夢中文庫

仕事女子をとろかす甘い求愛カクテル~美形バーテンダーは会社のボス!?~

  • 作家江原里奈
  • イラスト千影透子
  • 販売日2019/7/3
  • 販売価格400円

吉村香はブラック企業でがんばる仕事女子。訪れたバーでスタイル抜群のバーテンダーに出会う。「私のイメージのカクテルを作っていただけますか?」差し出されたオリジナルカクテルはキレイなピンク色。久しぶりに男性から「可愛い」と言われ、調子に乗った香は呆気なく酔いつぶれ、気が付いたら彼の家。さらに、帰り際に唇にキスされてしまった! 「また、いつか会える」そんな謎めいた囁きにドキドキする香。ある日、新たに着任する専務の姿を見た香は目を疑った。なぜなら、それはもう一度会いたかったバーテンダーさんだったから! 手の届かない人と諦めたのにカクテルと優しい言葉で誘われて……。仕事女子をとろかす甘々ラブストーリー!

プロローグ
「あ~! なんで校了(こうりょう)もらえないのよ!!」
 私……吉村(よしむら)香(かおり)の嘆きは、夜の職場に空しく消えていく。
 デスク周り以外は、節電のために消灯済。二十代の女子が午後十一時、こんな殺風景なところで一人黙々と仕事をしているなんて、こんな酷い現実あっていいわけ?
「フツーはさ、上司が気ィつかって残ったりとかさ! そうじゃなくても差し入れとかするもんじゃないのぉ!?」
 ぶつくさ文句を言っていると、お腹の虫が同調するようにグゥ~と鳴った。
 さっきお菓子をつまんだ程度で、ランチ以降はろくなものを口にしていないことを思い出す。腹が減ったら戦はできぬ……とはよく言ったもの。課長が机の引き出しの二段目に忍ばせているカップ麺を食べちゃおうか、って思ったけどすぐにバレそうだからその考えは却下した。
(日付またがないうちに家に帰ろう。どうせ明日、出社すればいいことだし)
 今日は金曜日、明日は土曜日。一応は週休二日だし、せっかくの休みに出社なんてもちろんイヤだ。できれば、今日中になんとかしたかった。
 ……でも、それよりもこの状況はもっとイヤだ。
 周りは真っ暗で、兵糧も尽きた。コンビニに行って戻ってくるほどのヤル気は皆無。仕事の山は低くなる気配もなく、気分的にとっくの昔に戦死寸前だ。
(こんなところで討ち死にしちゃダメ、自分を大事にしなきゃ……)
 と、今更ながらに思った。
 私がいるのは、吹けば飛ぶような制作会社。倒産寸前だった去年、外資系の傘下に入って辛うじて私たちはクビを免れた。そんな情況だから、私たち制作スタッフは営業が取ってきた一つ一つの仕事を大事にしなければいけない。
(なのに……どういうことよ!?)
 私は再び憤った。
 チームリーダーの増岡(ますおか)さんが適応障害っていう病気で職場に来なくなったのが二週間前。イキナリの事態に、負担はすべて私の肩に重~くのしかかってきた。
 私が今倒れたら、誰が彼の分の仕事をやって納品するって言うの?
「来月にはなんとか出社するって増岡君も言ってるし、吉村さんのガッツで今月だけ乗り切って! 任せたよ!」
 課長に頼まれたら、ノーと言えるわけがない。
 これまでもメンタルが柔らかでポツポツ休みがちだった増岡さんを支えつつ、私や周りがサポートしたから売り上げにつながってきた。たまにクライアントに怒られている様子もあったけど、本人はがんばる気満々だったのに……。
「吉村さん、ごめん! ウチの旦那と子どもがそろって熱出しちゃって!!」
「あ、僕もちょっと頭が痛くて……病院行ってきていい? ホラ、体弱くてさ……」
 そんなことを左右からほぼ同時に言われて、私は混乱した。
 ただでさえ人手不足。しかも、月末に早々に帰宅できる言い訳がある同僚が羨ましいやら憎らしいやら。
 要は、定時あがりのメンバーがリーダーの分の仕事ができないから、自然と業務が私に押し寄せてくる。
(っつーか、私だって早く帰りたいわよ! やりたいことだってあるのに!)
 そう思ってみたけど、具体的に『やりたいこと』が何かは即答できない。
(うーん……デートとか?)
 オトナっぽいバーでステキな男性と二人で飲めたらいいな、なんて妄想してドキドキしたけど、現実は相当厳しい。
 ここに就職して以来、恋愛運は右肩下がり。連日の残業、休日出勤でいつもバタバタ。こんな多忙な制作女子を理解してくれる男は、この世のどこにもいやしない。
 その証拠に、私は一人ぼっち──学生時代にインターン先で出会った彼は、就職してすぐに別れている。
 元々彼も忙しかったし、就職したら私のほうはその上を行く過酷な勤務で……結局、いつの間にかフェードアウト。とてつもなく後味の悪い幕切れだった。
 そんな私が、ステキな男性とデートするなんて、夢のまた夢だ。
(……どうせなら、一人でお酒を飲んでみるのもいいかも?)
 ふと思いついたのは、会社と最寄り駅の間にある隠れ家みたいなカフェバー。前から気になっていて、ネットで検索してみたら、写真の雰囲気がよさそうな感じで、口コミ評価もすこぶる高い。
 カクテルが充実していて、パスタやピザとかのサイドメニューも手軽。お一人様でファミレスに行くなら、カウンターに座ってちょっとオトナな気分で過ごしてみたい。
(とにかく、かわいそーな胃袋に何か入れてあげなきゃ!)
 空腹感に促された私はさっさと身支度を済ませ、書類をデスクの上に放置したまま職場を後にした。

オススメ書籍

氷姫を蕩かす熱愛~侯爵様の優しいキス~

著者佐倉紫
イラストyos

幼い頃に父を亡くし、継母に虐げられる生活を送ってきた伯爵令嬢フィオーナ。つらい日々を過ごすうち、感情が表に出なくなり、生来の美貌も相まって『氷姫』とあだ名されるようになった。そんな彼女に、継母が結婚相手を見つけてくる。だが、その相手は六十代の好色な老人……。絶望を抱きながら嫁ぐことになったフィオーナだが、実際に結婚することになったのは、優しげな風貌の青年侯爵ウォルトだった! ウォルトや使用人たちの優しさにふれ、これまでと違う穏やかな日々を過ごすフィオーナ。徐々に感情を取り戻してきた彼女に、ウォルトは「君を絶対に妻にしたかった」と熱烈な告白をしてきて……!?

この作品の詳細はこちら