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ずっと好き~ツンデレ同期との初恋事情~

  • 作家水杜
  • イラスト如月そなみ
  • 販売日2020/12/22
  • 販売価格400円

小学校の卒業式の日、告白されて好きと返し、軽いキスを交わして想いを重ねたのに、突然姿を消してしまった初恋の人・大雅――美波はずっと大雅を想い続けていた。忘れよう、新しい恋をしようと思っても、できなかったのに、入社した会社で再会することになるなんて……。大雅が社長の息子だなんて知らなかった。しかし、心躍らせる美波に対し、大雅の態度は冷たく、目も合わせてくれない。傷つきながらも一生懸命距離を縮めようとする美波だったが、さすがにもうダメかとあきらめて落ち込んでいたとき、大雅が心配してシュークリームを買ってきてくれた。これって……ずっとずっと想っていた気持ちがようやく通じたってこと?

第一章 初恋の人
「今日もかわいい」
 熱のこもった瞳で丸いサボテンに話しかける男性を見て、私、大内(おおうち)美波(みなみ)はコーヒーの入ったカップを手に持って棚に隠れた。
 こっそりと眺める先にいるその男性は、私が勤める住宅建材メーカー会社の社長の息子であり、同期でもある永島(ながしま)大雅(たいが)くん。
 年齢は私と同じ二十五歳だけど、身長は私よりも二十センチ以上は高く、おそらく一八〇センチあると思われる。
 ダークブラウン色の少し長めの前髪は自然にサイドに流されていて、その下にある切れ長の目はサボテンを愛しそうに見ていた。
 あの目で見つめられ、かわいいとも言われるサボテンが羨ましい……とひそかに思う私は、彼にたぶん嫌われている。
 身を潜めている私の肩を誰かが叩いた。振り向くとそこには、二年先輩である井川(いがわ)桃香(ももか)さんがいた。
 井川さんは私よりも背が高くて、出るところはしっかり出ていて、へこむところはちゃんとへこんでいるメリハリボディの持ち主だ。
 ロングヘアがまた卵型の美人顔に似合っている。対して私は丸顔で肩下五センチくらいのふんわりヘア。子供っぽく見られる私は、大人女子の雰囲気を醸し出す井川さんに憧れを抱いている。
 でも、井川さんはすらりとした美人さんなのに、喋り方が柔らかいというか、軽い感じ。そういう部分が残念だと言う人もいるが、親しみやすいと社内で人気を集めていた。
「みーなみちゃん、おはよー! どうしたの? こんなところで……ああ、あれね。今日もサボテンを愛でてるんだ。永島くん、おはよー!」
「井川さん。おはようございます」
 永島くんはサボテンに向けていた微笑みをそのまま井川さんにも向けた。
 井川さん、いいな……彼は私以外の人に、とても愛想がいい。私との朝の挨拶は、いつもしかめっ面なのに。
 私と永島くんしかいなかったフロアに続々と他の社員が出社してきた。
 私も隠れることをやめて、自分のデスクに行く。永島くんのデスクは、私の真後ろ。つまり、私たちは背中合わせになっている。
 私たちは入社三年目になる。私は環境事業部に入社時から所属しているが、永島くんは会社の後継者ということもあって、すでにいくつかの部署を異動していた。
 それで今年の春からはこの部で働いている。
 彼は大学生のときからバイトとして勤務し、知識を早々と身につけていた。そのため、他の同期と一緒に内定式や新入社員研修を受けていない。
 だから彼と初めて顔を合わせたのは、入社式だった。その後、何度かすれ違ったり、見かけたりして挨拶することはあっても、まともに話したことは一度もない。
 他の同期の人とは楽しそうに話しているのだが、私とは会話らしい会話をしたことがなかった。いつも声をかけるのは私からで、永島くんの返事は素っ気ないから、会話にならない。
 昔はいろんなことを話してくれていたから、冷たくされる理由が思いつかない。嫌われることをしてしまったのかな……。

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