
イラストルシヴィオ
「あぁん、もうおかしくなっちゃうぅっ……」
女子校卒業後、都内に電車で通うようになった優香は日々、ラッシュの過酷さに汗ばみ貧血で倒れそうになっていた。すると前後に伸びてきた男性の手で下腹部を弄られ、肌が粟立つような感覚に困惑してしまう。翌日には車両を変えても何人かの固定メンバーに弄られ、次第にパンティーの股布をずらされ、恥ずかしい部分を手鏡で写し出されたり、後ろの窄まりまで鏡越しに見ている気配に背徳的な悦びを感じるようになって……。勤務中に思いだし膝をもじつかせていたら、人事課の荻原課長に呼び出され、午後は会議室でお説教。叱られスカートをめくられたまま、初めてのクンニリングスで濡れたアソコに男性器をねじこまれ、定時までプチ監禁の過酷な調教で大人の快感を覚えていく。痴漢&プチ監禁で淫欲に目覚めた優香が、ある日課長のデスクPCで見たものは、彼女の電車内痴漢プレイ画像。すべては入社前から彼女の肉体をも我がものにしようと目論んでいた人事担当者の罠だった……。そこで彼女は……。
「い…いやぁっ……み、見ないでっ」
(あぁっ……うそっ、手鏡の前で、私のアソコが広げられてる……!?)
通勤時の電車内は身動きが取れなかった。
車両連結部に押し込まれ、スカートをたくし上げられた私の下腹部に手鏡がねじ込まれている。パンティーは既にずり下げられていた。
「こっちにも鏡向けてくれよ」
「すげぇ、ぱっくり開いてる」
(ああっ……今日はいつも以上に人が集まってきてる……?)
押し殺した低い声のざわめきに淫靡【いんび】な息がこもり、私がいる連結部の澱んだ空気と混ざって私の体にまとわりついていく。
(やっぱり、周りでぐるになって私を痴漢しているの!?)
全身がしびれたように動けない。
混雑で押さえ込まれている圧迫感だけではなく、自分の意思で体を動かす能力が欠落したように思えた。
(うそ……こ、これって……!?)
女子校育ちで男性との交際歴もない私が、見知らぬ相手の指先をパンティーの中に受け入れるなんて、だれが想像しただろうか。
「頬を真っ赤にして、唇を噛み締めている表情がまたそそるんだよな」
濃紺のスーツの男性が耳元に小声で囁【ささや】きかけてくる。後ろから腕を回してきた、その横顔が視界に入って私は息が止まりそうになる。
(え……こ、この人……テレビで見たことある?)
黒縁のメガネをかけて放映中の印象とは違うが、法律相談番組で見かける弁護士と瓜二つだった。知的な面立ちに白いシャツと紺色のネクタイ姿にはキリッとした品のよさが漂っている。
そんな人が、こんな猥褻【わいせつ】行為を仕掛けてくるなんて信じられなかった。私は動揺で思考能力を失い、何もかもが夢の中の作りごとなのではないかと思えてくる。
「使い込まれていないのかな。きれいなピンク色だ」
身を乗り出すように鏡に視線を向けていた男性たちは、声を潜めて私の下腹部を品評している。
(この人たち……あり得ないっ……)
「ぷっくりして初々しいし、いかにもバージンといった楚々とした佇まいだ」
「よく見えないな。もっと手鏡をこっちに向けてくれよ」
「清純そうな顔して、もう濡れてきてる」
「キャッ……あ……」
(う、うそよ! 濡れてきてるなんて……まさか……!?)
開かれた割れ目の内側をさらけ出すように、逆V字型で秘肉を押し開く二本の指先に力が込められて左右に目いっぱい広げられてしまう。
その瞬間に手鏡の端が股間のトライアングル最端に触れんばかりに差し込まれ、斜め上に鏡面が向けられる。
後方から覗【のぞ】き込んでいた男性に、秘裂【ひれつ】の中まで見せるためなのだろうか。
どこまで恥部が映し出されているのか知りたくて首をよじり、顔を向けても、三角地帯の突端に接触しそうなほどの至近距離に、男性たちの腕や体が邪魔してよく見ることができない。
映し出されている様子を想像しているだけで、膝から力が抜けてしまいそうになる。
「ほう、こんなに恥毛にまで愛液を滴らせるなんて、相当好色【こうしょく】なコなんじゃないか。もっと触ってあげたらどうだ」
「きゃっ……やめ……て……!」
(私が……ヘアまで濡らしちゃってるっていうの!?)
「見られてるだけで感じてきてるんじゃないか……」
ごつい体型の長身男性がスカートの裾をお臍の位置までまくり上げ、手鏡の中は車両の照明を取り入れて色合いまで一層鮮明になってしまったようだ。
自分の位置からはうかがうこともできないのが、悔しくてもどかしかった。
「よく見てごらん。さっきよりも肉厚になって、ふっくら赤みが差してるだろう」
連結部からはみ出した位置に立っていた大学生風の男性まで、鼻先にずれたメガネを直しながら背を丸めるように鏡の中を覗き込んでいる。
そこに映っているのは、紛れもなく私の、まだ一度も男性との接触経験がない秘密の部分だ。それを考えただけで身震いしてしまいそうだ。
うっすらと控えめな恥毛に覆われた縦線の割れ目は、右後方から伸びた男性の手に秘肉の入口を探られている。まるでレディースコミックみたいなことが、今ここで現実に起こっている。
(30分後には会社に着いて就業時間が始まるのに、こんなことが起こって私、お仕事なんかできるんだろうか)
「あ……」
下半身に吹き上げる空調の風が、開いた私の恥部を撫で上げていく。
(く、くすぐったい……)
ふだんはパンティーやストッキングに覆われ、しっかりと布地でガードされているデリケートゾーンが今は無防備で、見知らぬ男性たちに、鏡越しに公開されていることが信じられなかった。
わずかな空気の流れや熱風が肉ヒダの隙間をくぐる度に、ゾクゾクするような感覚が下腹部を刺激していった。
(はぁんっ……あふっ……)
子宮口がキュッとわななき、ムズムズするような感覚が体の中心に生まれて、その塊がじゅわっと体内でとろけて蜜のように流れてきた。
(あ、なんなの……なにかイッパイ溢れてきちゃう……)
おもらしとも違う、甘美な疼【うず】きを伴った背徳的な感覚にアソコがひりつくように熱を持ってくるのがわかった。
「すげぇ、グチョグチョになってきた。こっちの手までヌルヌルになってくるよ」
指先で秘裂を割り開いている弁護士風の紳士が声を上ずらせている。
(あぁっ……アソコが……アソコが熱くなってきちゃってるぅっ……)
デリケートゾーンの内側から信じがたいほど大量のとろりとした熱い蜜が溢れ、柔らかな女芯【にょしん】をヌルヌルした光沢で覆っているのが自分でもわかった。
「痴漢されて、こんなにグチョグチョにさせるなんて、なんてエッチなコなんだ」
「あぁぁんっ……い、いやぁっ……」
(あぁっ、男の人の指がアソコの真ん中に押し当てられてるぅっ……!)
心臓がドキドキして緊急警報のように激しく打ち鳴らされる。
未知の感覚に息が止まりそうだ。
片手で手すりを握ったまま、カーブでよろけた私の体は不安定な姿勢だった。
前後の男性にはさまれ、左右をがっちりと大柄な男性に囲まれた私は、固定されて体をずらすことさえままならなかった。
まるで見えない縄で拘束【こうそく】され、子供のように抱き上げられたかのようだ。
(ひ……うそっ……。の、覗き込んでるぅっ……!)
左後ろのダークスーツを着たサラリーマン風の中年男性が、小さな手鏡をめくれたスカートの正面に差し込んで斜め上に向けて鏡面をかざしてくる。
「きゃっ……ん、はぁあんっ!」
逃れようと身をよじっても、足先さえ思うようには動かせなかった。
(あぁっ……間に合わないっ……私のアソコ、見られちゃうっ)
「すげぇ」
「濡れて光ってるぞ」
周囲の男たちが身をのりだし、熱い息を吐いた。乱れた息で車両内の空気が淫靡【いんび】な含み笑いで濁ったような気がする。
(やっ……い、いやぁっ……)
まさか、満員電車の痴漢行為で私の体は淫らに反応してしまっているのだろうか。
鏡に映った女性のデリケートな部分はくすんだ茶褐色やピンクや朱が複雑に入り混じっているように見えた。
(あり得ない……彼氏いない歴18年で、エッチはおろかキスだってしたことがないのに……)
幼稚園以来、恋愛対象になる男性と、会話をした経験すら乏しかった。
小中高と徒歩圏の女子校で育った私が、両親の急逝で縁故を通じて18歳で就職することになり、仕事の責任はもとより、ラッシュの通勤電車がここまでひどいなんて予想もしていなかった。
下腹部に向けられた手鏡に、淡いピンク色の影がよぎったように見えたのは気のせいではなかった。
「すごい反応だな。おかっぱヘアの美少女ちゃん」
「可愛い顔して、こんなに濡らしちゃってるよ」
(こ、これは現実なの……? 鏡に映ってる影は、本当に……私のアソコ……!?)
楕円形の鏡が揺れると、車内の電灯とラッシュアワーの人影を反射し、白くチカチカと光った。
角度によっては、ほの暗い茂みに、うっすらと浮かんだ秘裂の内部まで映り込み、ヒダになって折りたたまれた淫唇【いんしん】やピンク色の女性器官が捉えられてしまっている。
「や……だ、ダメ……」
周囲の男性がそれぞれの角度から鏡面を凝視していることが信じられなかった。
覗き込んでいるのは何人だろうか。
真横に1人、斜め後ろから2人……後ろに4、5人と、その蠢【うごめ】く影を数えて私は気を失いそうになる。
(私の恥ずかしいアソコ……オシッコする汚い場所、みんなが覗き込んでる……いやぁっ)
さっきから後ろに立っていたオジサンにパンティーの股布【またぬの】が脇に引っ張られ、私の秘部はむき出しになっていた。下から淡い陰りの奥に向けられた鏡面には、くすんだ色の濃淡のヒダが映し出されているのが視界の端に映った。
「……もう、やめてください……」
私は体をよじって迫り来る手を避けようとするのに、執拗に手鏡が秘裂を追いかけてくる。
ふっくら盛り上がった恥丘【ちきゅう】には、後ろから手を回して差し込まれた骨ばった二本の指が逆Vサインのように柔らかな部分を押し開き、中心線から裏返しにめくり上げるように縦状の秘裂を大胆に広げられたままだ。 奥から覗いたピンク色の滑らかな肉感が鮮烈なまでに浮き上がって見えるのは色のコントラストのせいだろうか。 スーツやジャケット、ビジネスマンのバッグや靴など、ラッシュ時の無彩色の重い色合いが折り重なる車両内で、そのぽってりと色付いた花弁は厚みがあり、わずかに潤いを帯びているように光っている。
それはまるで二枚の羽を広げた、華麗で毒々しい食虫植物のようにも見えた。
「ほら……奥まで映ってるよ、指でつついてあげようか」
アソコを指で広げている知的なオジサンが、生ぬるい息を耳元に吹きかけてきた。
ゾクッとくすぐったいような感覚が首筋に走る。
「目が潤んできてるよ。こういうの、嫌いじゃないんだろう」
小柄な私を抱きしめるように、背中に体を密着させてくる。40代後半位だろうか。彼は後ろから回した手でもっといたずらを仕掛けようとしているようだ。
「や、やめて……くださいっ……あぁんっ」
めくりあげた秘心【ひしん】の中心部に向かったオジサンの指先が、無垢な部分をツンとノックしてきた。
(んくっ……あぁっ……)
その小さな刺激にさえ、子宮までズンッと電流を送り込まれたような衝撃を感じて私はしゃがみ込みそうになる。
(この電車、混みすぎてるぅっ……)
混雑がひどくて、片方の腕は連結部の手すりにつかまったまま下ろすこともできない。バッグを持っているもう一方の腕も押し付けられて動かせず、まるで連結部分に押し込まれ、前後左右を囲まれ、拘束されているかのようだ。
(痴漢って、こんなにひどいものだなんて……)
ストッキングをずり下ろされ、パンティーの股布が横にめくられているというのに、体が強張った私は抗うこともできない。淫らな悪夢に引き込まれたような車内で、あまりにも非力な自分が信じられなかった。
(こんなことってあるの……? 鏡を使って覗かれるなんて……自分でも恥ずかしくて凝視【ぎょうし】することができない部分を何人もの男性がじっと見つめている……)
お風呂で洗うときも、ぐにゅぐにゅして、ちょっと色がくすんだビラビラがグロテスクに思えて悩んだことがあった。色白のせいか、お風呂の照明の下では、アソコが黒ずんでいるように見えて仕方がなかった。
(こんな恥ずかしい場所を、男の人ってどうして見たがるの?)
女子校育ちで恋愛経験もなく、異性と会話することさえ不得意だった私は、親類の紹介で家電メーカーの事務職に高卒で就職してからも、いまだに男性と接するのが苦手だ。
自分のような奥手で引っ込み思案の性格では恋人が現れるとは思えないし、ときどきレディースコミックで見かける、ちょっとエッチなシーンで興奮することはあっても、男性と肉体的に接触するなんて、自分には縁のないことだとしか思えなかった。
それがこんな風に、出勤前に電車の中で触られたり、パンティーの内側を手鏡で見られるなんて、異常事態だとしか言いようがなかった。
「ひゃ……んくっ……」
(あ……ジンジンするぅっ……)
ふいに下腹部全体が、キュッとせり上がるような熱い疼きに襲われた。
「このコ、毎日触られるごとに、だんだん快感を覚えてきてるみたいだな」
こういうことは、今日が初めてではない。
春から繰り返され、毎回、逃げようとしているのに、結局、今ではここまで激しい痴漢行為が行われるようになってしまった。この通勤時間の仕打ちには、毎回、衝撃を感じてしまう。
くすぐったいような、もどかしいような、罪悪感を伴いながらも、どこか悩ましく体の奥から何かを欲するような、過去に経験したことないような感覚が、ここ数週間、特に強くなっていることに自分でも気づいていた。
(だから、こんなことしちゃダメなのぉっ……)
いくら経験不足の私でも、これは男性の淫らな欲望のターゲットにされていることは気づいていた。
日に日に彼らの痴漢行為がエスカレートしている。車両や時間を変えても一時的な回避策にしかならなかった。
通報するべきなのか逃げるべきなのか、と悩みながら、手を打つことができないでいるのは、私が通勤電車に慣れていないからなのだろうか。
どうしていいのかわからず、うつむいているせいでひとりひとりを特定することは困難だが、いつしか、私を取り囲む男性乗客の顔ぶれが、いつも同じメンバーになっているようだ。
「ビラビラの中に指が入ると、もっと気持ちよくなるからね」
「ひゃぁっ……く……んっ」
(うそよっ……中に指を入れちゃダメェッ……)
とっさに鏡に目を向けると、二枚の羽のように広がった秘芯の中心線に、ぬぷっと男の指先が潜り込んでいくところだった。
(あ……アソコに入っちゃうぅっ……)
身をよじった拍子にレールの連結部に差し掛かり車体が揺れる。
(このまま指を挿れられたら、私、バージンじゃなくなっちゃうの!?)
不安を抱いた瞬間、待ち構えていたように左脇で様子を伺っていた別の中年男性が腕を伸ばし、後ろから回り込んできた。左に傾いた私の背中を支えるように倒れそうな体を立て直してくれるのかと思って、反射的に「……すみませ……」と謝ろうとすると、シッと声を制して唇に指を当て黙るように合図を送ってくる。
(え。何?)
たじろぐ私のブレザーの中にもう一方の手を差し込んできた。
「え……あぁっ!」
上着の中で指先はバストの曲線に沿ってモゾモゾと蠢き、ブラウスの上からふくらみをまさぐってくる。と、同時に、ぞわっと痺【しび】れるような疼きが胸元にせり上がった。
(あんっ……な、なんなの……この感覚……)
見知らぬ男性に胸を揉まれて、困惑や恐れと同時に微かに陶酔するような感情が湧き上がることに私はショックを受けてしまう。
(こ、これが感じるっていうこと……ま、まさかね……)
言い知れぬ不安で心が揺れた。
遠くから「コホン」と咳払いが聞こえてくる。
少し離れたドアの脇に立っていた銀縁眼鏡の長身男性が、怪訝【けげん】そうな顔をしてこちらをうかがっていることに私は気がついた。
(あの人……この状況を怪しんでいるんじゃないかな……気づいてくれた人がいる……)
私は背伸びをしてビジネススーツの群れの向こうを覗けるわずかな隙間から、彼に救いを求めるような気持ちで必死に目配せしてみせる。
(早く気づいて……私を助けて……)
通勤時間帯の特急電車は4、5駅ごとの停車となり、しばらくの間は車両内に閉じ込められることになる。痴漢行為がさらに過激になりそうで私は胸がざわついた。
「さぁ。これからがいいところなんだから」
連結部と車両の境目に立っていたワークジャケットを着た色黒の長身男性が耳打ちしてくる。手品の仕掛けを隠すかのように、ポケットから出したスポーツ新聞を広げた。車両に向けて視界は遮断され、ドア脇にいた男性に視線で訴えることも叶わなくなる。
(もしかして、この人は見張り役なんだろうか……)
春先に就職して以来、電車通勤を始めて、このラッシュでヒップやバストを触られることが頻繁に起こるようになった。そしていつしか前後や左右と、同時に手が伸びるようになり、特に数週間前からは取り囲まれ、スカートの中に手を入れられ、ストッキングやパンティーまで脱がされて、局部に触れられるような事態にまで進展している。
乗車と同時になだれ込むように奥に押し込まれ、囲まれてしまった後の流れを思い返してみると、やはり彼らは合意の上で私をターゲットにしているとしか思えなかった。
イラスト蜂不二子
精一杯努力したけれど、身体の弱かった里歩は勤めていた会社を退職に追い込まれてしまう。家にこもりがちだったある日、母の友人宅で食事を作る仕事を勧められる。料理は自分の数少ない取り柄。はじめは戸惑うものの、自分が誰かの役に立てることに喜びを感じる。ある時、母の友人から甥の所でも腕をふるって欲しいと提案され、引き受けた里歩。そうして、青年実業家・透真のもとで料理を作るように。しかし頑張りすぎた里歩は眩暈を起こし、彼の腕の中で介抱されてしまう。その時彼への想いを自覚した里歩。でも自分は不釣り合いだと気持ちを閉じ込めようとする。しかし透真もすでに里歩なしではいられず、彼女を気遣いつつ距離を縮めはじめ──