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策に溺れて王子様の囚われの身になってしまいました!

  • 作家園内かな
  • イラスト
  • 販売日2018/4/27
  • 販売価格300円

アビゲイルは没落寸前の子爵家を立て直すため、血のつながりのない美しい妹シャーリーを王妃にしようと画策する。「あなたなら出来るわ!」「思うより思われる方が女は幸せになれるのよ。羨ましい限りだわ」と言ってはっぱをかけるが、実際はそんなことこれっぽっちも思っていない。王妃の実家として王家から援助を受け、独り悠々自適に暮らそうと考えている。そして第二王子のノエルと協力し、遂に二人を結ばせることに成功する。だがホッとしたのもつかの間、ノエルが言った。「思うより思われる方がいいのだろう」超強引な愛を向けてくるノエルにアビゲイルは愕然となる!――クヤビクをこよなく愛する園内かな渾身の因果応報ラブコメディ!

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第一章
 今日はこの国の王太子、セシル王子の誕生日だ。彼はプリンスチャーミングと名高く、容姿端麗で頭脳明晰、柔らかな物腰で誰にでも親切で優しい。当然、女性たちの憧れの的であるがまだ婚約者もおらず、王太子妃候補もいないという。
 王子の誕生日を祝う舞踏会が今夜お城で開催されるが、噂ではお妃探しの会でもあるとか。
 招待されたご令嬢たちは、王子の目に留まる為に今頃必死でめかしこんでいることだろう。
 このサンリアッツ子爵家の美貌の少女、シャーリーと同様に。
 しかし、美しいシャーリーは憂い顔であまり舞踏会には乗り気ではなさそうだ。
 代わりにあれこれと指示を出し、叱咤するのが義姉のアビゲイルだった。
「シャーリー、辛気臭い顔は止めなさい。舞踏会では笑顔で、そして王子とは言わなくてもお金持ちの殿方を射止めてくるのよ。貴女なら出来るわ!」
「アビー義姉(ねえ)さま、そんなのわたくしには無理よ……。どうしてもお城に行かなければ駄目?」
 シャーリーは引っ込み思案で奥手なのだ。
 それを無理矢理に舞踏会に参加させ、男を引っかけてこいと命じるとは、なんともひどい義姉の所業といえよう。
 しかしアビゲイルにも引けない理由はあった。
「もう我が家の財産は、貴女の美貌だけなのよシャーリー。お父さまが亡くなってからこの家は衰退する一方。領地は叔父一家に乗っ取られている状態だし、この屋敷にある物は全て売ったわ。家を存続させる為には、シャーリーがお金持ちを捕まえて援助してもらう以外に方法は無いのよ!」
 きっぱりと言い切ったアビゲイルに、シャーリーはおずおずと反論する。
「それなら、アビー義姉さまが舞踏会に参加したら……」
「どっちが高く売れるかを考えたら、参加する方もおのずと決まるでしょう。私はもういき遅れの二十二才。シャーリーは今が売り出し中の十七才で、評判の美しさなのだから」
 アビゲイルが婚期を逃してしまったのは、年頃の時期に継母と父が相次いで病に倒れ、看病に忙しかったからだ。
 アビゲイルが特に不美人な訳ではない、と言っておこう。
 シャーリーは蜂蜜色の髪にぱっちりとしたエメラルドグリーンの瞳で、その場に居るだけで周囲が明るくなるような美しさを持っている。そして細身で清楚な容貌をしていた。
 アビゲイルは瞳の色こそシャーリーと同じだが、ブルネットの髪とつりあがった瞳の持ち主だった。何だか意地が悪そうに見えるのだ。
 シャーリーと並ぶと、キツそうな容貌に拍車がかかる。
 それなのに全体的にむっちりとした肢体の持ち主で、娘らしい恰好よりは愛人の着るような胸元の開いたドレスが似合う容姿だった。
 とにかく、看病の甲斐なく先にシャーリーの母でアビゲイルの継母に当たる人が亡くなった。すると父も気力を無くしてしまい、失意のうちに亡くなったのだ。
 アビゲイルは何とか相続の後始末をし、両親がいなくとも暮らしがたちゆくように頑張ろうとした。
 一方のシャーリーは、まるで役に立たなかった。両親が病気の時も、看病をするのはいいがめそめそとうっとうしかった。挙げ句の果てには病人に気を使わせる始末。
 シャーリーにはこれからの領地のことや家のことなどを考える頭はなく、ただ世をはかなんで嘆いているだけなのだ。
 今も、舞踏会に行きたくないなどと言っているが、きっとアビゲイルが一人で参加すると決めたら今度は「自分も行きたかった」などとぐちぐち言い出すに違いない。
 アビゲイルは、生きる能力が乏しい義妹に少々批判的であった。
 何もしない人間と一緒に住んでいるとストレスが溜まって仕方ないのだ。
 シャーリーには金持ちの男と結婚してもらい、その援助でこの家を建て直し、遠戚の有能な少年を養子とする。アビゲイルは後見人として実権を握り、叔父一家から領地を取り戻し、そして少年が青年になって独り立ち出来るようになれば隠居する。
 アビゲイルはそういう算段をしていた。
 だからなんとしても、シャーリーには今日の舞踏会で男を捕まえてきてほしい。
 出来れば、富と権力を持ったセシル王子で。

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