夢中文庫

毒舌幼なじみのシビアな溺愛

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  • 作家桐野りの
  • イラスト白峰早菜
  • 販売日2017/06/02
  • 販売価格300円

失恋した相手と間違えて幼なじみの恭一と寝てしまった桜。「ごめんね。さようなら」そんなメモ書きを残して彼の部屋から逃げ帰るが、事はそう簡単には収まらなかった。一夜の過ちのはずだったのに翌日から始まった毒舌イケメンのアプローチに桜の胸は否応なしにときめいて……。「自分の人生をちゃんと生きない女は大嫌いだ」意味深な視線を送るくせに、意地悪な態度の恭一に桜の心はかき乱される。失恋したばっかりなのにもう別の人に心惹かれてしまうなんて、私って優柔不断すぎない?まさか、彼のテクニックに溺れてるとか……?子供の頃から知ってる彼と、まさかこんなことになるなんて。恋に不慣れなOLの、体から始まるハプニングラブ。

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◆第一話
 美しい花嫁の投げたブーケは、弧を描いて、すとん、と私の手の中におさまった。
 カサブランカの芳しい香りが、鼻腔を甘くくすぐる。
 華やかなものが好きな美里(みさと)らしい、ゴージャスなブーケだ。
 キャッチしようと待ち構えていた美里の同僚たちが、あーあ、と羨ましそうな声をあげた。
 手を叩いてはしゃいでいる美里を、新郎の修(おさむ)が微笑みながら眺めている。
(修、嬉しそう……)
 視線に気がついたらしく、修が軽く手を振ってきた。振り返そうと思った時、頭のてっぺんに何か重いものがのしかかってきた。
「美里の奴、絶対狙って投げたよな。見え見えだっつーの」
 この声は卯月(うづき)恭一(きょういち)だ。私の頭の上に顎を載せているから、ハリのあるバリトンボイスが耳の中で反響している。
「ちょっと。体重かけないで。痛いよ」
 文句を言うと、彼はすんなりと私の隣に移動した。
「……セットが崩れちゃうじゃない……」
 私は片手を頭に当てて恭一をにらむ。
「大丈夫。お前の髪なんて、ここにいる誰も気にしてないから」
 子供時代の恭一は四人の中で一番小柄だったのに、中学に上がる頃からにょきにょきと背が伸びて、今は百八十センチを超えているらしい。
 十五センチヒールを履いているのに、首をうんとそらさないと目線が合わないから、本当は九十超えてるんじゃないかと疑ってしまう。
 昔っから綺麗な顔をしていたけど、今日は特に礼服姿がばっちり決まっていて、どこかの国の王子様みたいだ。彼は三年間の海外赴任から、つい最近東京に戻ってきたばかりで、こうやって会うのは久しぶりだった。
「あのバカップル、お前と同い年の子供が欲しいんだってさ。一年以内に子供を作るつもりだから、お前にも、とっとと結婚して欲しいんだと」
 階段前の二人に目をやりながら、恭一は小声で私に言った。
「それ、どっちが言ってたの? 美里?」
 思わず私は聞き返していた。
「修だよ。帰国してすぐの時にサシで飲んだんだわ。なんかさ、二世代幼なじみ計画とか言ってたぞ。ださいネーミングはまあ許すとして、俺がメンバーに入ってないのは解せないよな」
 恭一は不満げにそう答える。
(わあ……そうくるか……困ったなぁ)
 修は私の結婚を望んでいる。
 不意打ちで伝えられたこともあり、自分でも意外なほどショックを受けていた。
 修には悪気なんて全然ない。
 幼なじみの幸せを望むのは、彼の優しさだし、恭一がそれを私に伝えるのも自然な流れだ。
 白い鳩が一斉に放たれ、大空へと舞い上がった。
「お。幸せの象徴」
 恭一は手のひらを目の上にかざして空を見た。
 円を描いて飛ぶ鳥たちを眺めながら、私は封じ込めていたはずの感情を、必死で抑えようとしていた。
 美里に修、そして恭一。
 三人は私、黒田(くろだ)桜(さくら)の幼なじみだ。
 父の社宅で同じ年に生まれた私たちは、ママ友だった母親に連れられて、赤ちゃんの頃から互いの部屋を行き来していた。
 全員が社宅に住んでいたのは、子供時代の数年だけだったけど、高校まで進学先が一緒だったこともあり、私たちの絆は途切れなかった。
 イケメンで賢く軽いノリの恭一王子と、美人で明るい派手好きな美里女王。
 その二人に傅(かしず)く、地味で野暮ったい私と修。
 周りの人たちは私たちのことを、そんな風に見ていたと思う。
 実際、恭一は世界を股にかけたエリート商社マン、美里はアパレルカリスマバイヤーになり、修は公務員、私は普通のOLと、それぞれがイメージ通りの職業におさまった。
 恭一と美里は時々メディアに取り上げられることがあって、私の知り合いたちはみんな、二人が付き合っていると思ってたみたいだ。
 確かに絵になる二人だと思う。
 でも、華やかな美里姫が恋していたのは、純朴な修の方だった。
 長く一途な片思いが成就し、二人が恋人どうしになったのは、ほんの四ヶ月前のこと。
 付き合い始めてからの修は、鉄壁だったガードが嘘みたいに美里にメロメロになり、弾丸みたいな高速プロポーズのあと、晴れて今日の日を迎えた。
 今までも、そしてこれからも、四人は大切な仲間だ。
 この友情を壊したくない。
 だから、この先もずっと隠し通すつもりでいる。
 本当は私も、修が好きだった、ってことを。

ご意見・ご感想

編集部

だから、この先もずっと隠し通すつもりでいる。
本当は私も、―――が好きだった、ってことを。

大好きな人の結婚式を祝う桜ちゃん…
きっと忘れられない、ずっとこの気持を抱えて、そして押し殺して生きていくんだ……。
そんな悲壮ささえあった桜ちゃんの前に現れたのは幼なじみのなかでもちょっと苦手なタイプ
でも世界を股にかけたエリート商社マン・恭一君
限界を超えそうな桜ちゃんと結婚式場を後にし…………

思わず迎えてしまった衝撃的な朝に戸惑う桜ちゃんと余裕綽々な恭一君!?(゚д゚)
失恋したばかりなのに……!と次々に起こる出来事や感情に揺られながらも……
もう、言い訳はできないっ
幼なじみとしての距離を崩したくない桜ちゃんはどうしたらっ(;_;)
そして事あるごとに桜ちゃんに強く言ってくる恭一君の本音って――?

優しすぎる桜ちゃんと、ちょっと厳しい幼なじみとの
間違い(!?)とすれ違いから起こるシビア甘々溺愛ストーリー☆
ぜひ、お楽しみ下さい(*´艸`*)

2017年6月2日 9:27 AM

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