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お忍び御曹司と通勤ハプニング~SPに囲まれて甘く濡れる逆ハーレム密室車両~

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  • 作家加藤文果
  • イラスト中田恵
  • 販売日2016/01/18
  • 販売価格400円

莉桜は彼氏ナシ恋愛経験ナシの奥手な23歳。赤字体質の弱小企業で残業続きのハードな日々に滅入り気味だったとき、通勤電車のハプニングをきっかけに、見惚れるような美形男性と急接近し胸が高鳴ってしまう。周りを謎の黒いスーツ集団に囲まれて、甘美な妄想と現実が交錯する通勤時間。ある日、吸収合併された会社の新社長として現れたのは、なんと電車ハプニングで出会った彼だった。周囲にいたのはなんとイケメン揃いのSP。会社の新人事では「花嫁になることを前提に」秘書室配属を命じられ、勤務中はもちろん、通勤時間もSP同行の花嫁修業ループ? 溺愛人事に甘くとろけるトップロマンスストーリー。

(あっ……きゃっ!? な、何、この感覚……んんっ)
 通勤ラッシュだからしょうがないんだよね……そう思っても、心臓はドキドキと高鳴り、頬がカァッと熱くなってくる。
(ま、まさか……わ、私、おっぱいを触られちゃってる……?)
 ぐ、偶然当たってるだけなんだろうか?
(お、思い過ごしよね……大体、こんな幼児体型の私が痴漢に合うなんて、今までなかったことだし……)
 中高から一貫女子校で育ち、まったく異性に対して免疫がなかった私は男性が苦手なまま大人になり、弱小の繊維業界新聞社に就職した現在でも、もっぱら女性専用車両を利用していた。それなのに、その日は前日のネットショッピングで夜更かしをしていたせいでいつもの電車に乗り遅れそうになってしまった。
 ラッシュ時の混雑で遅延気味だった電車は、心なしかいつもより揺れが激しくて、前方で信号故障があったという理由で何度も急停車と徐行運転を繰り返している。運行ダイヤはかなり乱れているようだ。
(いやぁ、もうこの急行を逃したら遅れちゃうかも……)
 飛び込んだ車両は大混雑で、後ろから突進してくる乗り換えの客の波に逆らえず、小柄な私は車両の奥に押し込まれてしまう。なんとか足の置き場を確保した連結部の手前では吊り革が届かず、手すりを掴むのがやっとだった。
「ひ、あぁっ……」
 相変わらず急停車が続いていたため、不安定な姿勢で足元がよろけて体がぐらついてしまった。思わず後ろの人にもたれかかってしまい、軽く支えられたのは急行停車駅を発車してから、すぐのことだった。
「きゃっ、ごめんなさい」
 ガタンッと大きな左右の揺れにバランスを崩した私は、後ろにいた人の革靴の上に思い切り足を乗せてしまったのだ。振り向いて、咄嗟(とっさ)に頭を下げた。
「あ、足踏んじゃって、すみませんっ……痛かったですよねっ。わ、大変。靴も汚しちゃってますね……」
 視線を床の方に落とすと、ぴかぴかに磨かれた上質な黒革の靴に、私のヒールが踏みつけた泥跡がしっかりと残ってしまっている。
「いえ……大丈夫ですよ」
 落ち着いた返答の中にも、向こうが一瞬息を呑んだような気がしたのは、私の思い過ごしだったのだろうか。何か困惑の気配がそこには含まれていたように感じられた。
 そういえば、さっき私の胸を掠(かす)めていった手は後方から伸びていたようだったが、あまりにギュウギュウ詰めの混雑なので、だれがやったのか確認することは、とてもできそうになかった。それに、後方にいるのはパッと見た限り、きちんとしたスーツ姿の男性ばかりで、痴漢行為を働きそうな怪しい人はいないようだ。
 再び失速する車両の中で、体がぐらついた。
「キャッ……あ、危な……」

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