足を滑らせ川に落ちてしまったアリゼは偶然通りかかった青年に救われる。呆然とするアリゼに青年は問う。クリスタンヴァル伯爵の屋敷を探している、アリゼ嬢に会いたいのだと。それは私……と答えると、青年はひどく驚いた様子で、でもはっきりとした口調で「俺と結婚してほしい」とプロポーズする。彼はロレシオといい、この国の公爵子息だという。そんな人がどうして私と? 初対面なのに? 大混乱のアリゼ。隣国の公爵家の流れを汲むアリゼとこの国の公爵家のロレシオが結婚することで、二国間に漂う不穏な空気を払拭するための王命による政略結婚なのだ。そしてロレシオはこの結婚に愛を注ぐ気はないときっぱりと言い切り……