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堅物夫(仮)を恋に落とす方法

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  • 作家橘柚葉
  • イラスト弓槻みあ
  • 販売日2017/07/11
  • 販売価格400円

お前たちは結婚したから――え?本人不在でいつの間に話が進んでいたの?――
困惑が隠せない高槻穂乃果、22歳。
娘を溺愛し「すぎる」父のせいで恋愛偏差値は低め。でも好きな人はいる。
それが父の部下で、父を尊敬し「すぎる」永倉孝介、30歳。
このたび、父の策略でめでたく孝介と結婚「設定」になった穂乃果……でも全然嬉しくない。
監視目的で形だけの夫婦なんて意味がないから。
子供扱いして夫婦らしく接してくれない孝介にヤキモキする穂乃果。
しかも孝介の部下にキツい言葉まで浴びせられて心が折れそう。
孝介はそもそもどうして無茶な設定を受け入れたのか、彼の本心は?
体当たりでぶつかる穂乃果の想いは孝介に伝わる……?

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「何を考えているの!? お父さん、孝介(こうすけ)さんに失礼でしょ!」
 私の怒号は両隅三軒向こうまで響き渡ったことだろう。
 だが、今の私にはそんなことを気にしている暇も余裕も残念ながら全くない。
 涼しい顔で煎茶を飲むお父さんを睨みつけ、私は肩を震わせた。
 高槻(たかつき)穂乃果(ほのか)、二十二歳。大学を卒業し、今春社会人になったばかりのフレッシャーズだ。
 お父さんの弟である叔父さんが会計事務所を開いているのだが、そこで事務員として働き始めたばかり。
 まだまだできることは限られているが、新しいことを覚えることは好きなので、意欲的に仕事に取り組んでいるところである。
 事務所内の人間関係も良好で、いいスタートが切れていると思う。
 社会人一年生、未知の世界を垣間見ている最中で、身も心も気が引き締まる思いがしている。
 百六十五センチの身長、可もなく不可もなくといった容姿。
 胸は……うん、ごく標準だということにしておこうか。
 ミディアムボブの髪は一度もカラーリングしたことがなく、真っ黒だ。
 一度カラーリングしようとしたのだが、厳格なお父さんに猛反対を受けて断念した経緯があり。強行突破してやろうか、と何度も思ったことはお父さんには内緒だ。
 特別お嬢様というわけでもなく、秀でた容姿でもない私に対し、お父さんは必要以上に過干渉であり、心配しすぎる人なのだ。
 これまでの人生は、お父さんが私をうまくコントロールしてきたと言っても決して過言ではない。
 私が男性と極力接触しないようにと、お父さんは躍起になっていると思う。
 小学校から大学までエスカレーター式で進学できる女子大付属の学校に通っていたため、同級生の男の子とまともに話したのは、幼稚園の頃が最後かもしれない。それもすべてお父さんの巧みな誘導のせいだ。
 だが、今春。私はお父さんの命令を振り切り、就職することができた。
 とはいえ、就職先はこれまた親戚筋である。
 渋々折れた形を取ったお父さんだが、密かに陰でほくそ笑んでいそうだ。
 だけど、職場には同年代の男性もいる。それだけで世界が広がった気がした。
 お父さんの弟である叔父さん夫婦は、昔から私のことを可愛がってくれているし、お父さんの過保護のせいで思い通りの選択ができずにいる姪っ子に同情してくれている。
 お父さんとしては監視役が付いている職場に私が就職してホッとしていると思うが、お生憎様。私はこの春、今までできなかったことを山ほどして青春を謳歌するつもりだ。
 青春に遅すぎるなんてことはない。うん、たぶんない。
 だからこそ力こぶを作って、やる気に満ちていたというのに……
 まさか、まさかのお父さんの攻撃に目眩がする。
 事の始まりはお父さんの海外赴任話が浮上したことだ。
 お父さんは、娘である私を一人日本に置いておくことが心配でしかたがないらしい。
 私も連れて行くとダダを捏(こ)ねられたが、お父さんの弟である叔父さんの事務所に就職したばかりということで、渋々諦めてくれていたのだ。
「叔父さんも身近にいてくれるんだし。なんの心配もないでしょう?」
 そう諭したのはひと月前だっただろうか。
 これでさすがに安心して赴任して行くだろう、と私は思っていた。
 どう足掻(あが)いてもお父さんは海外赴任しなくてはいけないのだし、私は社会人になったばかりで日本を離れることは不可能だ。
 こういった状況になったのだから諦めざるを得ないのだし、お父さんだってこれ以上ダダを捏ねないだろう。
 そう安堵していたのに……その考えは大変甘かったと今ならわかる。
 恋愛も恋人もこれからだと意気込んでいた矢先、娘である私を溺愛しすぎているお父さんから命令が下った。だが、その内容はとんでもないものだった。
「穂乃果、お前が借りる予定のマンションの隣部屋に孝介が越してきて、監視をしてくれることになったから」

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