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別人みたいなアイツと復活愛~俺様社長がグイグイ迫ってきます!~

  • 作家本郷アキ
  • イラスト夜咲こん
  • 販売日2020/10/23
  • 販売価格800円

二十歳の時、麻莉奈は修也から「終わりにしよう」と言われ、一方的に振られた。取り付く島もない態度にどれほど傷ついたことか。八年経った今も心の片隅でチクチクする痛い過去。それなのに会社が吸収され、新社長に就任したのが修也ってどういうこと!? さらにはいきなりの異動でまったく知識のない秘書に任命されて……これもまた修也の一方的な指名だった。おかげで社内では色目を使ったなどと後ろ指をさされ、大迷惑。そんな麻莉奈に修也が迫ってくる。「俺を好きになって……麻莉奈」冗談じゃないと思うものの、社長命令と言われて二人きりになれば、あの時のことが蘇ってしまって――お願いだから、そんなにグイグイ迫らないでっ

プロローグ
「終わりにしよう」
 そう言った恋人──君塚(きみづか)修也(しゅうや)の声は淡々としていて、いつもとなんら変わらない。
 二週間ぶりのデートは修也の部屋だった。
 ここ最近は忙しかったらしく、なかなか会えなかった。「話がある」と言われて嬉々として来たものの、いつまでも話しだそうとしない修也の重い口がやっと開いたと思えば。
 夢でも見てるのかな──そう現実逃避しかけて首を振る。
「なに、言ってるの?」
 動揺を必死に隠しながら麻莉奈(まりな)が聞くと、彼は艶のある黒髪をグシャリとかき上げて、長いまつ毛をそっと伏せた。
 こっちを向いてと修也のシャツを掴む。いつもはあまり変わることのない彼の表情には、苛立ちの色が見えた。
 細くなった目元は長いまつ毛で覆われていて、眉間にはくっきりとシワが寄っている。
 一八〇近い身長で、怖いほどに整った顔つきの修也は、少し目を細めるだけで冷淡な印象になる。口数が少ないからよけいに周囲にはそう見えるだろう。
 相手を威嚇しているわけでもないのに怖がられてしまう。そんな誤解をされていることが麻莉奈としては悔しくてならなかった。もっとニコニコ笑っていたら、きっとみんな修也を好きになる。だがそれは麻莉奈の望むところではなく、心中は複雑だ。
 二人でいる時はたまに笑うし、麻莉奈ほどではないが言葉を返してくれる。
 少なくとも麻莉奈が知る修也は、理由も言わずこんな風に不機嫌な顔を見せる人ではなかった。
(なんで……?)
 大学でほかに好きな人ができた。
 価値観の違い。
 社会人になるタイミングで区切りをつけたい。
 そんなよくありがちな理由を頭の中で並べ連ねてみても、本当のところはわからない。
 別れ話になるような出来事など、今の今まで何一つなかったはずだ。
(理由も、言ってくれないの?)
 麻莉奈はなにも語ろうとしない修也を、どこか諦念(ていねん)の思いで見つめた。
 二歳上の修也は麻莉奈の育ての母の、姉の息子だ。
 つまり、いとこという関係だが、自分たちの間に血の繋がりはない。実母は麻莉奈を産んですぐに亡くなった。
 父の再婚相手である母は、本当の娘のように麻莉奈を可愛がってくれたのだが、初めての子育てに迷うこともあったらしくよく姉に頼っていたそうだ。
 だから、物心もつかない頃から頻繁に君塚家に出入りし、修也の母親である聡美(さとみ)とも親しくしていた。いつからそばにいたのかわからないくらい、当たり前のように修也の姿がそばにあった。
 必要以上に話さないし、楽しそうにしていたわけでもないのだが、修也は不思議と麻莉奈といることを望んだ。そして麻莉奈も二人でいるのを当たり前のように思っていた。
 二人の関係が変わってきたのは中学くらいだったように思う。手が触れたり、肩が触れたりするたびにドキドキしていたら、なんとなく目が合って、キスをしていた。

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