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二人の円舞曲~買われた花嫁に笑わない伯爵~

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  • 作家乃村寧音
  • イラストにそぶた
  • 販売日2016/11/22
  • 販売価格500円

没落貴族の娘オレリアは成り上がりのドリュケール伯爵に無理やり嫁がされることに。その晩オレリアはサロンで派手やかなピアノ曲を奏でるが「あのワルツは弾かないの?」と美しい青年に声をかけられる。それは家族しか知らないはずの曲だった……。彼を見るとなぜか懐かしい感情が沸き起こり戸惑うオレリア。思い出そうとしてもオレリアは十七歳のときに高熱で記憶の一部が消えているのだった。(もしかしてその時のことと関係があるの……?)笑顔を失ってしまった青年の秘密とは……? 世間知らずの没落貴族の娘と成り上がりの美青年の間に生まれた愛は過去も未来もすれ違ってしまうのか? 消えてしまった記憶をめぐるラブストーリー……

その日は朝から大騒ぎだった。
「いやよ、絶対にいや!」
「オレリア様、落ち着いてくださいませ。髪が……」
 さんざん抵抗したにも関わらず……。公爵令嬢である二十五歳のオレリア・ルードウィンは、叔父が差し向けてきた何人もの女中に、まるで押さえつけられるかのようにしてダークブラウンの長い髪を高々と結い上げられた。その上、今風だという濃い化粧を施され、最後に薄いピンクの生地にバラ模様のオーガンジーを重ねた、いかにも清らかな娘らしい可憐(かれん)なドレス──でもよくよく見れば、古びて時代遅れのもの──を着せられて、迎えの馬車に放り込まれた。
 隣に見張りとして付き添っている身体の大きな女中は終始無言で、オレリアとは目を合わせようともしない。叔父によく言い含められて来たのだろう。
 揉(も)め事は昨日今日始まったわけではない。
 父が病に倒れ亡くなり、もともと病弱だった母も父の後を追うように亡くなってしまうと、葬儀を行うために乗り込んできた叔父のサイラスにオレリアは結婚することを命じられたのだった。オレリアがその話を頑強に拒んだため、叔父は『話し合いは不可能』と判断したらしく、かくして、オレリアは強制的に結婚させられることとなった。
(冗談じゃない。絶対に……絶対にいやよ!)
 昨日のうちに、郊外にあるルードウィン家の屋敷から連れ出されてしまったオレリアは、昨夜修道院に駆け込もうと何度も逃亡を試みた。が、それは叶(かな)わず結局ここまで連れて来られてしまった。
 馬車には窓がついており、外を眺めることができる。オレリアは窓の外を見やった。
(ふうん……)
 街は賑(にぎ)やかだった。
 行き交う大勢の人々、通りに面した商店やカフェや背の高い建物群。花屋の店先で話し込む若い娘たちの可愛らしい様子。オレリアは初めて見る都会の光景に目を奪われた。
(あの立派な建物は何だろう。銀行? って書いてあるわ。あっちは……ええと、新聞社か)
 郊外の屋敷から殆(ほとん)ど外に出たことのないオレリアは、本や新聞でしか街や世の中のことを知らなかった。
 昔気質の父はいつも苦々しい様子で世の中の移り変わりを嘆いていたし、オレリアもそのことについて口にすることはなかった。
 郊外と違い都会はこんなにも建物が密集しているのかと驚くばかりだった。それに、馬車の通り道がほとんど石畳でできているということにも、土埃(つちぼこり)の舞う田舎しか知らないオレリアは目を見張った。
(あれは、なんだろう)
 ついあちこちに視線が飛んでしまう。音楽が流れるカラフルな屋台から繰り出される色とりどりの飴菓子(あめがし)に群がる子供たち。
(いいな……美味しそう。わたしも、食べてみたい……)
「オレリア様。そろそろ到着いたします」
 女中の声で現実に戻された。
 馬車が一旦止まると、前方に巨大な門があった。
(ここなの? こんな街の中なのに。それに、ここはどうしてこんなに広くて大きいの?)
 門の中に入ると、さっきまでのごちゃごちゃした風景とは全く違う別世界が広がった。
 馬車が進む通路の脇には高くそびえる木立が続き、その向こう……かなり離れた場所に、屋敷というよりは、まるでお城のような白亜の建物があった。

ご意見・ご感想

編集部

没落貴族のオレリアさんは、世間知らずの箱入り娘
両親の死後、家のことを仕切り始めた叔父に面識のない伯爵に嫁ぐように言い渡されて…?(;O;)

恐ろしい成金の伯爵に嫁がされるくらいならば修道院に入りたかった…!

そう思いながらも色々と黒い噂のある伯爵のもとへ連れて行かれるオレリアさん
しかしそこでオレリアさんはとても紳士的な美青年ロランさんと出会います♪

読んでいるこちらが蕩けてしまいそうな接し方をしてくださるロランさん(*´ω`*)
そんな彼にオレリアさんは心を開くのですが、あることが発覚して、様子が一変!?
目が回るように変わっていく時代と、幼いころの記憶に翻弄されるオレリアさんに迫られた選択とは…

彼を見ていると懐かしい感情が起こるのは何故……?
失った記憶と、ロランさんとの関係は……?

ドキドキハラハラが止まらない、記憶が繋ぐラブ・ファンタジー!
ぜひご堪能ください☆

2016年11月22日 12:46 PM

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