夢中文庫

コンビニプリンスは秘蜜の御曹司!?

  • 作家如月一花
  • イラスト期田
  • 販売日2018/6/26
  • 販売価格400円

桜子はコンビニで接客をし、品出しをして──普通のアルバイトに日々勤しんでいる。そして同じ店で働く品川壮真を「コンビニプリンス」とひそかに憧れていた。彼は柔らかい物腰でお客様対応は完璧、芸能人顔負けレベルのルックスを持ち、いつも桜子が困っているとさりげなくフォロー。それは桜子が憧れる王子様のよう。いつか一緒にカフェでデートが出来たらと願っていた。休日、桜子がふと目にした高級そうな黒塗りの車から、壮真が降りてくる。見間違い?桜子が彼にその疑問をぶつけると、見たことは忘れて欲しいと言う。その代わり桜子の希望通りカフェデートが実現。──壮真の正体は…?身近な場所にいた王子様との夢見た甘い恋がはじまる!

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午後十二時三十分。
 駅前にあるコンビニのレジは長蛇の列を作り会計を待つ客が苛立っていた。
 わずかな昼休みを一分、一秒でも無駄にしたくない人達とふらりと立ち寄った客。
 それらがまぜこぜになって、さっさと会計を済ます人やゆっくりと済ます人で、客の苛立ちの矛先はいつも店員に向けられている。
 安藤(あんどう)桜子(さくらこ)は必死にレジを打ったり、からあげを袋に詰めたり、ときにはコーヒーの用意をしたりと、もはや頭の中はぐるぐると目が回りそうだった。
 そんな時、常連のおじいちゃんがひょっこり現れた。
 しかし桜子は顔を一瞬引きつらせた。
(この人おしゃべり長いんだよねえ)
「若いのに頑張るねえ。たばこ……。セッタ。ワンカートン」
「はい!」
 二十二歳になったばかりの桜子は煙草を吸ったことがないが、コンビニに勤めだして嫌でも覚えた。
 マイルドセブンは途中からメビウスに銘柄が変わり、何がなんだか分からなくなりそうな時もあった。そんなときは決まって、『何番の煙草ですか?』と煙草の陳列横に書かれている番号を訊いて切り抜けた。
 でも、銘柄を覚えないことには補充も出来ないし、結局は覚えていくしかなかった。
 そんな中、このおじいちゃんから『セブンスター』を略称で呼ばれ首を傾げたところ、丁寧に教えてくれたのだ。
 以来、桜子がいると列に並ぶのだが──。
(……今話してる場合じゃないのに)
 セブンスターをワンカートン取り出して、おじいちゃんは満足気にお札を出す。
「教えてあげて良かったろう? 昔は煙草にこんな高い金払わなかったんだ」
「そ、そうですか」
「最近の若い男は吸わんのだろ?」
「そうですね」
 生まれた時から煙草は身体に悪いと教えられ、どんどん値上がりするものに、わざわざお金を出す人は少ない。
「車も乗らんというし。ステータスじゃぞ! ステータス! 良い車に乗って、ドライブして、結婚して、幸せじゃないか」
「は、はあ」
(ステータスは私を養ってくれないし……。車なくても生きていけるけど)
 桜子は苦笑いをしつつおじいちゃんの話を聞きそうになる。
 しかし、待ちきれない客が苛立ちで咳払いを始めた。
「お、おじいちゃん……、少しよけてくれてもいい?」
「そうして邪魔者にするんじゃな!」
「ち、違うの。今忙しいから、仕方なくて」
 後ろの客がわざと舌打ちした。
 殺気だつような気がして、桜子はなんとかしておじいちゃんをどかしたいのだが、ひとりごとを言い出してしまって、レジ前は塞がってしまう。
(あ~~~!)
 頭をかきむしりたい程苛立っているのに、苦笑いしか出来ない自分がもどかしい。
「あの、おじいちゃん」
 滑らかな低音が桜子の頭上から降り注いだ。
 その声に、ぴくんと身体を震わせる。
 品川(しながわ)壮真(そうま)だ。
「後ろの人も待っているし、また今度時間のあるときにお話聞くから、今日は勘弁して欲しいんです」
「おお! そうか! 悪かった」
「この時間は凄く忙しくて、相手は出来ないんです。時間のある時にお話聞きますから」
「いやいや、悪かった」
 手をひらひらさせて、おじいちゃんはレジから立ち去る。
 すると後ろのサラリーマンが権幕(けんまく)な顔で品川に文句を言った。
「おせーよ」
「申し訳ありません。すぐに。安藤さん、お願いします」
「は、はい!」
 慌ててレジを打ち始めて、品川をちらりと見る余裕もない。
 総菜を温めている間に、菓子パンを袋に詰めた。
 まだ苛立つサラリーマンに委縮しつつ、桜子はここで手を止めるわけにはいかないと必死だ。品川が助けてくれなかったら、このサラリーマンは激怒していたかもしれない。
 いつだったか、夜勤のふたりの対応が悪いと言われて、店長が呼び出されたことがあるのだ。もちろん、平謝りしか出来ない。
 憂さ晴らしがしたいだけなのだと店長は言っていたが、夜勤のふたりはそれがきっかけで辞めてしまった。今は店長と新人で夜勤を動かしている。
 行列をさばき、次第にお客さまが店内から減っていくと今度は品出しだ。
 高く積み上げられたばんじゅうには、パンやら総菜が。
 すでに店の中に入れられたばんじゅうを見て、桜子はため息を吐いた。
 そして、飲み物は冷蔵に陳列しないといけない。
 それらを接客しつつ行うと、結局猛烈に忙しい昼の時間とあまり忙しさは変わらないのだ。
 そんな時、ぽんと肩が叩かれた。

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