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異世界で魔女に間違われたら愛されすぎて困ります!?

  • 作家如月美樹
  • イラスト深山キリ
  • 販売日2020/10/29
  • 販売価格900円

転移した異世界で魔女と勘違いされてしまった奈々は、アルシャンドレ王国の国境警備隊に保護され、隊長のアンデルをはじめ騎士たちが暮らす砦で共に生活をすることに。騎士たちは皆、奈々を妹のように可愛がってくれ、異世界にいながらのほほんと暮らしていたのだが……そんなとき、敵国の兵が砦内に侵入し奈々は攫われてしまう。アルシャンドレの騎士たちは奈々を取り返そうと奮起するのだが、連れ去られた奈々は敵国の王・カレウスに求婚されてしまう! そしてなにやらカレウスには、奈々を手放せない特別な理由があるようで……。さらに、奈々を魔女と信じて疑わない教会のトップ・教皇ラセラスも、奈々を奪う機会を窺っていて──!?

第一章 伝説の魔女
 カーテンの隙間から射す眩しい日の光に強制的に起こされた奈々(なな)は、仕方なく重い身体を起こした。
 まだ眠たいと訴えている身体の動きは、果てしなく重く鈍い。
 それでも時間は待ってはくれない。今日は一限目から講義が入っているのだ。
 仕方なく寝台から立ち上がり、服を着替えた。そして、姿見に映る黒とグレーの服に身を包んだ自分を見て奈々は眉を寄せた。
「はあぁぁ~……」
 思わず特大のため息が零れてしまう。
「昨日のこと、まだ引きずってるのかな」
 昨夜は遅くまで居酒屋のバイトが入っていた。常連客とも言えるサラリーマンの若い男性を思い出し、またも大きなため息が零れる。
 その男性は何故か自分にだけクレームを言いつけてくるのだ。他のバイト仲間に聞いても、その男性は感じのいい人だという。
「何でなんだろう……」
 鏡に映る自分の姿。落ち込んでいる自分の気持ちを反映するかのように、全身暗い色の服を着ている。無意識に手に取った服は、自分の気持ちをそのまま表しているようだ。
 一瞬着替えるか悩んで時計を見るが、その時間はない。
「まあ、仕方ないか」
 今日もバイトのシフトは入っている。気分を盛り上げていかなければやってられない。
 急いで朝食を食べて支度をし、家を飛び出した。
 地元を離れて大学へ進学し、都会暮らしを開始してもうすぐ二年。大分と都会には慣れてきたが、こんな時はやはり寂しいと感じる。愚痴を聞いてくれる相手がいないというのは、ストレスが溜まる一方なのだ。
 すっかり寒くなってきた。冷たい風が足に当たり、下から吹き上げる。思わずコートの襟元をギュッと握り締めた。
「さむっ!」
 駅近くにやってくると、通勤と通学の人たちで流れができる。その流れに乗るように奈々も進む。
 駅の改札口へと昇る階段へ足をかけた時だった。
 少し身体が浮くような感覚に襲われた。続いて襲ってくる横揺れ。
(……っ! じ、地震だっ!)
 そう頭で理解した時にはすでに遅かった。
 階段の上から人が倒れてくるのが、異様にゆっくりと見えた。階段に足をかけたばかりの自分はもちろん一番下だ。
(巻き込まれるっ!)
 そうわかっていても、もの凄く酷い地面の揺れにどうしようもない。
(押し潰されるっ!)
 思わず奈々は、頭を庇うようにして瞳を閉じた。

「失礼いたしますっ! 将軍、丘の上に大軍が現れましたっ」
 部下の報告に合わせるように、地響きが陣営まで聞こえてくる。
 数日前、敵国アルシャンドレ王国の国境警備隊長の首を打ち取ったばかりで、コンヴィッカ王国の兵たちは少々浮かれていたところを攻め込まれた形となってしまった。
 敵軍がこの地へやってくるのは、数日後だと過信していた。
「今度は誰がやってきた?」
「そ、それが……」
 酒の入った盃を掴もうと手を伸ばしながら、報告する兵の顔を見る。
 言い淀む兵の顔を、眉を寄せながら忌々しそうに睨みつけた。

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