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はしたないけどピュアなんです!~王女様の騎士(予定)は一筋縄ではいきません~

  • 作家水戸けい
  • イラストにそぶた
  • 販売日2017/07/18
  • 販売価格500円

「メグ・ティーチの夫として次期国王になれるのは、カストフ・ザミレ。あなただけ」出会ったころからずっと想い続けていた騎士が、自分の近衛兵へ志願してくれた!想いが通じ合ったと喜んだ王妃メグは、私を手に入れて選定試験に奮起して!と、カストフの部屋へ忍び込む。けれど生真面目な彼にいさめられて肝心な所でウヤムヤに?どうしてそんな風に笑うの?私のために選定に参加してくれたのよ、ね?不安に駆られるメグをよそに、隣国の陰謀が渦巻いたりエリート騎士の激しいアプローチに巻き込まれたり…!?私の騎士は、カストフ以外にいないのよ!子どものころの約束は有効なんだからね!!強気に言いつつ、不安に揺れるメグの恋の行方は?

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扉の開く音に、メグは胸をときめかせた。
(いよいよだわ)
 チェストの脇に身を縮めているメグは、飛び出すタイミングを推し量る。
 ギッと蝶番が音を立てて戸が開き、ランプの光が暗い室内に筋を描いた。
 扉の閉まる音。靴音が近づいてくる。
(いまだ!)
 思い切り体を跳ね上げて両腕を広げ、メグは相手に体当たりした。
「カストフ!」
「うわわっ」
 抱きついたメグは、突然のことにおどろいた相手とともに床に倒れこむ──かと思いきや、相手はしっかりメグを抱きしめて踏みとどまった。
「えっ……え」
 目を白黒させる相手に、メグはふふんと得意顔で鼻を鳴らした。
「ずっと待っていたのよ」
「メ……姫様?」
「メグって呼んで。昔のように」
 メグは極上の笑みを意識して、ポカンとしている幼馴染にかわいらしく首をかしげて見せた。
「いや、そういうわけにはいかないだろう」
 うろたえるカストフの青い瞳にランプの光が揺れている。ひきはがそうとされて、メグは唇を尖らせた。
「私と会いたくなかったの?」
「そうじゃない。そういうことじゃなくて……とにかく、いったん離れてくれ」
 すねた顔のまま、メグはしぶしぶ彼から離れた。
(せっかくセクシーな格好をしてきたんだから、見せたいしね)
 そう思ったメグはおもむろにローブを脱ぎ捨てた。ランプの光に豊かなとび色の髪が輝く。さらりと流れる髪を受け止める肌は白く、華奢な肩に細い絹のリボンがかかっていた。その先に胸元をおおうヴェールがあり、キュッと締まったウエストは隠すものなく、ランプの光にさらされている。腰から下はくるぶしまでの巻きスカートで、やわらかな布地が体のラインに沿って落ち着いていた。
(さあ、どう?)
 はちきれんばかりの若さと、女らしく実った肉体を恋しい人に見せつける。
「わわっ」
 真っ赤になったカストフにニンマリする間もなく、メグは彼のローブに包まれてしまった。
「なんて格好をしているんだ」
「魅力的でしょう?」
 踊り子から教えてもらった魅惑的なほほえみを実践したメグに、カストフのため息がかけられた。
「とにかく、そこに座って」
 言いながら離れるカストフに不満を抱きつつ、メグはおとなしく従った。額と腰に手を当てて、困り果てているカストフを見つめる。
 金糸に似た髪がオレンジのランプの光を反射している。細められた瞳はやさしい空の色だ。肌は日に焼けて健康的な褐色をしている。頬のあたりに少年っぽさが残っていた。ぱっと見は細身の華奢な体躯だが、無駄な筋肉がないだけだとメグは知っている。
 いきなり飛びついたメグを受け止め、倒れなかったのがその証拠だ。
 カストフはチラチラとこちらを気にしつつ、手甲などの装備を外してベッドの脇に置いた。簡素で丈夫なズボンとシャツというシンプルな姿になったカストフは、素朴な農家の青年のように見える。しかし彼はこのヴィミーシャ国の誇る騎士のひとりだと、メグは知っている。彼自身もそれを自負しつつ、けれど決して驕らないことも。
 キュンとメグの胸が熱く切なくときめいた。
「ええと……姫様」
「メグって呼んで」
「そういうわけにはいかない……ああ、いや。いきませんよ」
「どうして?」
「そちらはこの国の姫君で、こちらはただの騎士だ」
「でも、結婚の約束をしているわ。カストフは立派な婚約者よ」
「子どものころの約束です」
「私はそのつもりでいるわ。約束の花は枯れてしまったけれど、心の中では咲き続けているの」
 ロマンチックにつぶやきながら、メグはふっくらと布を押し上げている胸に指を置いた。なるべく谷間を強調するため、二の腕をすぼめながら。
 カストフの頬が赤くなり、視線がそらされる。
(意識してる、意識してる)
 クスクスと心の中で笑いながら、メグは彼に歩み寄った。

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