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呉服屋の兄弟に脱がされて ~誘惑の着付け教室~

  • 作家花房観音
  • イラスト雨野森
  • 販売日2013/1/11
  • 販売価格200円

「布の中に隠された女性の美しさ、それを教えてさしあげましょう」―浴衣の色っぽさと着物姿の上品さを身にまとうため、青井由真が向かった着付け教室は「綾乃川呉服店」。雪彦と明彦のイケメン兄弟が手とり足取り教えてくれ始めたのだが…「綺麗な足ですね」雪彦はそう言って由真のぎゅっと閉じられた足の膝に唇を寄せる。明彦の両手は蜘蛛が這うように、膝から太ももへとあがっていく…恋人を見返すハズの教室には淫香が充満して―

薄い水色と桃色がグラデーションを描き溶け合っている。ひと目見て、その淡い色同士の混じりあう様の美しさにため息をついて購入したものだ。絹の肌触りのなめらかさにも由真ゆまはうっとりとした。

その帯揚げ―着物のお太鼓と呼ばれる形の帯をつくる時に枕を包み込む布―が、今、自分の手首にくくりつけられている。

そのせいで、恥ずかしくても、隠すことができない。

「いやぁ……やめてぇ……」

由真の懇願に従うどころか、目の前の男はかたわらにおちていた白く長い紐を手にして、きっちりと閉じられている足首にくくりつけようとした。

―何するの―

それは、さきほどまで身体を覆う布を整えていた、腰紐だった。

「こうしてね、紐をくくりつけて、足をぐいっと開かせて―ほぅら、よく見える―」

その部分に、冷たい風があたり、明るい部屋で自分の一番恥ずかしい部分が剥き出しにされさらされたのがはっきりとわかった。

「いやぁっ!!

由真の閉じた目から、涙があふれてきた。

「浴衣って、色っぽいよな。色っぽいだけじゃなくて、着物姿って上品で、いいよな」

恋人の飯野いいの勇樹ゆうきが、すれ違った女を視線で追うのを、青井あおい由真は口を尖らせて眺めていた。

何よ、せっかく思い切ってミニスカート穿いてきたのに、全然褒めてくれないどころか、他の女の人ばかり見るなんて―。

呆れて、気づかれないように小さなため息をついた。

大学の同級生だった勇気とは付き合って二年になる。美男子ではなくても人当りがよく軽いノリの勇樹は女ともだちも多く、こうして他の女への興味を隠さないので、由真はいつもやきもきしていた。けれど、束縛するのは嫌だったから、やめてとは言えない。最初に、「窮屈になったら長続きしないだろうしな、お互い自由にしようよ。俺、やきもち焼きの女、嫌いだし」と言われたのだ。

由真は勇樹に惚れていた。だから嫌われるようなことはしたくないし、他の女の子たちのように彼氏がいても合コンに行くとかも信じられなかった。今日だって、勇樹が「由真は足が綺麗だからもっとミニスカート穿いたらいいのに」と言ったから無理してこんなミニを穿いたのに、ちっとも見てくれない。

夏の終わりの花火大会に二人で来たのだ。社会人になってからは、学生時代ほど会う機会は減っていたので、せっかくの一緒にいる時間を大切にしたいのに。

「着物姿の娘と一緒に歩くのも気分いいだろうな。特別な感じがする」

由真は唇を噛みしめて、自分の方を見ない勇樹の手をぎゅっと握りしめた。

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