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優しい上司にクールな素顔で濃蜜独占されてます

  • 作家花音莉亜
  • イラスト夢志乃
  • 販売日2019/8/6
  • 販売価格700円

大手通信企業に勤める亜由美の隣に引っ越してきたのは、容姿端麗で知的な雰囲気の湊。出逢ってすぐ亜由美は困ったところを湊に颯爽と助けられる。優しく穏やかに接してくる湊に思わず亜由美の心は弾む。翌日、海外本社から赴任してきた新マネージャーとして湊が現れた。しかし、あることをきっかけに二人きりの時だけ本当の自分をさらけ出し始める湊。彼の優しさを知っている亜由美は戸惑いながらも想いを寄せる。湊も自分の素顔を受け入れてくれる彼女に強く惹かれて……!? 「業務中でなければ、触れてもいいだろう?」──職場では優しいイケメン上司、でも二人きりだとちょっと強引なS系の素顔で甘く何度も迫られて……!?

「次のプロジェクトは、大手自動車メーカーの社内WEBの製作だ。大得意先のクライアントだから、失敗は許されない。皆、気を引き締めるように」
 フロアの一角にある会議室に集められ、部長からの力説を頷きながら聞く。ここは、大手通信企業、RE通信カンパニーの本社。RE通信カンパニーは、アメリカに本社があり、ここはその日本法人にあたる。
 そこに所属する私は、主にクライアントから委託されるシステム開発を制作する業務に就いていた。
 年に何度かプロジェクトが発生する中で、コンスタントにチームに入れてもらえているのは本当に有難い。
 入社三年目の二十五歳になった今は、恋より仕事だと言い聞かせるように、毎日を過ごしている。というより、社内の男性たちは既婚者か恋人持ちばかりで、ロマンスめいた話を作ることもできない。
 忙しさに出会いの場に出向く余裕もなくて、しばらくは色気のない仕事ばかりの毎日が続きそう……。と半ば、今の自分の状況に開き直っている。
 社内恋愛をして楽しんでいる人も、同じ部署にはいるというのに。
「実は、次回のプロジェクトに、新しいプロジェクトマネージャーを迎えることになった。ニューヨーク帰りのイケメンな人だぞ」
 部長の話を途中から上の空で聞いていた私は、最後のその言葉に意識が戻る。けっして、“イケメン”というワードに反応したわけじゃない。新しいチームリーダーという言葉が引っかかった。
「部長、新しいプロジェクトマネージャーが来られるんですか? イケメン以外にはどのような方でしょうか?」
 思わず手を挙げると、ホワイトボードを背に身振り手振りで説明をしていた部長が、その動作を止めた。
「詳しい人柄は、来週明けに出社されるから、そのときに分かるだろう。とにかく、優秀な方だから、勉強になることは多いはずだ」
「はい、分かりました」
 部長はその後、次回プロジェクトの説明を続け打ち合わせを終えた。今回のプロジェクトメンバーは十名ほど。
 その中に、私の同期、浅沼(あさぬま)沙織(さおり)もいる。沙織は、部屋を出ながら、首を傾げた。
「ねえ、亜由美(あゆみ)。部長の態度が不自然だったと思わない?」
「え? そうかな? いつもどおり、熱い雰囲気だと思ったけど」
 今度は私が怪訝な顔をすると、沙織は腕を組んで答えた。
「プロジェクトマネージャーって、部長とほぼ同等の役職でしょ? それなのに、妙に気を遣った話し方をしてなかった?」
「そう言われてみれば、そんな気もするけど、単に遠慮してるだけなんじゃない? 部長だって知らない人なんだろうし、そういう意味で気を遣ってるのよ」
 たしかに沙織の言うとおり、部長はプロジェクトマネージャーのことを話すときに、敬語を使っていた。だけど、そこに深い意味があるとは思えない。
「そうかなぁ……。なんか、引っかかるのよね」
 オフィスに戻りながら、やっぱり沙織は納得してないようだった。でも私は、部長の態度がそれほど気にならない。
 とにかく私としては、プロジェクトの指揮を執る人が、波長の合うやりやすいマネージャーならいい、それだけだった。
「それはそうとさ、沙織。マネージャーって、ニューヨーク帰りなのがすごいね。まさか、アメリカのRE通信カンパニーに所属していたのかな?」
 デスクに戻り、残りの業務を再開させながら口にすると、隣のデスクの沙織が大きく頷いた。
「きっと、そうよ。それなら、かなりエリートってことね。若いのかベテランなのかも分からないけど、どんな人か楽しみね」
 人一倍、仕事熱心な沙織は、ようやく引っかかりを整理できたのか、嬉しそうにそう言った。
 本当、新しいマネージャーは、どんな人なのだろう。仕事の波長が合うといいけれど。

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