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恋はいつだって突然

  • 作家水城のあ
  • イラスト琴稀りん
  • 販売日2014/3/7
  • 販売価格300円

真面目でなんでも計画通りに進めたいOLの真帆。仕事はきっちりこなすものの、スケジュール帳にないのは、恋人との予定。ある日、女友達に無理やり連れて行かれた「婚活バー」で、偶然、憧れの上司、黒崎と鉢合わせしてしまう。気まずい真帆だったが、黒崎からしばしば食事や映画に誘われるようになる。オフィスでのクールでストイックな黒崎からは想像ができないほど、プライベートでの彼は包み込むように優しくて……。彼からの告白のあと、彼の自宅に向かうエレベーターで、はじめてのキス。ドキドキが止まらないのに、「今日の予定は君の手帳に書き込まれてなかったかな」だなんて、ズルイ! 恋は予定通りにいかないみたいで……。ショートストーリー『そして、ずっと一緒に』同時掲載

少し暗い店内に、初めて聴くけれど耳に心地よいフランス語の曲が流れる。

 店内のソファーのあちこちでは今日出会ったばかりの男女が、お互いを探るように会話の駆け引きを繰り広げていた。

 遠藤えんどう真帆まほは氷がすっかり溶けてしまったグラスを見つめて、小さくため息をついた。

 この店はここ数年話題になっている婚活バーで、平日の午後七時台だというのに程良く賑わっている。

 都内にはいくつかこのような店があるらしいが、ここはオフィス街にも近く会員制であるということもあって、それなりにきちんとした出会いを求める男女が集まって来ているように見えた。

 店に来てまだ一時間ほどしか過ぎていなかったが、話し相手がいないおかげですっかり退屈してしまった真帆は、座っていたカウンターから店内をぐるりと見回した。

 少し離れたソファー席では大学時代からの友人、沙織さおりがスーツ姿の男性と談笑をしているのが見える。

 年は三十代半ばぐらいだろうか。決して美男子とは言い難いが、着ているものや雰囲気から堅い職業でそれなりに生活に余裕がある感じだ。

 ここには沙織に誘われて……というか、半ば騙し討ちのように連れてこられてしまったのだ。

 二、三日前に沙織から久しぶりに飲みに行こうと連絡がきて、なにも考えずに待ち合わせをしたらこの店に連れてこられてしまった。

「こ、婚活バー!?

 店舗の入った雑居ビルのエレベーターの前でやっと店のことを知らされて、真帆はパニックになった。

「ちょっと、待ってよ! 飲みに行くって言ったじゃない!」

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