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主任と私、28日間の攻防~変わり者上司は私の肌を甘やかす~

  • 作家鞠坂小鞠
  • イラスト京橋こより
  • 販売日2020/09/01
  • 販売価格700円

「肌だけじゃなくて、君の全部、もう他の誰にも見せたくない」化粧品会社の総務部で働く灯子は、スキンケア商品のモニターに選ばれ研究所の商品開発部へ異動することに。そして主任の瀬多から直接肌チェックを受ける羽目になる。端麗な顔立ちで有名な瀬多は、実は自他ともに認める変わり者で、肌に異常なほど執着を示すいわゆる“肌フェチ”だった。灯子の肌に陶酔する彼に、ふたりきりの研究室で頬を撫でられ唇が触れそうなほど顔を寄せられて、緊張は最高潮に。胸の高鳴りから目を逸らし続ける灯子だったが――「……ごめん」ある夜、謝罪とともに口づけられ…?※本作品は過去に出版されていた別タイトルの作品を加筆修正したものです。

プロローグ
 ひやりとした感触に、思わず肩が震える。
 もう何度も同じことをされているのに、いまだにこういう反応を示してしまう自分が恥ずかしい。頬をなぞる指の主が口元を緩めて微笑む様子を想像しそうになり、目を閉じたまま、私は躍起になってその思考を振り払う。
 頬を緩くなぞる長い指は、目を閉じているから見えない。まだ開けられない。
 息が詰まりそうだ。今日も、吐息がかかるほど近くに顔を寄せられている。今にも唇が肌に触れてしまいそうな場所から、じっと見つめられている。
 とはいっても、見られているのは別に「私」ではない。この人はただ単に、良質な被験体が──その肌が、新商品のサンプルをどんなふうに吸い込んでいるかを見ているだけだ。
 それを虚しいなどと思うこと自体、間違っている。頭では分かっている。それでも。
 ……日に日にごまかしが利かなくなってきている。一旦頬に熱が集まってしまえば、当然、それはすぐには引かない。こんな触れられ方をされては、そうなる前に手を打とうにも無理がある。
 傍目にもはっきりと分かるほどに赤くなっているはずの私の頬について、相手は言及してこない。その事実が余計に私の心を乱し、複雑な感情を引き連れてきてしまう。
 いっそ早く終わってくれないものかと切実に思う。けれど、どうしたってそれは叶わない。
 一クール二十八日間のモニタリングは、まだまだ中盤なのだから。
1st week 変人上司×普通肌な私
 やや手狭な事務室内に、帰宅の挨拶を交わす同僚たちの声が響き合う。
 私はといえば、残務に追われながら、もうそんな時間かとつい溜息を零しそうになっていた。
 ……十月も間もなく中盤。時期外れの部署異動を言い渡されたのは、先週の金曜日のことだった。
 現状、翌週から新しい部署に移ることよりも、自分が抱えている仕事を同僚に引き継ぐことにこそ気を取られている状態だ。
 とはいえ、引き継ぐ相手は、私がこの経理課に配属された当初から在籍しているベテラン同僚。私だけに任されている業務の大半が、その人から引き継いだものだ。現在の進捗や詳細、当時から微妙に変化した内容を伝える程度で済むのはありがたかった。
 当社は、多数の化粧品ブランドを手がける会社だ。
 大元は家庭用洗剤やオーラルケア製品類など、一般家庭向けのさまざまな製品を製造・販売している大手企業で、そこからさらに複数のグループ会社に枝分かれしている。
 私が勤めているのは、そのうちのひとつ。化粧品やヘアケア・ボディケア製品を手がけるグループ企業の地方支社だ。その総務部経理課に、私は三年前から在籍していた。
 異動指示を受けたときの衝撃は相当だった。なにせ、ようやく今の仕事環境に慣れてきたところなのだ。しかも、異動先は今通っている支社ビルではなく、ふた駅隣の郊外に建つラボ──研究所だという。

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