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スパルタ室長の溺甘介抱~豹変スパダリにお世話されて~

  • 作家伊月ジュイ
  • イラスト上原た壱
  • 販売日2019/04/19
  • 販売価格400円

主人公・鈴香は、上司であるイケメン敏腕室長・高臣のスパルタ指導に怯える日々を過ごしていた。ある日、ストレスと貧血から倒れてしまった鈴香を高臣は自宅へ連れ帰り、介抱することに。すると神経質な鬼室長がスパダリに豹変、仕事中には見せたこともない優しい笑顔で鈴香をたっぷりかわいがり溺甘介抱するようになる。リッチな超高級マンションで、美味しい手料理を振る舞われ、徹底的な甘やかし――鈴香は困惑しながらも、高臣に懐柔されていく。鈴香の不調の原因が、自分だと知った高臣は、溺愛をエスカレート。心配のあまり「そばにいてくれ」と自宅に閉じ込め、同棲生活がスタートしてしまい……。

第一章 鬼室長のプライベートスマイル
「文章がおかしい。『てにをは』を理解しているのか? 時候の挨拶などいらないから、簡潔に頼む」
 キュッキュッという小気味のいい音を響かせて赤ペンがすべる。あっという間に書類が赤字だらけになっていった。
「それから、ここ、罫線が切れているな。インデントも、わずかにずれているぞ。書式の機能を正しく使いこなせていない証拠だ」
 延々と指摘を上げ連ねていく彼を前にして、私は背中に冷や汗をかく。あんなにチェックしたのに、まだこんなに誤記が残っていたなんて……。
「やり直しだ。いい加減、もっと精度を上げてくれ。これじゃ俺の時間がいくらあっても足りない」
 綺麗に整えられた黒髪の分け目から、鋭い漆黒の瞳を光らせて、彼は私に書類を突き返してきた。
 受け取りながら「はい……」と弱々しい返事をするので精一杯だ。
 立ち竦む私を前に彼は立ち上がると、席のすぐうしろにある彼専用のコートラックからスーツのジャケットを手に取り、颯爽と袖を通した。
「これから会議だ。二十時には戻るから、修正版を準備しておいてくれ」
「に、二十時ですかっ……」
 青ざめてオフィスの壁にかけてある時計を見上げる。
 現在時刻、十八時──ということは、残された時間はあと二時間。その間に修正が全部終わるだろうか。というか、問答無用で残業確定ですか?
 目線で助けを求めると、逆に威圧的な眼差しで念を押される形となってしまい、ひぃっと肩を竦めた。
「行ってくる」
 キュッとネクタイを引っ張って結び目を調節し、見るからに神経質そうにキッチリ襟元を整えると、彼は早足でオフィスを出ていってしまった。背が高くて脚の長い綺麗なシルエットが、扉の奥に消えていく。
 ため息とともに自席に着くと、隣に座る先輩の山本(やまもと)さんが眉を下げてにっこりと笑った。
「どんまい!」
「……ありがとうございます」
 胃がキリキリと痛んでくる。ここ最近、私、由利(ゆり)鈴香(すずか)を苦しめているストレスの元凶は彼──社長室室長・清瀬(きよせ)高臣(たかおみ)のスパルタ指導である。
 株式会社四ノ宮(しのみや)商事の特別社長補佐兼経営対策室、通称『社長室』。ここは、その名の通り社長の業務補佐や経営企画の立案など、全社的な案件の指揮を行う部署だ。社長直属の部署であり、最も権力を持つ上層組織といえる。
 この社長室を取り仕切るのが彼、清瀬高臣室長だ。
 敏腕ゆえに社長にかわいがられ、二十九歳という若さで室長を任命された。子どものいない社長は、彼を自分の後釜に据えようとしているというのがもっぱらの噂だ。
 その上、ルックスもばっちりで女性人気抜群。彼の直属の部下にあたる私のポジションは、女性社員たちの憧れなんだそうだが──。
 ……毎日あの眼圧で睨まれる私の身にもなってほしいよ。

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