夢中文庫

婚約者は優しい策略家─はじめてのKissは、あなたと─

hinasetomomi03_s
  • 作家雛瀬智美
  • イラスト雪乃つきみ
  • 販売日2016/11/22
  • 販売価格500円

日本有数の財閥である遠山家の令嬢・未来。お嬢様という目で見られるのがとても嫌だった未来は、親の七光りを感じさせまいと努力する日々を過ごしていた。いつしかみんなから頼られる存在になった未来が、唯一頼れる兄のような人物が、8つ上の従兄弟である悠だった。困った時には助けてくれる優しい彼──しかし、未来のある言動が悠を豹変させ、強引にキスをされる。男性の顔を見せられショックを受けた未来は、悠と距離を置いて過ごしていたが、ある日、悠との婚約の話が持ち上がる! 相手には困りそうもない外見と家柄の彼が、どうして自分を選ぶのか不思議に思った未来だったが、久しぶりに会った悠に、甘い台詞で翻弄されて……!?


 昔からお嬢様という目で見られるのがとても嫌だった。
 所詮、親の七光りによる恩恵にすぎないのだ。
 レベルは高いが、私立ではなく高校まで公立の学校に通ったものの、周囲や、同級生からもそういう目で見られるのは仕方がなかったと思う。
 日本有数の財閥である遠山(とおやま)家の令嬢であり銀行頭取を祖父に持っている。
 幼い日から、大人の目に晒され、窮屈な日々だったのも確かだ。
 友人達の中で浮きたくなくて、女の子らしいというよりさばけた性格になっていった。
 本当は、可愛らしいものや乙女チックなものを好んでいるのに。
 もちろん、勉強にも手抜きはできず、友達と遊ぶ時間もない。
 稀(まれ)に休日に家に招待しても手厚いもてなしに引かれる有様だった。
 いつも強くて頼りになると思われ、何故か女子人気は高まる一方。
 男子に好かれたいとは思っていなかったので、それは気にならなかったけれど。
 8つ上の従兄弟である宮下悠(みやしたはるか)だけは、特別だった。
 恋ではなく、兄のいない私にとって本当の兄のように感じていた。
 いつも優しく、困った時には助けてくれ守ってくれる。
 かっこよくて、頼もしい出来すぎた人。
 そう思っていた悠が、知らない顔を見せたのは中学3年の頃だっただろうか。
 無邪気に彼氏ができたと報告した時だ。
 それが、あんなことになるなんて。
『この間告白されて付き合うことになったの。彼氏ができたのよっ』
 はしゃぎすぎていた。子供だったのだ。
『……本当なのか』
『うん。3つ上の高校3年生なの。通学の電車で朝いつも会ってたんだけど、前から可愛いと思ってた。付き合ってほしいと言われて』
『それで、付き合うことにしたって?』
『……駄目なの? 私だって普通に恋したいし誰かと付き合ってみたいの。どうせ、将来は親の決めた人と結婚しなきゃならなくなるんだし』
 考えすぎると虚しくなるから、恋愛くらい自由にしたい。
 周りの子達だって恋の話で浮き足立っている。
『だから、電車通学なんて反対だったんだよ。悪い虫に引っかかりやがって』
 育ちのいい悠が乱暴な言葉を使うのに驚いた。
『は、悠には関係ないじゃないの。彼のこと知りもしないで、悪い虫とか、決めつけないで』
『……彼』
 彼という単語に、反応したらしい悠は、表情をいっぺんさせた。
 それまでも厳しい面(おもて)だったけれど、まるで知らない男の人のような態度で、ゆっくり迫ってきた。
 従兄弟であり、お兄ちゃんのように意識していたからと、中3にもなって異性の部屋に、気軽に入るべきではなかったのかもしれない。
 相手は23歳の大人であり、大学を出たばかりとは言え社会人だ。
 中学生にすぎない私と違い、立派な大人の男性だった。
 彼氏ができたことを祝ってもらえると思い込んでいたが、どうやら、そういう感じではなさそうだ。
 悠は、一瞬放心状態になった後、距離をつめてきた。
 浮かれていた気持ちが吹き飛んで、うろたえる。
「悠、ど、どうしたの」
 男の匂いがした。
 3つ上の彼氏と同じだ。
 腕を引かれるまま誘導され広いベッドに押し倒されていた。
「ん……っ」
 キス。
 話には聞いていたけど、これがキスなの?
 全然甘くもなくて、ときめきもない。
 深く絡む舌が、私の口内を暴れまわる。
 彼氏に迫られても、拒絶していた私は、文字通りこの時が初めての口づけ──ファーストキス──だった。

ご意見・ご感想

編集部

一途に想われるって、とっても憧れますよね(*・ω・*)
今作のヒロイン・未来ちゃんも、
とっても素敵な男性・悠さんに一途に想われておりますっ!

過去のある出来事がきっかけで、
しばらく距離を置いていたふたりですが、
そんなふたりが再会した時!
甘く蕩けるようなアピールが始まるのです!

たくさんの愛を詰め込んだ言葉がひとつひとつ紡がれて…
そのたびに心が揺れて、ついに心は攫われて…

甘い台詞の波に窒息寸前?!な
ベリスウィートなふたりの愛の軌跡をご覧あれ!

2016年11月22日 1:45 PM

オススメ書籍

tamakishinju02_muchu

自堕落オトメに偽恋レッスン

著者玉置真珠
イラストキグナステルコ

七歳年上の直音は、奏にとって初恋の相手。自分に自信がない奏の恋愛はそれっきりだったが、入学した大学で准教授の直音と再会することに! 目を見張るほどかっこよくなり、女生徒にモテる直音に対し、奏は乙女系小説を執筆してサイトにアップするのが趣味の引きこもり系女子。再会に胸を高鳴らせるもののとても釣り合いそうにない。そんなある日、大学で仲良くなった同級生に小説のことを他の人にバラされ!? ますます陰にこもる奏は心配する直音につい胸の内を吐露してしまう。「私も可愛くなりたい!」そんな奏に直音は恋をする練習をしようと持ち掛ける。優しくリードしてくれる直音に、押し込めていた恋心が再び疼き出してしまい――?

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

この作品の詳細はこちら