夢中文庫

この恋、映画よりも甘めです!

  • 作家真崎奈南
  • イラスト里雪
  • 販売日2019/04/16
  • 販売価格500円

地味OLの小夏は社内で人気の野木にさりげない優しさを向けられてから、憧れが恋に変わり三年。最近彼は恋人と別れたようだけど、自分は脇役だからと自信が持てずに遠くから見つめるだけだった。映画をひとりで観終えたある夜の帰り道、酔っ払いに絡まれたところをランニング中の野木に助けられる。優しく手当もされた小夏は野木への想いが止まらず告白、予想外に付き合うことに! でもやっぱり片思い? と不安を抱きつつ、お互いの好きなものを理解しあいながら少しずつ心の距離を縮めていく二人。映画よりもときめきが止まらない! しかし、野木のことを諦めきれない様子の元カノの存在が無視できなくなって──


 大人になったらきっと私にも、大好きな恋愛映画のようにロマンティックな出会いが待っていると思っていた。
 中学、高校くらいまではそんな風におとぎ話さながらの妄想を抱いていたけれど、大人になってしまった今、所詮そのような出会いは私の手の届くところでは起きないという現実を知ることになる。
「ねぇねぇ。この前合コンで会った歯科医の彼から連絡来た?」
「うん、きたよ。今度はふたりっきりで会いましょうってさ」
「いいなぁ。彼が一番イケメンだったよね」
 都内湾岸エリアに位置する食品会社の本社にある食堂に、女子の興奮に満ちた歓声が響き渡っている。
 窓際に陣取っている女子のグループを、ずるずると醤油ラーメンをすすりながら横目で見ていると、隣で同じくラーメンを食べていた同僚の佐志田(さしだ)さんが呆れたようにため息を吐いた。
「岡内(おかうち)さん、すごいねぇ。マーケティング部の野木(のぎ)さんと別れたばっかりだっていうのに」
「……そうだねぇ」
 佐志田さんのぼやきに小声で返しながら、私、大滝(おおたき)小夏(こなつ)は改めて派手な印象の子たちが集まっているそのグループへと目を向けた。
 六人いる女子の中で一際目を引く美人が、歯科医師からまた会いたいと言われた岡内さんだ。
 栗色の髪の毛は艶があり、肌も綺麗で目も大きく、今は食事中のため座っているけれど立ち姿はすらっと細長い。
 彼女は我が社の花形部署であるマーケティング部に所属していて、男性社員相手にも物怖じせずはきはきと討論を繰り広げているらしい。
 一方私は、総務部で上司に言われた仕事を大人しく黙々とこなしているだけの、いわゆる地味OLである。
 ロマンティックな出会いを手にしてヒロインになれるのは、見た目が平凡で、口数も少ない私のようなタイプではなく、岡内さんのように自信に満ち溢れていて輝きを放っている、人目を惹く女性の方なのである。
 彼女のようになりたい。
 岡内さんに対して強い憧れを抱いたりもしているけれど、私は理想と現実の狭間にある溝を埋める方法が分からない。結局、ヒロインを取り巻くひとりでいるしかなく、ヒーローの記憶に色濃く残ることもないのだ。
 黄色い声を発し盛り上がっているそのグループから視線を逸らし、私は「ごちそうさまでした」と食べ終わったどんぶりに向かって囁きかけた。
「ああやって大きな声で騒いで……野木さんが可哀想。岡内さんが野木さんのことを振ったって話だし、自分を振ってすぐ他の男とか気分悪いよね」
 ラーメンを食べ進めながら顔をしかめている佐志田さんに「かもね」と苦笑いしてから、私は彼女の視線を辿っていく。
 飲み物の自動販売機の前に男性がふたり立っていた。
 そのうちのひとり、身長は180センチくらいで、黒髪の下には端正な顔、爽やかな好青年を描いたようなその男性がマーケティング部第一チーフ、野木智仁(ともひと)さんだ。
 彼はミネラルウォーターを片手に目の前の男性と談笑しているけれど、時折、岡内さんの方に目を向けている。きっと歯科医の話が聞こえているのだろう。
 穏やかにほほ笑むその顔から、ショックを受けているかどうかまでは分からないけれど、佐志田さんの言う通り振られた側だったとするならば、気持ちのいい話ではないはずだ。
 野木さんの思いを想像すると、自分の気持ちまで重くなっていく。

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