夢中文庫

傷を舐めあう閨の共犯者~身体からはじまる恋愛事情~

  • 作家逢見るい
  • イラスト乃里やな
  • 販売日2017/07/28
  • 販売価格300円

「奪おう。奪えるものなら、俺たちふたりで――」職場の店長に失恋したイケメン女子な巴菜と、店長の恋人に失恋した中性的な美青年の彰良。男の人はみんな、わたしとは正反対の、小さくて、可愛くて、守ってあげたくなるような子が好きになるんだ……と落ち込む巴菜は、彰良と互いの傷を舐めあうかのように身体の関係を結んでしまう。それでも店長の事が忘れられない巴菜と、複雑そうな彰良。イケ女だって、好きな人に可愛いねって言われたい!切実な乙女心は巴菜に火をつけるものの……?卑屈で虚しいはずの秘めやかな傷の舐めあいは、二人に愛をもたらすのか?

息が苦しい。半開きにした濡れた唇から、掠れた、甘い嬌声が漏れた。
 繋がった部分が摩擦される都度わたしの身体は熱く蕩けて、浅ましくも自ら腰を揺すってしまう。
 両腕を伸ばして、わたしを組み敷く彼の身体を抱き寄せる。
 汗で少し湿った華奢な背中や、なだらかな肩や、荒い呼吸でわたしを見下ろす切なそうに歪んだ端正な顔立ちとか、どこから見ても完璧で、綺麗な男なのに──。
 どうして──。
「どうしてアンタじゃ、ダメなんだろう」
 うわごとのように呟くと、彼の目が、大きく見開かれる。見開かれてそうして、刹那に細まり、ついで感情をぶつけるかのような激しい抽送作業のあと、わたしの中にあたたかなものが、溢れ出していくのを感じていた。
「まだ、チャンスはあるんじゃないかな」
 ベッドの縁に腰をおろしてそう呟いたわたしに、彰良(あきら)がびっくりしたような、呆れたような顔を向けた。
「はっ?」
「奪うチャンス。最後の、チャンス」
 全裸のまま真面目くさった顔をしてそう言うわたしへと、床に落ちていた湿ったバスタオルを拾い上げ、投げつけてくる。
「お前、バカか」
 こっちは本気で言っているのに、彰良は備え付けの冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出すと、そっぽを向いてゴクゴクと飲み始めた。
「本気だわ!」
 投げつけられたバスタオルを投げつけ返して、立ち上がった。
「お前、恥ずかしくないのか。その格好」
「いまさらなに言ってんのよ」
 セ○クスまでしておいて、ましてや、いまさら裸を見られて恥ずかしがるような間柄でもない。
「アンタは、簡単に諦められるの?」
「諦めるもなにも、もう婚約してんだから仕方がないだろ」
「まだ、婚約の段階だわ」
「お前なぁ」
 近づいていき、振り向いた彰良の身体を、ソファの上に組み敷いた。いとも簡単に彰良の身体はわたしの下敷きになって、苦しそうにもがいている。
「わたしはまだ、諦められない。協力するから、協力してよ」
「…………」
 口の中に含んでいた水をごくり。音をたてて飲み込むと、わたしの目を見つめたまま、瞬きすらせずに黙っている。
 普通にしていても不機嫌そうな鋭い三白眼に、筋の通った鼻、薄い唇。中性的で整っていて、それでいてハッキリ言ったら性格の悪そうな顔をしている。きつめ、と言ったらいいのか。いまのように黙り込むと、余計に冷たそうに見える。
 とにかく、連れて歩くぶんにはなんの問題もない。むしろ自慢になるようなルックスの持ち主だ。
 だけどいかんせん、身長が低い。否、ライバルと比較したら、多少身長が足りない。169センチは、決して日本人男性の中では、低すぎるわけではない。
 それに性格だって、なかなか気難しいというか、攻略するのに大変なところはあるけれど、なかなか漢気のあるいい奴だ。
「アンタはね、いい男よ。わたしが保障するわ。悔しいでしょ? 奪っちゃったらいいのよ」
「……奪うって、巴菜(はな)が大好きな、岩田(いわた)さんから?」
「…………」
 想い人の名を出されて、たじろぐ。むむっと考え込むような顔をしたわたしをよそに、彰良は打って変ってニヤリと笑い、頷いた。
「まぁいいよ、奪おう。奪えるものなら、俺たちふたりで──」

オススメ書籍

妄想女子のはた迷惑な初恋~部長の獲物は私じゃありません!~

著者黒羽緋翠
イラストヤミ香

「おまえは俺のおもちゃだ。逆らったらおしおきな」会社では普通のOLを装っている侑香は常に脳内妄想を繰り広げている腐女子。そんな侑香の上司は、大好きな乙女ゲームのキャラとうりふたつな部長の亘。こんな美味しい状況を見逃せるはずがなく侑香は就業中、常に亘と先輩である米田のBL妄想が繰り広げていた!―だが、簡単なミスをしてしまった侑香は亘から残業を言い渡されたあげく自分の脳内を暴露させられ―!?しかも「今度は侑香が俺のおもちゃになる番だ」と言い渡されてしまう!それからというもの亘に翻弄され、亘と米田の参加する新プロジェクトメンバーに抜擢をされる。傲慢な亘に振り回され、妄想すらできなくなった侑香は…。

この作品の詳細はこちら