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魔法省のエリートさまとズブズブな蜜約関係

  • 作家長野雪
  • イラストさばるどろ
  • 販売日2020/11/13
  • 販売価格900円

少ない魔力をやりくりして店を営む魔法使いのイヴリーンは、魔法省に勤める超エリートのヴァイゼルから、口づけを介して魔力をもらっている。ヴァイゼルの持つ魔力は濃厚で、質も量も大満足。二人はあくまで魔力譲渡のための関係だったが、ある日ヴァイゼルから口づけに代わる〝効率的な方法〟を提案されたことでさらに深い関係へ――「どうせ、まだ足りないのだろう?」比べ物にならないほど濃密な魔力に包まれ、ますます仕事に精を出すイヴリーン。一方ヴァイゼルは、関係が深くなるほどなぜか苛立ちを覚え、イヴリーンが危険な仕事を受けてきたことでついに我慢の限界になり――

「ん……、は、ぁっ」
 悩ましげな吐息とともに、二人の唇が離れると、透明な橋だけが二人をつなぎ、すぐにぷつりと切れた。
「ありがとう。助かったわ」
「イヴリーン、君も程々にしておいたらどうだ?」
 イヴリーンと呼ばれた女性は、舌をちろりと出して、唇に残った唾液を舐め取ると、男の問いかけにとんでもないと首を横に振った。
「バカ言わないで、ヴァイゼル。何度も言ったと思うけど、弟のための仕送りを止める気はないんだから」
 この小さな店舗で仕事を続けるイヴリーンは、長い口付けで上気した頬を隠すように、その赤茶の髪をほどいてまとめ直す。
「ヴァイゼルには悪いと思っているのよ。こうして魔力を提供してもらっているんだから。でも、それとこれとは別の話なの」
「別に私は構わない。君のように少ない魔力をやりくりしているわけではないからな。むしろ余っているものを有効活用するぐらい、誰も文句は言わないだろう」
 ────魔法使いを本業として生活するには、乗り越えなければならない問題が大きく二つある。一つは魔法の適性だ。そもそも魔法の適性がなければ、魔力を魔法として使うことができない。これは、生まれつき定められたもので、様々な魔法を努力次第でこなすことのできる万能型と、特定の魔法しか習得できない特化型の二種類が存在する。もう一つは魔力量だ。多かれ少なかれ、人は魔力を持っているが、魔法使いとして独立するためには、一定以上の魔力がなければ難しい。どれだけ素晴らしい魔法を使える者でも、それを使いこなせるだけのエネルギーがなければ無用の長物だ。
 イヴリーンは「色」に特化した魔法使いだった。布の染色や衣服のシミ抜きなど、ある程度需要のある魔法だが、イヴリーンの魔力量はそこまで多くない。それでも独り立ちするだけならば十分なのだが、そこに家庭の事情が関わってくる。
 イヴリーンは市井の出身だ。魔力量の多い貴族出身者が多く通う魔法使い養成学校をそれなりの成績で卒業した彼女には、弟が一人いる。弟をできるだけ良い学校に通わせたいという姉心で、せっせと家に仕送りをしているのだ。それこそ、自分の魔力ギリギリの──それどころか魔力オーバーの仕事をこなすことで。
「でも、誰かにバレたら、色々と問題になるんじゃないの? よりによって魔法省の官僚サマが」
「バレなければ問題ないということだろう」
 ヴァイゼルは銀縁の眼鏡をくい、と押し上げ、不敵に笑った。どこからこういった自信が湧き出るのかは分からないが、こういった仕草が学校で人気のあった理由の一つなんだろう、とイヴリーンは思う。
 ヴァイゼルはイヴリーンと違って、れっきとした貴族の出身者だ。その魔力量もさることながら、万能型の魔法使いで、しかもいずれかの属性に偏ることなくオールマイティにこなす成績優秀者。それは人気も出るだろう。血筋、才能、将来性と三つ揃っているのだから、学校に在籍している頃から、あれやこれやとアプローチがすごかったと記憶している。もちろん、そんなものに縁のないイヴリーンは、他人事のようにその様子を眺めていただけなのだが。

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