夢中文庫

偽りの駆け引きは愛の始まり

  • 作家本郷アキ
  • イラストヤミ香
  • 販売日2016/11/09
  • 販売価格400円

「先生があたしと付き合ってくれたら…黙っててあげても、いいですよ?」──高校時代の担任・安東誠一先生のことがずっと忘れられなかったミイ。卒業後、小さい頃からの夢を叶え幼稚園の先生として働くミイの元に、想い続けた先生が現れる…。再会を喜ぶミイだったが、そこで誠一のある秘密を知ることに。秘密を守ることと引き換えに、誠一と付き合うことになったミイ。しかし初めてのデートで身体を求められ戸惑いながらも答えるが、気まずそうな誠一を見て、脅すように始めた恋愛は本当の恋愛ではないと後悔する。もう一度きちんとした告白をしようと決意するミイだったが、可愛い女の子と歩く誠一の姿を目撃してしまって──?

プロローグ
 高校三年生のミイにとっては、担任の“安東(あんどう)先生”は大人の男性だった。
 染めていないストレートの黒髪を後ろに軽く流して、センスのいいネクタイをチョークが付かないようにとシャツの胸ポケットに入れている姿にもドキドキして、授業中に先生の口から発せられる流暢(りゆうちよう)な英語をずっと聞いていたいとさえ思った。
 彫りの深い顔立ちは黙って立っていれば一見怖そうに見えるが、信じられないことに外見と反比例するように性格もいい、本当に誰にでも優しい先生だった。
 自分と同じ“あんどう”という名字だから気になった。
 他の教師のように上から押し付けるようなものの考え方をせずに、生徒一人一人に向き合ってくれるような先生だから、余計に目がいった。
 恋をした理由なんて、後からいくらでも言える。
 卒業まで半年を切った頃、学校でしか会えないことや、卒業したら会えなくなることを考えると胸が締め付けられるように苦しくなった。
 小学生が何となく気になる男子のことを初恋だというものなどではなく、正真正銘の恋だった。
 それは叶うことはなかったけれど──
「女子校だから免疫がなくて……俺みたいな男が大人のいい男に見えているだけだよ。ミイの気持ちは勘違いだと思う。それに生徒のことを恋愛対象としては見られない。ごめんね」
 好きです──
 そう言ったミイに対して先生が言った言葉。
 今思えば、社会人二年目の先生は新人と言われる立場だったのだろう。
 ミイにとってはずいぶん年上の立派な大人に見えていたが、まだその当時二十三か二十四歳だ。
 確かに女子校で男性といえば先生か用務員のおじさんぐらいなもので、兄弟もいないミイは男性に免疫がなかった。
 それに、先生ほど格好良くて若い男性はいなかったから、安東先生は生徒たちの憧れの的だった。
 バレンタインには、校則で菓子類の持ち込み禁止とあるにも関わらず職員室前に長蛇の列が出来ていた。
 それを一人一人丁寧に傷付けることなく断っていく、誰にも例外はなかった、もちろんミイに対しても。
「気持ちは嬉しいよ。でも校則で決まっていることだし、チョコレートにかけたお金はご両親が働いて稼いだものだ。それを貰うわけにはいかない」
 ご両親が働いて稼いだものだ……と先生が言ったのは、ミイの通う学校は私立でバイト禁止など、校則が厳しかったからだ。
 やんわりと校則違反であることを指摘し、生徒に自分で稼いだものだとは決して言わせない。
 バイトをしていることが学校側に知れれば、保護者が学校に呼ばれバイト先にも連絡がいくことになっていた。
 先生が担任を受け持つ三年生は進路を決める大事な時期だった……小さなことで生徒の未来を潰したくはない、そう思ったのかもしれない。
 今でも先生との思い出をこんなに簡単に思い出すことが出来る。
 大人のいい男に見えていたのは確かだが……この気持ちは勘違いなどではない。
 だって、今でもまだ……先生のことこんなに好きでいるんだから──

ご意見・ご感想

編集部

高校生にとって身近な大人、それは「先生」
その「先生」がとっても魅力的で素敵な人だったら…
心惹かれないわけがありません!!
今作のヒロイン・ミイちゃんもそんな素敵な先生にときめいていたひとり!
卒業前に勇気を出して告白したけれど…フラれてしまいました(´;ω;`)

しかし!大人になったミイちゃんの心にはやはり先生の姿が──
そんな時、なんと勤務先の幼稚園で憧れの先生と再会!?
神様、グッジョブ!( ゚Д゚)b 感謝!

高校の時とは違う一面を見せる先生にドキドキしながらも
先生の本当の気持ちがわからなくて悩むミイちゃん…
戸惑い、迷いながらもポジティブに生きようとするミイちゃんの姿が
いじらしく可愛らしく、心動かされること間違いなしです!

2016年11月9日 1:36 PM

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