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カレから逃げられない~再会した幼馴染はデザイナー兼社長!?~

  • 作家あゆざき悠
  • イラスト成瀬アキ
  • 販売日2019/03/26
  • 販売価格500円

幼馴染の宏の会社とは知らず就職した小夜子。「社長秘書で将来俺のヨメさん」と紹介され、反発する。初恋の相手だった幼馴染の小夜子との再会を喜ぶ宏だが、小夜子は宏と距離を置きたかった。小夜子も幼いころは、宏のことが好きだったが、大学で再会したとき、彼に関わるとロクなことがないと思い知ったから。会社でも宏を避けていた小夜子だが、宏の一途な想いが殻に閉じ込めた小夜子の本音を少しずつ引き出し始める。二人の心の距離が縮まったと思えば、宏のことを好きだという女性たちが次々と現れて小夜子の心をかき乱す。モテ男宏は、小夜子にだけ一途だけど、本当に信じていいの? 小夜子の気持ちは自分でさえわからなくて……。

第一章 悪夢の再会
 四月一日、エイプリルフールの悪い冗談だと思いたい。勝木(かちき)小夜子(さよこ)は心底そう願った。
「それでは今年の新入社員を紹介する。デザイナーの田中くんと事務の鈴木さん、そして社長秘書で将来俺のヨメになる勝木さん」
 冷ややかな笑い声が響く小さな会議室、小夜子は思わず声を張り上げた。
「結婚する約束はしていません! 勝手なことを言わないでください」
 次の瞬間、十数名分の笑い声が会議室に響いた。
「社長、振られてますよ」
「うわぁ、いい気味」
 社員たちに好きなように言われた社長は、澤間(さわま)宏(ひろし)だ。
「小夜ちゃん、運命だと思わない? 小学校の時に転校しちゃって会えなくなって、大学で再会。俺が卒業してからまったく会えなくなって、今度は君が俺の会社に入社してくるなんて」
「運命だなんて思っていません」
 小夜子は茶色い髪の毛をぶんぶんと横に振って、否定した。肩までの長さに切りそろえられた髪の毛は、染めたわけではなく茶色い。顔は少し丸く、目も鼻も丸いせいか幼く見える。
 身長差二十センチ以上ある宏の大きな手がぽんっと彼女の頭に優しく乗せられた。
「まだ気付いていないだけだよ。俺と小夜ちゃんは運命の赤い糸で結ばれているんだから。さて内輪の話は別として、新入社員には一日も早く戦力になってほしい。それにはみんなの協力が必要だから、しっかりサポートして仕事を教えていって欲しい」
 宏は社長としてうまく話をまとめてくれたようだ。
 宏の顔は日本人離れしている。彫りの深い顔立ちとはギャップのある漆黒の髪、まるで彫刻のような逆三角形の身体はモデル体型と言ってもいい。
 対して小夜子はごく普通だと思う。幼さの残る顔は化粧をしても大人っぽさは出ず、体型も丸みがあり柔らかそうだ。
「じゃ、今日からよろしく。デザイナーの田中くんが仕事に慣れるまで、先輩たちはサポートを頼むよ。それから君がやってみたいと言ったコンテストについては相談に乗る。応募規定の詳細が出たら、相談に来て。事務の鈴木さん、君の指導役は大垣さんに頼んであるから。今日はとりあえず、指導役と顔合わせ。必要なものは明日までに用意してほしい」
 宏がそう言い、先輩の一人が手を挙げた。
「社長、今日は歓迎会ですか?」
「いや、今日はやめておくよ。今週末、コンペの締め切りがあるからね。その結果を見てから歓迎会を兼ねた会を開こうか。さぁ、小夜ちゃんはこっちに」
 宏についてくるように言われた小夜子は、大人しくついていくしかなかった。
「えっと、小夜ちゃんにお願いしたいことは主にスケジュール管理。君に渡しておくのは会社用のスマートフォンと、スケジュール帳。それから君の名刺」
 社長室という区切りは無いらしく、みんなとは少し離れたところに大きな机と椅子が置かれている。壁一面は棚になっており、デザイン関係の高そうな本がずらりと並んでいる。
 少しお洒落な十階建ての雑居ビルは、若手起業家のオフィスが多い。テナント料がリーズナブルな分、少し入り組んだ路地の中に入る立地だ。国の援助もあって再開発されたこの地域は、古いビルが次々と立て替えられている最中で工事の騒音がつきものだった。
 宏が経営する会社はデザイン事務所で、十八名いる社員のうち十四名がデザイナーだ。その中には宏も含まれているらしい。小夜子は内定が決まってからそのことを知ったが、社長の名前まで特に注意しなかった。
(もっと会社概要調べればよかった)

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