夢中文庫

クールな秘書は俺様副社長の重い愛から逃げられない

  • 作家黒羽緋翠
  • イラスト園見亜季
  • 販売日2020/10/16
  • 販売価格400円

俺様で傲慢な副社長・西門の秘書を務める弥生は、そのクールな見た目とは反対に、性格は不器用で意地っ張り。半月前に初めてできた彼氏にも「俺が思っていた女とは違う」と言われ、あっさり振られてしまう。ひどい言葉にショックを受ける弥生だったが、一方で彼を引き止めたいとは思えず涙も出てこない。すべては可愛げがない自分のせいだと落ち込む弥生に、西門は「お前をいい女にしてやる」と言うと、突然キスをしてきて──!? 西門の自分勝手な行動に苛立つ弥生だったが……「本当に気が強い女だな。でも、嫌いじゃない」自分をからかうような態度と、たまに見せる優しさや甘い顔。本心が読めない西門に、弥生は翻弄されてしまい……?


「今仲(いまなか)、俺の予定はどうなっているんだ?」
「午後の予定は、吉沢(よしざわ)様との打ち合わせとなっております」
「それは親父の仕事だろう。……たくっ」
「そう言われましても、副社長だからです」
(……またはじまった。というか何度言ったらわかるのかしら、うちの次期社長様は)
 ガラス窓から輝くような太陽の光が差し込んだエントランスホールを歩きながら、今仲弥生(やよい)は舌打ちをしている隣の男に呆れ果てる。副社長である西門(にしかど)悠生(ゆうせい)の秘書になって半年、彼がこのような態度をするのはいつものことだとわかっていても、あまりにも次期社長としての自覚がなさすぎるのだ。
 眉目秀麗な美しい顔立ちで、高級なスーツを着こなす男性。それに加えて仕事にも敏腕ぶりを発揮しているのに、どういうわけか弥生にはこんな態度を見せてくる。
「ねえねえ、またあのふたりが言い争っているよ」
「美貌の副社長と氷の才女。これであの言い争いさえなければ絵になるのに──」
 白で統一された空間で弥生の耳にそんな会話が飛び込み、ちらりと周囲を見る。と、二人組の女子社員が、うっとりとした様子でこちらに視線を向けていた。
 きっと彼女たちは眉目秀麗な西門を見ているのだろう。そんな視線を嫌というほど向けられているので、それが手に取るようにわかっていた。
 弥生にすれば俺様で傲慢な西門は苦手な存在だが、彼といると素の自分でいられるような気がするのだ。
「しかし、おまえが氷の才女ね……。外見はともかく、俺からすればほど遠いのにな」
「そんなことを言うのは副社長だけです」
「これでも褒めてるんだ。秘書としては最高だからな」
 どこが褒めているのかわからないので、弥生は首を傾げる。だが、西門の観察力に驚いたことは何度もあった。
 大抵の人が弥生をクールな女性だと言う。弥生もまた、意地っ張りな性格が災いしてそう見せるようにしてきた。
 なのに西門だけは、本当の自分を見抜いているかのように思えるときがある。
「とにかく、副社長はもう少し次期社長としての自覚を持ってください」
「俺の秘書は本当につれないな」
「…………」
 まったくもって一筋縄ではいかない副社長には困ってしまうことが多く、それが悩みの種だ。だけどそれを本人に言ってしまえば、もっと弥生を困らせようとするのが目に見えている。
 だからこういうときは無言でいるしかない。そう思いながら歩いている方向に視線を向けると、西門は少し前を歩いていた。
 さっきまでは自分と並んで歩いていたはずなのにと思うが、社内ではいつものことだ。
「弥生ちゃん、いま会社に戻ってきたの?」
 かわいらしい声が聞こえて振り返ると、そこには弥生に向けて愛らしい笑みをこぼす受付嬢がいる。幼なじみで同じ会社に入社した金元(かねもと)冬香(ふゆか)だ。

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