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甘い夜の続きを、もう一度~上司がクールな仮面を外すとき~

  • 作家花木きな
  • イラスト龍胡伯
  • 販売日2020/2/4
  • 販売価格300円

大手音響メーカーで働く千沙都は、入社3年目に異動を命じられる。そして新たに上司となったのは、かつて千沙都の初めてを捧げた相手、湊だった! しかし再会した彼は、クールで近寄りがたい雰囲気に。いまだ燻る恋心を自覚しつつも過去のことだと割り切り、あくまで上司と部下として接する千沙都。そんな中、千沙都は湊と二人で日帰りの出張に行くことに。帰り道、大雨に降られ家に帰れなくなってしまった千沙都は、半ば強引に湊の自宅に連れていかれる!? ――「あの夜の続きしない?」昔と変わらず〝千沙都〟と呼ぶ声に、甘く切ない思い出がよみがえって?

始まりと終わり
 私には七年経っても忘れられない恋がある。
 当時を思い出すと、いつだって胸の奥をじりじりと焼け焦がすような切ない痛みが走る。
 それなのに性懲りもなく過去の記憶に思いを馳(は)せるのは、この痛みすらも愛おしく、かけがえのないものだからだ。
 高校の卒業式を数日後に控えた私、藤崎(ふじさき)千沙都(ちさと)は、もう何年も片想いをしている甲斐(かい)湊(みなと)くんに、最初で最後の大胆なお願いをした。
「私を抱いてもらえませんか」
「……え? どういうこと?」
 目を大きく見開いた湊くんの顔からは、いつもの余裕たっぷりな笑顔が消えている。
 お兄ちゃんの部屋でひとりゲームをやっているところへ乗り込み、とんでもないお願いをした私に驚愕している湊くんを見て、相変わらず綺麗な顔だなと見惚れた。
 もっと緊張すると予想していたけれど、思いのほか落ち着いている。部屋へ乗り込む前の方がよっぽどドキドキしていたかも。
 湊くんは四つ上のお兄ちゃんの友人で、高校一年生から大学四年生の七年間、我が家に何度も遊びにきている。ふたりは今日もお酒を飲みながら夜通しゲームをすると言っていた。
 実年齢より落ち着いて見える彼は、とっくに社会人として働いていそうな雰囲気を感じさせる大人な男性。
 こうした外見と、ゲーム好きという中身のギャップにも胸をときめかせているなんて、湊くんは思いもしないだろうな。
 私たちの間に流れる空気にそぐわない、軽快なゲームのBGMがやけに耳につく。
 仕事熱心な父は出張、母は夜勤で不在。お兄ちゃんは先ほど、飲み会終わりの彼女に呼び出されて外出した。居酒屋から彼女を家まで送り、すぐに戻ってきたとしても、一時間以上はかかるのでしばらくは帰ってこない。
 我がお兄ちゃんながら立派だと思う。大切にされている彼女が羨ましい。湊くんは、付き合った相手にどんなふうに接するのかな。
「あの、千沙都? 抱くってどういう……」
「言葉通りです。湊くんに処女をもらってほしいです」
 かなり生々しい端的な返事に、湊くんは言葉を失ってそっと目を伏せた。
 やっぱり無理だよね……。
 分かっていながら微かに期待していた心がチクチクと痛む。
 しばらく考え込んだ後、湊くんは顔を上げて探るような目で見てきた。
「千沙都は俺を好きなの?」
 答えられない。私の気持ちは湊くんにとって負担にしかならないと思っていたので、最初から伝えるつもりはなかった。
「……付き合いたいとは思ってないです。一度だけでいいので……」
 出来る限り動揺が表に出ないようにしたつもりだったが、答えるまでに少し時間がかかってしまった。
「そうなんだ」
 私の言葉をどう思ったのかは分からない。
 湊くんはやっとのことで聞き取れるくらいの吐息を漏らす。それから手にしていたコントローラーを床に置き、携帯電話を持って立ち上がった。

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