夢中文庫

年下ワンコの甘く激しい執着LOVE

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  • 作家泉怜奈
  • イラスト中田恵
  • 販売日2017/05/19
  • 販売価格400円

「好き、好き、大好き」
そんな風にダイレクトに思いを告げられたことがなかったからか、それとも彼が年下だからなのか、いままで付き合ったどの男よりも可愛く感じてしまう。29歳キャリアウーマン、2年7カ月付き合った彼氏を取られるという屈辱的な敗北の果に、慰めてくれたのは隣に住む年下モデル。まるで亡き愛犬を思い出させる従順さで懐いてくる。男に迫られることも、強引に押し倒されることもなかった潤子は真摯な彼の視線に戸惑いながらも流されていく。付き合いが続かずに3年未満のオンナと言われている彼女にとってこの出会いは……。愛とは何かを教えてくれたのは年下ワンコの、ちょっぴり強引な彼でした。

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Step・1

 柔らかい早朝の陽ざしで海面がキラキラと輝いている。その穏やかな景色とは反対に波打ち際では荒々しく波が打ち寄せては引いて行く。しかもぼうっと突っ立っていると吹き飛ばされそうなほどの強風だ。まだ泳ぐには早過ぎる春の気候にもかかわらず、水着姿のモデルがポーズを取っていた。
「さっぶ……」
 マスクの下でぼそりと独り言が漏れた。サングラスでカバーしていても強風で涙が滲む。ダウンジャケットのフードを被っているが、時折風で吹き飛ばされそうになるので片手で押さえていなければいけない状態だ。
「潤子(じゅんこ)ったら、裸同然の彼女たちの方がよっぽど寒いってのに。我慢しなさいよ。しかしこんなに風が強かったらせっかく作ったヘアもあっという間に台無しね」
 ヘアスタイリストの真澄(ますみ)の重いため息が横から聞こえてきた。
「ほんとだねー、もう髪ぐちゃぐちゃだし。しかもこの風だから涙でアイメイクもぼろぼろ」
「しっかし、長谷川(はせがわ)比呂(ひろ)のあの肉体美は目の保養だわぁ~眼福眼福」
 あたしはけげんな表情を貼りつけて真澄の顔を覗き込んだ。
「いやだ、にやけちゃって。瑞喜(みずほ)にちくってやるから」
「こんなことであたしたちの仲が壊れたりしないわよ。甘いわね潤子。ジェラシーはスパイスにはなるけど、この程度じゃ嫉妬だってしてくれやしないわよ」
「うわぁ。なにそれ? 何気に信用されてるって自慢? のろけ?」
 真澄はあたしの嫌味にも我関せずで、笑顔のまま視線はモデル達がいる方向、特にお気に入りの男性モデルにくぎ付けだ。
 ビーチで水着の撮影をしているモデルは4人。その中でただ一人の男性、長谷川比呂はしっかりした筋肉のついた男らしい肉体美に甘くさわやかな顔立ちのギャップが売りで、人気絶頂のショーモデルだ。今日の主役はもちろん比呂である。その周りを囲んでいるのが女性ファッション誌カノンの専属モデル達。可愛い系、クール系、セクシー系の女性モデルが比呂を取り合っている構図だ。
「さすが! 割れた腹筋にきゅっと盛り上がったお尻! ビキニパンツが決まってるじゃないのぉ~」
 女の子たちのことはそっちのけで比呂にくぎ付けの真澄はどこから声を出しているのか甘ったるい声色で腰をくねくねさせて悶えている。
「そりゃそうじゃん、モデルなんだから」
 あたしは冷たい視線を投げながら、そっけない返事をした。
「あんた、夢も希望もないような白けたこと言ってんじゃないわよ。あたしたちの楽しみってなに? 素晴らしいボディの男性モデルを間近で拝めることじゃない。しかもあんたはメイクアップアーティストだからあのすべすべお肌に直に触れられるわけよ! んもう腹立つっ」
「あはは」
 ここは笑うしかないだろう。
「おっさんみたいなドスのきいた声で笑わないでよ~。そう言えば、潤子は若い子よりおっさんスキーだったわね」
「ドスがきいてて悪かったわね。いいのよこのハスキーヴォイスが色っぽいって言ってくれるイケオジだっているんだから」
「あー、はいはい。あ、終わったわよ」
 真澄がブランケットを持って比呂の元へ掛けて行く。
 あんたはマネージャーか? と、心の中だけで突っ込みを入れる。そういえば比呂は人気絶頂のモデルだというのに、未だかつてマネージャーらしき人を見かけたことがない。いつも独りで現場にやってきているのだ。
 健康的な小麦色の肌にアッシュブラウンのサラサラの髪、190センチを超える長身に美しい筋肉に覆われた日本人離れした素晴らしいスタイルをもつ比呂とハニーブロンドに染めた髪をツンツン立たせ、ユーズドジーンズにダウン姿のいかにも業界人ぽい真澄が横に並んでいると、まるで漫画みたいだ。ま、現実離れしたビジュアルの組み合わせと言ったほうがいいのか。
「では移動しまーす」
 スタッフの呼びかけが聞こえて来た。
 今日はまだまだ撮影は続くのだ。ビーチでの撮影はこれにて終了、今から休憩をはさみ室内での撮影に入る。
 真澄が比呂にじゃれついている方向に「行くよー」と大声で叫び、ここから徒歩5分くらいの次の現場であるリゾートホテルへ向かった。
 最近湘南にできたばかりの話題の南国リゾート風のお洒落なホテルのエントランスをくぐったところで、ダウンを脱ぎ去った。
 緩くウェーブのかかったロングの髪を後ろで一つにまとめ直していると、真澄が追い付いてきた。
「ねぇちょっと、比呂くんどこに住んでると思う?」
 突然そんな突拍子もない質問をされ、あたしは眉間に力を入れ、真澄をじろりと睨んだ。
「知ってるわけないっつーの」
「驚くなかれ、なんとあたしたちと同じマンションだったのよ~、最近引っ越してきたらしいって」
「はぁ?」

ご意見・ご感想

編集部

3年未満の女……
男性との付き合いが続かず、そう言われるヘアスタイリスト・潤子さん……
それでも今の彼氏とはなんとか2年7ヶ月目
なんて思っていたら、彼氏を年下のモデルに寝取られていて!?Σ(・ω・;|||

それでも嫉妬も悲しいとも思えない……
自分は恋愛体質ではないのかな…

気持ちの冷め方に不安を感じてしまう純子さん(;_;)
(ああ、比呂の作ってくれるご飯が食べたい……)
ん!? こ、これは…色気より食い気!?!?!?

比呂くんは同じ現場で働くことが多い年下のモデル+お隣さんです!
しっぽがみえてしまいそうなほどのわんこ系男子な比呂くんは
お料理上手で面倒見の良い好青年(*´艸`*)
でも、今回のことを酒の席でポロリと話したら……

「いや、もっと大事にしてくれて本気で愛してくれる相手だったら違ったと思います。
僕くらい本気だったら潤子さんだって変わるはずだ」

と猛アタックをしてきて!?

とにかく潤子さんが大好きな比呂くんと、
恋愛不器用で仕事も大切な純子さん
ふたりの恋は無事に成熟することが出来るのか!?
ぜひお楽しみ下さい(*’∀’人)

2017年5月19日 8:58 AM

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