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偽りでもかまわない?~初恋の王子様と結婚したのですが~

  • 作家猫屋ちゃき
  • イラストまろ
  • 販売日2018/7/3
  • 販売価格600円

シュテラは憧れの幼馴染の男性・イヴァンと結婚した。だが、ある日父に「彼はお前の持参金と我が家の援助が目的だ。恋愛は、外でしなさい」と言われる。ショックを受けイヴァンに尋ねると、「妹のようにしか思えない。君を妻として縛るつもりはない。自由に生きてくれ」と言われてしまう。イヴァンは優しくしてくれるし、仲良く暮らせているが、その関係はまるで兄と妹のよう。何とか愛してもらおうと、あの手この手で気を引こうとするシュテラ。ある男性と親密になったことで嫉妬したイヴァンはシュテラを溺愛するようになるが、そこから二人の気持ちはすれ違っていくようになる。こじれた初恋がほぐれるまでのジレジレラブストーリー。

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第一話
 手入れの行き届いた調度品に囲まれ、好きな花を飾り、使用人たちと新しいお菓子についておしゃべりしながら研究し、それを愛する夫に食べてもらう──それがシュテラの、子供の頃からの夢だった。
 結婚して一ヶ月。その夢は、概ね叶っている。
 なぜなら、シュテラは幼いときから大好きだった人と結婚したのだから。
「おはよう、シュテラ」
「おはようございます、イヴァン」
 朝食室に入ってきた愛する夫に、シュテラはにっこりと微笑みかけた。
 金茶色の髪に柔らかな茶色の目が、優しげな美貌を一段と魅力的に見せている。その美貌を前にして、今日も王子様みたいだわとシュテラは思う。
 イヴァンは昔から、シュテラにとって憧れの王子様であり、優しいお兄様だった。
 シュテラが嫁いだアンハルト家と実家であるシャハト家は昔から交流があり、その関係でイヴァンとは子供のときから親しくしていたのだ。
 会うのは気候のいい時期にアンハルト家がシャハト家の領地に招かれているときで、イヴァンはいつも大人たちに交じりに行かず、彼の弟であるアネルやシュテラのそばにいてくれた。シュテラより五歳上であることを考えれば、きっと大人たちと一緒に狩りや遠乗りに行くほうが楽しかっただろうに。イヴァンはシュテラとアネルのために、本を読んだりごっこ遊びに付き合ってくれた。
 シュテラは実の兄のロベルトとあまり折り合いがよくないぶん、そうして寄り添ってくれるイヴァンのことを兄のように慕うようになっていった。
 おとぎ話に出てくる王子様のように美しく優しい“イヴァンお兄様”が憧れの人から恋しい人へと変わったのは、シュテラが子供部屋を卒業する頃のこと。
 年頃になると二人きりで会って話すことはなかなか許されず、それなのに想いは募るばかりだった。
 シュテラが社交界デビューを控えた頃にはイヴァンはしっとりとした大人の魅力を放つ男性になっており、他の令嬢たちに取られやしないかと気が気ではなかった。
 だから、シュテラの社交界デビューの日、最初のダンスの相手としてイヴァンが名乗りをあげてくれたとき、天に昇るほど嬉しかったのだ。
 憧れの王子様と、人生に一度きりの最初のダンスを踊れただけで幸せだったのに、それからとんとん拍子にデートに誘われ、求婚されたのはまるで夢のようだった。
 シュテラは今まさに、夢の世界にいる。
「今日はお誘いをいただいたからクラブに顔を出してくるよ。夕食は一緒にとれるから」
「はい。いってらっしゃい」
 手早く朝食を済ませて手紙と新聞に目を通すと、イヴァンはシュテラの頬に軽く口づけてから朝食室を出ていった。少しの間うっとりしてから、シュテラは小さく溜息をついた。
 夢の世界にいるみたいに幸せなのに、時折ふっと寂しくなるのだ。物足りないといったほうが正しいかもしれない。
 イヴァンとの日々の触れ合いは、出かけるときのこの頬への口づけしかないのだ。
 挙式の夜、シュテラはイヴァンに優しく丁寧に抱かれた。
 初めてのシュテラを気遣って、宝物に触れるようにそっとイヴァンは事を進めてくれた。そのため、破瓜の痛みこそあったものの、シュテラの初夜は愛に溢れたものだった。
 だから、これから先も情熱的に求められ、愛される女性としての日々を送れるとばかり思っていたけれど、イヴァンがシュテラに触れたのはそのときただ一度きりだ。
 穏やかに、大切にするようにイヴァンは接してくれる。でも、それではまるで兄妹のようだとシュテラは思ってしまう。
「イヴァンお兄様からイヴァンとお呼びできるようになったというのに……」
 寂しい気持ちで朝食を終え、シュテラはまた溜息をつく。
「お忙しいのは今だけですよ。夏が終わって領地に帰れば、奥様が旦那様を独り占めできますから」
 溜息を聞き逃さなかった執事のクレメンスが、そう言ってシュテラに微笑んだ。シュテラが幼いときはアンハルト家の下僕だった彼は、イヴァンとシュテラの結婚を機に執事となった。そのため、シュテラが子供の時分からイヴァンのことが好きでたまらないのを知られてしまっているのだ。
「そうね。領地に戻るまではこの王都で私もしなければならないことがあるし、寂しがっていられないわね」
 何に悩んでいるかまでは知られていないことにほっとしつつ、シュテラは立ち上がった。
 実際に、塞ぎ込んでいる暇はない。もうじき社交シーズン本番に突入にすれば、昼はお茶会、夜は晩餐会と忙しくなるのだ。今のうちに衣装のチェックや自分が主催する会の招待客リストの最終確認などすべきことはたくさんあるし、そういったことに慣れるためにと知り合いの訪問が控えている。
「奥様、伯爵がお見えです」
 昼下がり、不慣れなことに追われて疲れ果てて休憩していると、クレメンスが思わぬ人物の来訪を告げた。
「まあ、お父様が?」
「はい。先ほど汽車でご到着したそうです」
「すぐに行くわ」
 父を待たせてはならないと、シュテラは急いで応接室へと向かった。

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