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異世界トリップしたら男装王女にさせられて一途な騎士団長に溺愛されました

  • 作家宮永レン
  • イラストワカツキ
  • 販売日2018/12/28
  • 販売価格400円

エリナが会社帰りに出会ったのはマリオという名の自称王女様。顔がそっくりなエリナはマリオから自分達の生活を入れ替えようと提案される。ついマリオの言葉を信じてしまったエリナは、妙な鍵で見知らぬ世界へ足を踏み入れる。扉の向こう側にいたのは騎士団長のジャン。そこで実はマリオは男装王女で、ひと月後には隣国王子と国を賭けた決闘があるという驚きの事実を突きつけられる。マリオとしてその決闘に臨めというジャンに、そんなの無理!と逃げ腰のエリナ。ところが、エリナを鍛えると言い出して……昼間はスパルタ特訓の厳しい教官なのに、夜は一転してベッドの中でエリナを甘く激しく乱してきて――

支倉(はせくら)エリナは小さい頃から、物語に出てくるお姫様に憧れていた。いつか王子様が現れて、自分を幸せにしてくれるのだと信じていた。
 だが、現実は厳しい。そんなに甘くない。中学で両親が事故で他界してから、世界に一人ぼっちになってしまったような孤独感がずっと心の中にあった。学生の頃は目つきが悪い、近づくと不幸がうつるだとか難癖をつけられて、いつも一人だったし、就職してからも暗い、ノリが悪いと疎まれ、王子様どころか友人の一人もいない。
 いっそ誰とも顔を合わせない遠くへ行ってしまいたいと旅行会社のツアーパンフレットをどっさり抱えて家路を歩いている時に、エリナは一人の人物に出会った。
 相手もとても驚いていた。彼女は「マリオ」と名乗り、自分は王女で、新しい人生を送るために国を出てきたのだと話した。王女だという割に、服装は男物を身に着けている。
 突拍子もない話なのに、彼女の話を信じたのは、まるで鏡を見ているかのように見た目が瓜二つだったからだ。自分に似ている人間が悪人のはずがない、と思ってしまう。
 彼女の方が、目がぱっちりしていて快活で男勝りの印象があったけれど、エリナも今かけている伊達眼鏡をはずして前髪を短くすれば同じように見えるかもしれない。
 服装も名前も男のものであることに疑問を抱いたものの、すっかり嬉しくなったエリナは、そのことには触ることなく彼女を自分のマンションに招いた。
「エリナ。お姫様になりたくない?」
 色素の薄い瞳で見つめられて、エリナは身を乗り出して彼女にうなずいてみせた。
「なりたい! なれるんだったら……」
「大丈夫。私たち、こんなにそっくりだもの。気づかれないと思うよ」
 世の中には自分に似た人が三人はいると聞いたことがある。出会えただけでも奇跡のようなものなのに、彼女から提案されたのは互いの人生の交換だった。
「でも、マリオ。ばれたらどうしよう?」
 なりたいのと、なれるでは大分意味が違う。
 長い黒髪を一つに結び、白い詰襟のシャツに黒のぴたりとしたスキニーパンツのようなものを穿いていて、エリナがイメージしていたお姫様とは違ったのだが、逃亡の為に変装してきたのだと思えば全く不思議はない。
「ばれたら開き直るだけ」
 大した問題ではないという風にマリオは鼻で笑いながら肩をすくめた。
 顔がそっくりなのに、性格はまるで正反対だ。臆病で引っ込み思案なエリナには彼女が羨ましく思えた。彼女なら、意地悪な上司にも言い返しそうだし、冷たい同僚たちよりも仕事を早く終わらせそうだ。
(今まで何でも思い通りに生きてきたのかも……)
 王女なら、多少のわがままも通りそうだし、今まで苦労はなかったのかもしれない。もしかしたら、互いの立場を入れ替えて二、三日もしないうちにやっぱり嫌だと連絡してくる可能性もある。
 それならそれでもいい。一日でも、現実を忘れられるなら、入れ替わるのは悪くない話だ。
「わかった。お互いにうまくいくといいね」
「ありがとう、エリナ」
 テーブルに置いていたエリナの手を、マリオはぎゅっと両手で握りしめる。彼女の掌は少しざらついていて、これもまたイメージと違っていた。
(お姫様だって、手荒れもするわよね。もしかしたらテニスとかスポーツをしてるのかも。私、何もできないけど大丈夫かな)
 にこりと笑い返しながら、エリナはそんなことを考えていた。
「じゃあ、早速。その恰好ではすぐにばれるから、まずは服を交換しよう。私がいないことがわかったら大騒ぎになるだろうから」
「これはスーツだから。部屋にいる時は、ここにあるの好きなの着ていいわ」
 クローゼットを開けて、衣装ケースやハンガーにかかっている服を指す。
「好きに使って」
「ありがとう。でもその服を着てみたい」
 王女様は会社勤めもしたことがないので珍しいのだろうとエリナは、嬉々としてスーツに着替えるマリオを羨ましそうな目で見つめた。
 髪の長さも同じなので服を交換しても、違和感はなかった。
「やっと、自分のために生きられる……」
 しみじみと言葉を零したマリオの瞳が潤んでいる。
「王女様って、そんなに大変なの?」
 ただの一般人の自分が王女を演じきれるのか、急に不安になってきて尋ねると、マリオはにこりと笑った。

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