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溺愛お見合いスイーツラブ!~耽美御曹司からのロックオン~

  • 作家有允ひろみ
  • イラスト霧夢ラテ
  • 販売日2018/01/26
  • 販売価格500円

ぽっちゃりなのはわかってる。だけどスイーツ愛は止められない。そんな姫子に、祖母が勝手にお見合いを決めてきた。親友の孫で、大会社の跡取り息子の慎太郎だ。長身、イケメン、御曹司。ホントに?向こうはきっと義理立てしてる。お見合いには抵抗があるし、相手にも懐疑的な姫子ではあるが、やむなく了承する。どうせ断られるんだから高級ホテルの期間限定スイーツを堪能したらいいや、そんな気持ちで臨むことに。ところが話は弾み、なんだか楽しい。調子に乗ってスイーツの話をしていたら、慎太郎がいきなりキスを!ここ、公衆の面前なんですけど!そして断られると思っていたのに、慎太郎は交際を求めてきて…こんなぽっちゃりでいいの!?

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「ん~っ、美味しいっ! ここのチョコ、最高~!」
 詰め合わせの箱の中から、チョコレートをひとつ摘(つま)む。噛んで飲み込んで、さらにもうひとつ摘んで口の中に入れる。
「あぁ、生きててよかった~。甘いものって、なにものにも代えがたい癒やしだよね」
 自分が言ったひとり言に頷いて、幸せそうにため息をつく。
 田丸(たまる)姫子(ひめこ)、二十四歳。
 人生最高の楽しみは、大好きなスイーツを食べることだ。
「ふぅ……。やっぱ、このチョコには紅茶だな~」
 ポットにたっぷりと入っている紅茶は、お気に入りの店で買い求めたダージリンティー。和室六畳の部屋の中には、甘いにおいが立ち込めている。姫子は大きく息を吸い込み、新たに摘み上げたチョコレートを天井に向けて掲げた。腰を据えている座椅子がギシギシと音を立てる。姫子が住んでいるのは、祖母の代から住んでいる東京下町の一軒家だ。置いてある家具はどれもみな年季が入っており、各部屋の照明もいまだ吊り下げ式の和風蛍光灯を使い続けている。
「今週仕事頑張ったもんね~。頭使うことも多かったし、脳に栄養を送るためにもスイーツは欠かせないな」
 緩くウェーブをかけた髪を揺らしながら、姫子は至福の表情を浮かべる。口を開け中にチョコレートを放り込むと、目を閉じて口の中に広がる味に意識を集中させた。
 ふっくらと丸い顔に黒目がちの目。姫子はけして美人顔ではないものの、とても愛嬌のある顔をしている。友達は多いほうだし、性格も明るくて屈託がない。勤務先は都内事務機器メーカーで、入社して二年目になる。
 今日は九月最後の土曜日。一時間ほど前に昼食を食べ終え、今は自室で雑誌を眺めながらのんびりとすごしている。ここのところ、週末はいつもこんな感じだ。どこかへ出かけようにも、友達はみなリア充で忙しく、彼氏いない暦二十四年の姫子にかまっている暇などない。何人かの友達はそんな状態の姫子を心配してくれているけれど、姫子自身はまるで気にすることなくゆっくりとした週末を楽しんでいる。
「う~ん、美味しい……。これ、お取り寄せして正解だったよね。これを食べずしてチョコを語るなかれって感じ。リリもそう思うでしょ?」
 姫子の同居家族は、父方の祖母、美和(みわ)と三毛猫のリリのみ。両親は父親の仕事の関係で二年前からアメリカに住んでおり、一年後に帰国する予定だ。
 次々にチョコレートを平らげ、あっという間に箱が空になった。成人女性の一日の必要摂取カロリーを一八〇〇キロカロリーとして、姫子が食事で摂ったカロリーが一三〇〇カロリー。晩御飯のことを考えると、今食べ終えたチョコレートは明らかに余分であり糖分過多な代物だ。姫子の丸く膨らんだお腹の上で、スリムな美人猫のリリがニャアと鳴いた。
 姫子の身長は一五八センチ、体重は六十三キロ。スリーサイズは上から八十六、七十三、八十九。
 けしておデブではない。だけど間違いなくぽっちゃりさんであり、特に下半身がヤバイ感じだ。
 数字的に見ても標準体重をちょっと超えているし、美容体重を目指すならば十キロちょっと痩せなくてはならない。
 リア充の友人たちがデートを楽しんでいる間、彼氏なしの姫子はリリに見守られながら甘いものをほおばる。幼馴染であり一番の親友の春菜(はるな)は言う。
「姫子、ちょっと痩せなよ。そうじゃないと一生男の人に縁がないままだよ」
 このままではいけない。こんなことをしていたら、貴重な二十代を棒に振ってしまう。
 姫子だって、一応は危機感を持っている。だけど、物心ついた頃から持ち続けているスイーツ愛だ。簡単には捨てられないし、今のところ恋愛に発展するような出会いがある見込みもない。もし今後気になるような人がでてきたら、そのときに自分の体重と向き合えばいいだろう。
 漠然とそんなことを思いながら、姫子は食べ終えたチョコレートの箱を閉じる。
「姫子、ちょっとおいで~」
 祖母の美和が廊下の向こうの自室から姫子を呼ぶ。
 美和が妙な猫なで声を出すとき──。それは、なにかしら面倒くさいことを言い出す前兆と決まっている。

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