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クールな同期がいきなり豹変して私を溺愛執着しはじめた件

  • 作家本郷アキ
  • イラスト黒百合姫
  • 販売日2020/05/22
  • 販売価格800円

梅は過去のトラウマから、自分に自信がなく恋愛を避け気味。それなのに、入社間もなく取引先でセクハラされているところを同期の孝成に助けてもらった瞬間、恋に落ちてしまった。見た目も良く、実力も十分な孝成は社内の美人たちがアプローチするもまったく見向きもせず。梅には気の合う親友という感じで接してくる。そんな態度に想いを諦めきれず、もう一年以上片思いをこじらせていた。ところが、どうやらカノジョがいるらしい…と耳にした梅は、いよいよもって諦めの境地。ちょうど取引先の担当者から食事にも誘われているし。ところが、なぜだか孝成が態度を豹変させ、梅が困るほど距離を詰めてくる。これは一体、どういうこと!?

プロローグ
 背後から伸びてきた手が、尻の膨らみに触れた。
 トン、とまるでただ手を置いただけのように思えたが、徐々に男の指先が尻の割れ目をなぞるように動かされて、あまりの不快さに梅(うめ)は顔を顰めた。
「……っ」
 隣の席で酔った男はますます大胆な手の動きで、今度は梅の太ももの上を撫でてきた。スカートを捲り上げるように動かされて、悔しくて目に涙が滲む。
 打ちあわせと称した取引先との接待の場に、社会勉強だと先輩社員に連れてこられた。新入社員である身ではどうすることもできない。目の前に座る先輩に視線で助けを求めるが気づいてはくれなかった。
「君がセクハラだなんだと叫んでも、誰も信用しないし、お宅は大口の取引先を失うことになるぞ。それに……君みたいなブスに触ってやるだけありがたく思えよ」
 男は梅の耳元でそう告げてきた。
 女性は梅一人しかいない。取引先の上役でもあるこの男が「違う、やっていない」と言えば、誰が梅の味方をしてくれるだろう。場の空気を乱したとして責められる可能性だってある。
(仕事じゃなかったら、我慢なんかしないのに……っ)
 悔しさに唇を噛んでいると、尻に置かれていた手が急に持ち上げられて、背後から低く不機嫌そうな声がかけられた。
「証拠の動画撮りましたけど……警察行きましょうか? あんた、さっきからこの子の身体、触ってましたよね」
 先輩たちの目が一斉に梅に集まった。本当か、と言わんばかりに訝しむような視線に晒された。
 助けてくれた同期入社の彼──大森(おおもり)孝成(こうせい)は、たまたま洗面所に立っていたのか、普段は可愛いと言われる目元をキツく細めて、まるで汚物を見るような目で男を睨んでいた。
 一八〇近くある長身の孝成が腕を組み立っていると、妙な威圧感がある。最近流行の塩顔男子といった印象のある優しげな面立ちだが、怒った表情は凛々しく相手を萎縮させるに十分だったらしい。
「大森……? あの、いったいなにを」
 先輩の一人が困惑した様子で問いかけるも、孝成は自然な色の緩いパーマをくしゃりとかき上げ男を蔑んだ目で見つめ続けた。
「そ、そんな大袈裟な、たまたま手があたっていただけだろう!」
「だから、動画撮ったって……ほら。前からじゃ見えないけど、後ろからだとバレバレ」
 たしかに梅たちが座る椅子の背もたれは格子のようなデザインで、近くに寄れば手が置かれているのは見えるだろうが。
(……お店の人も、誰も気づいてくれなかったのに)
 周りの同僚にも見えるように彼は音量を大にして動画を見せた。すぐ後ろで撮っていたのか『触ってやるだけありがたく思え』という音声もバッチリと記録されていた。
「わ、悪かったよ……ほら、そう大事にしないでさ……ま、まぁ座ったら? 君も新入社員なんだろ? 空気を読んだ方がいい」
 孝成は、嫌そうな顔を隠そうともせず梅と男の間に椅子を持ってきて座った。おそらく、梅を庇ってくれたのだと思う。

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