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因襲御曹司の執着愛に溺れる贄(上)

  • 作家藍井恵
  • イラスト海月あると
  • 販売日2020/2/21
  • 販売価格800円

【通常版】800円 /【イラスト特典付き】900円

アイドル級美人の姉と暮らす大学生の月出千晴。劣等感をこじらせて恋愛できなくなった自分を変えようと、一人暮らしを決意し、資金を稼ぐために料亭コンパニオンのバイトを始める。ところが初日、呼ばれた個室には見たこともないような美形のスーツ男、清宮俊介がいて、なぜか千晴の素性を知っている様子! しかも彼のもとでバイトをするように勧めてくる。そのバイト先とは、清宮ホールディングス最上階の個室だった! 俊介は清宮財閥の跡取りなのだ。その彼が千晴に結婚をせまってくる。だが、この清宮家、処女でないと嫁入りできないわ、秘密の儀式があるわと、因襲まみれで!? 知ったときすでに千晴は甘い世界に落とされていた――。

プロローグ 儀式~今宵はまるで処女のように~
 儀式が、始まる。
 清宮(せいみや)神社で、七十一年ぶりに盈月(えいげつ)の儀式が──。
 白無垢を着た私は巫女三人に導かれ、檜(ひのき)で造られた浴室へと入る。彼女たちが無言で私の帯をほどき始めた。自分で脱ぐのは禁忌(きんき)とのことだ。
 “彼”からこう聞いた。
『沐浴により、俗世の穢(けが)れを落とし、清らかな体になってから儀式に臨むのだ』と──。
 ──バカバカしい。
 私は心で悪態をつきながらも、女たちに身を任せていた。
 ぱさりと、裾除(すそよけ)が足元に落ち、これで一糸まとわぬ姿となる。浴室に足を踏み入れると、巫女たちに湯を掛けられた。水というのは往々にして禊(みそぎ)に使われるものだ。
 正直、茶番にしか思えない。
 けれども私は自分の意志でここに来た。そうすれば、愛しい男を手に入れられるのだ。どうして抗(あらが)えようか?
 その後、白衣(びゃくえ)を着せられ、ロウソクの炎だけを頼りに地下へと続く勾配(こうばい)を歩いた。その先にあったのは板張りの広間で、中央に大きな幹がそそり立っていた。紙垂(しで)のついた注連縄(しめなわ)がくくられているので、ここが神聖な場所だとわかる。
 巫女たちが一礼をして去っていく。
 祭壇の前には、神官と向かい合って立つ彼がいた。誰よりもよく知っている男なのに、なぜか私の胸の鼓動が速まっていく。
 彼が白衣をまとい、揺れるロウソクの炎が彼の顔に陰影の波を起こし、独特な雰囲気を醸し出していたせいかもしれない。
 私は彼にうながされ、背後にある布団に腰を下ろした。布団とはいえ、その上に紅色の織物が敷いてある。
 神官が祓詞(はらえことば)を唱え始める。
 私は彼の隣で正座をしていたが、祓詞が耳に入ってこない。つい、彼のほうを見てしまう。
 ──メガネ、掛けてない……。
 彼は、いつものようにスタイリング剤を使っておらず、髪がさらさらしていて自然な感じがする。彼がちらっとこちらを見てきた。射るような眼差しに、私はカッと顔が火照(ほて)ったように感じる。
 変な気持ちになるのは、きっと床に敷かれた前時代的な大きな布団のせいだ。この神官が見守る中、私たちは“初夜”を迎えねばならない。
 祓詞が終わると、彼が神官との間に衝立(ついたて)を置いたので、私はほっとした。これなら、神官に見られないで済む。
「では、参ります」
 ──は? どこへ?
 彼の大きな手が私の頬を包んだ。
 ──私のほうに来るのか!
 彼の唇が私の唇に重なる。それだけではなく、舌が侵入してくる。少し湿った髪の間から見える双眸が徐々に閉じられていき、長い睫毛が存在感を増す。
 ──目が離せない……。
 でも、本当はこんなキスなど必要ないはずだ。さっさと挿入して、血痕のついた白衣なりシーツなりを神官に渡せば儀式が終わるのだから。

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