で言う。
「社長~、女子からしたらドン引きですって」
女性社員のひとりが、くすくす笑いながら話に加わる。
「男はそういうのって憧れるなぁ」
ビールを片手に言っている男性社員。
若くして起業した小野瀬は、地位も財産も手に入れてきた。
容姿もいい。財産もある。女性が放っておかない存在だ。だから、セックスをしようと思えばいつでもできる環境にある。
たしかに小野瀬にとって、セックスはスポーツのようなものかもしれない。
行きたい時に行けば運動できる、24時間制のスポーツクラブのような感覚なのかなと詩穂は考える。
詩穂は小野瀬のことが好きだが、セックスに対する考えは共感できなかった。
男性経験がない詩穂だが、セックスは『愛の行為』だと信じて疑わない。
快楽も得るためにするかもしれないけれど、やっぱりそこに愛が伴っていなければ。
あまりアルコールが強くない詩穂だが、喉が乾いていたせいで一気飲みしてしまいふわふわとしてきて、いつもよりはやく酔いが回っている気がしていた。
「お互いに動きまくってする。最高のスポーツだな。セックスに愛なんて必要ない」
自慢気に話している小野瀬に、詩穂はいらっとしてしまった。
詩穂が恋をしている相手だからこそ、どうしてもわかってもらいたい。『セックスはスポーツ』という考えを変えてほしいと思っていた。
いつもそう思うけど、なかなか言えなくてじっと耐える。
(あーもう、我慢できないっ。今日こそは言ってやる!)
テーブルをばんっと叩いた。一気に視線が集まる。
小野瀬に人差し指を指すと、詩穂は顔を真っ赤にして睨んだ。
「しゃ、社長っ! セックスは愛の行為なんです! もう、いい加減に理解してください」
しんと静まり返る。
(ついつい言ってしまった。ど……どうしよう)
一瞬、呆気にとられた表情をした小野瀬だがすぐに口元をクイッとあげ、くすくすと肩を震わせて笑いだした。
「ずいぶん偉そうだな。お前は社長に向かって説教か?」
勇気を出して言ったのに真剣に聞いてくれない。悔しくて詩穂は頬を膨らませてうつむいた。
「スポーツだなんて悲しいことを言うんですもん……」
淋しげに呟いた詩穂の耳元に思い切り近づくと小野瀬は囁いた。
「じゃあさ、『愛の行為』と『スポーツ』の違いを、お前が教えてくれよ」
(わ、私が社長に教える?)
驚き発言に顔をまるで弾かれたように上げる。動揺している詩穂を見て、小野瀬は意地悪な表情を浮かべた。
そんな展開になるなど、詩穂はまったく予想していなかった。
しかし、自分の好きな人である小野瀬が、少しでも学ぼうとしてくれるなら力になりたいと詩穂は思いゆっくりと頷いた。
「わ、わかりました。そもそも社長は『愛の行為』以前に『恋愛』を学んだほうがいいと思います!」
偉そうなことを言ってマズイかと思ったが、小野瀬はビールを飲んで笑っている。
「了解しました。先生」
ふざけたような口調で言う小野瀬に、社員の皆も一緒になって「先生」と言い出した。
「先生、社長に愛を教えてあげてくださいよー」
皆にケラケラ笑われてあまりいい気分ではないが、絶対に恋愛の素晴らしさを理解してもらおうと気合を入れる詩穂だった。

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