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おじさま辺境伯の甘やかな困惑~若奥様は濃密ロマンスがお好き!~

  • 作家冬島六花
  • イラストyos
  • 販売日2019/11/15
  • 販売価格500円

「今夜からよろしくお願い致します、御主人様」──とある事情から男装で過ごし、おてんばに育った公爵令嬢ブランカ。ある日、父親から縁談をもちかけられるが、その相手は初恋の人・辺境伯クリストフだった。このブランカの結婚話を喜ぶ親友から贈られたのは、魅惑的なランジェリーと……濃密なロマンス小説! ブランカはめくるめく愛欲の世界に浸り妄想を膨らませ、初夜を迎え……。若き花嫁の積極性に、おじさまのクリストフは戸惑って……!? そんな折、ブランカお手製の白粉に興味を持つ人物が現れ、クリストフは心を乱される――。妄想暴走系若奥様とあくまで大人な旦那様による、エロティックな年の差新婚物語。

プロローグ
 その少女が生まれたとき、周囲の者はみな、驚きのあまり目を見開いた。
 ──ああ、恐ろしい。
 ──それに、女の子だなんて。
 小さく愛らしい赤子だ。透きとおるような白い肌に、柔らかい赤毛。まだくしゃくしゃな顔を歪めて、一生懸命に泣いている。上質な産着から覗くその胸には、青黒い痣(あざ)があった。ハートマークを歪めたような、まがまがしいその形。
 ──ああ、これではまるで、黒山羊(やぎ)の頭のようだ。こんなに愛らしいのに……。
 ──悪魔は無垢な少女を狙うと言われている。こんなに可愛い子なら、きっと、狙われてしまうだろう。
 周りを囲む家族が、溜め息を吐きながらそう言った。
 ──そうだ、それなら名案がある。
 少女の父親が、一つの案を閃いた。
 悲嘆に暮れる家族の前で、こう宣言をする。
 ──この子は、男の子として育てよう。
第一章 おてんば男装令嬢の婚約

 馬に跨がり、ブランカは屋敷の裏手に広がる草地を走っていた。
 ウェーブのかかったショートカットの赤毛に、緑色の瞳。きめ細かな肌には、ほんの少しそばかすがある。平均より小柄な背丈に、棒のような華奢な手足。男の子用の上下の乗馬着にブーツ。遠くから見れば、誰もがブランカを少年だと思うだろう。
(うん、今日も風が心地良いわ)
 ブランカは公爵家の末娘として生まれた。二人の兄と一人の姉がいる。貴族の子息らしい兄や姉たちと比べると、周囲でもおてんばと評判である。そう言われるのには理由があった。
 ブランカは、常に男の子の格好をして過ごしているのだ。それは胸にある生まれつきの痣が、悪魔が好むと伝えられる黒山羊の頭部の形をしているからである。
 ──あなたがさらわれたら、家族はとても悲しむわ。
 母親はそう言って、ブランカに男装をさせ、馬術や剣術など、男の子のたしなみを学ばせた。
(でも、私にはそれがぴったりだったわね。体を動かすのは大好きだもの)
 手綱を引き締めて、ブランカはふふん、と鼻歌を口ずさむのだった。
 新緑の萌える季節。よく晴れた空の青と、芝生の緑のコントラストが目に鮮やかだ。
(このままもっと、加速していけるかしら)
 ブランカは野原を駆け回るのが好きで、乗馬も得意としていた。といっても、小柄なので乗るときは注意をしなければならない。
 いつもは兄と同い年の従者が一緒だった。けれど今日は彼が寝込んでしまい、初めて一人で乗馬することになったのだ。ちなみに、正直に話すとしこたま怒られるので、従者には絶対の秘密だ。
(ああ、私はなんて自由なのかしら)
 貴族の子息の日常には、なにかと制約も多い。
 家庭教師が毎日屋敷にやってきて、口うるさく言われたりもする。
 誰の目からも自由な瞬間を噛みしめて、ブランカは一人、上機嫌なのだった。

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