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冷徹社長の添い寝係~触れる熱に撫で蕩かされて~

  • 作家伊月ジュイ
  • イラスト川野タニシ
  • 販売日2019/9/27
  • 販売価格600円

香原円花が第二秘書を務める、敏腕社長蓮見宗吾は即断即決の仕事の鬼!……だったのだが。整った顔に浮かぶ不自然なクマ。未承認のまま積み重なった書類。数日前から仕事が手につかない社長の様子に、秘書課は大慌て。そんな中、副社長から特命を受けた円花は、会食終わりの社長を自宅まで送り届け、不調の原因を探ることに。頑なに語らず弱みを見せない社長だったが、ふと円花の瞳の色に気がつき一変。円花と同じ瞳の色だった、不眠の原因〝雪乃〟の存在を漏らし始める。自分を通して雪乃を想い、弱っている社長を放っておけない円花は、雪乃の代わりとして一日だけ添い寝をすることに。ところが、本気の溺愛モードの社長が甘すぎで――!?

プロローグ
 肌触りのいいシルクのドレスは、彼が私のために用意してくれた寝間着だ。
 色は清純なオフホワイト。少しでも『雪乃(ゆきの)』のイメージに合うよう、彼が見繕ったものである。
 それを身に纏い、私はしずしずと廊下に足を擦らせ、彼の寝室へと向かう。
 意を決してドアをノックすると。
「入れ」
 中から端的な答えが返ってきて、私はドアを押し開けた。
 ベッドの上、上半身を起き上がらせてノートパソコンを操作していた彼が、凛々しい目をこちらに向ける。
 私を待つ間ずっと仕事をしていたせいか、その眼差しがやたらと鋭利で。目が合った瞬間びくりとして、悲鳴が漏れそうになるのを必死に堪えた。
「来い」
 簡潔な指示を受け、私は恐る恐る歩みを進めてベッド脇に立つ。
 彼の肌掛けを持ち上げる仕草は、中へ来いという無言の要求。
 そうっと足を滑らせ中に潜り込むと、リネンのシーツは彼の体温でふんわりと暖まっていた。
 彼は仕事の手を止め、ノートパソコンをヘッドボードに置くと、煌々とした白い照明から淡いオレンジ色のルームランプへ切り替えた。
 私の、普通よりも茶色みがかった虹彩は、ランプの色を受けていっそう黄金色に輝き、その色を愛でるかのように、彼が目元に指を這わせる。
 ドクドクと鼓動が高鳴りだし、一向に慣れることのない体が内側から疼き出した。
 こういう関係になって、三週間。
 なのに、今でも心は現状を受け入れられなくて、混乱の境地にいる。
「こっちを向け」
 彼は私の頬に手を添え、顔を強引に自分の方へ向けさせた。
 私の瞳を覗き込んだ途端、凛々しい表情が一転、憂いを帯びる。
「雪乃……」
 まるで仕事中とは別人のような甘い声で、私ではない女性の名前を愛おしげに呼ぶ。
「はい……」
 私が彼女になりきって頷くと、さすがにいたたまれなくなったのか、彼は申しわけなさそうに目を伏せた。
「……すまない。こんな役目を押しつけて」
 弱々しい声をあげて、彼が私の肩に顔を埋める。
 ドレスの襟元から覗く鎖骨に、温かな吐息を吹きかけられて、ぞくりと肌が粟立った。
 でも……この昂りは、決して彼には悟られぬように。
「かまわないと、言ったじゃありませんか。だって雪乃さんの代わりは、私にしか務まらないんですから」
 ニッコリと微笑んでみせると、彼は安心したように私へもたれかかってきた。
 かけられた体重に抗うことなく、背中からベッドへ倒れ込む。後頭部がマットに沈む瞬間、彼が手を差し入れて頭を打たないように支えてくれた。
 そのまま彼は私の上へ重なり、額、瞼、頬、口元、と順を追ってキスを落とす。
 柔らかな唇の感触。そして薄いドレス越しに伝わってくる彼の体温と、逞しい筋肉の質感。
「あっ……や……ぅん……」
 思わず身悶え、声が漏れる。
 組み敷かれ、唇を這わされ、こんな状態で平静でいろって方が無理だろう。

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