夢中文庫

ブロックした恋の癒やし方

  • 作家乃村寧音
  • イラストえだじまさくら
  • 販売日2018/4/20
  • 販売価格400円

「じゃあ、恋愛の練習をしよう」運命の出会いを諦め、婚活に乗り出した年齢=彼氏無し歴の絵里奈。そこで彼こそがわたしの「タイプ」なのでは…!? と思える相手、湊人と出会う。しかし、恋愛経験がなく、男性に対して緊張してしまう絵里奈は慎重にデートを重ねながらもある日を境に連絡手段を断ち、湊人の前から消えることに…。もう二度と会うことはない。そう思ってブロックしたのに、新に出勤することとなった勤務先のビルには彼の務める会社も入っていて―! 思いがけない再会に動揺が隠せない絵里奈。以前と変わらず食事に誘ってくる湊人に断りを入れ慌てて席を立ったが…? お互いを求めて止まない二人の、再会系ラブストーリー

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運命の出会いなんてものはないらしい、と改めて気がついたのは二十四歳になった去年だ。
 中学校までは成績も良かったけど進学校で落ちこぼれ、中くらいの大学の文学部を出た。見た目も平均的、性格はどっちかというと地味。人間を明るいか暗いかで分けたら、きっと暗いほう。そんなわたしのどこを切り取っても、『だいたい普通』という文字があちこちから浮き出てくるような気がする。
 変わった特技もないし、『キラキラ輝く何か』なんて持ってない。良くも悪くも堅実。余計な贅沢するよりは貯金に回す、そういうつまらない女子だ、わたしは。
 二十五歳になるが彼氏はいない。というか、彼氏はずっといない。彼氏いない歴=年齢だ。
 目立たなかったし、奥手だったし、モテなかった。全般的にモテなかったけれど、あえていえばタイプじゃない人には好かれたことがあるが、タイプな人にはまったく好かれなかった。
 これが困ったことに、わりと理想が高いというか……。
 恋に恋する乙女だったから、『まずは適当に付き合ってみよう』なんて思えなかった。そんな発想さえなかった。だから、ずーっと彼氏無し。わりと潔癖な性格だと思う。
 でも、それで後悔したことはなかったし、特に不満もなかった。彼氏なんか、いなきゃいないで過ぎてしまう。実家は文京区のマンション。便が良いのでずっと住んでいる。姉が結婚して家を出たので、親と三人で暮らしているが居心地は最高だ。
 そんなわけで、恋人をどうやって作るのか、その実際のところをわたしは知らない。小説や映画の中でしか。
 そう、わたしは……実際の生活からは程遠いのに……いやむしろ程遠いからか……いわゆる『恋愛もの』が好きで、小説や映画やマンガ、アニメ、ドラマ、恋愛ものなら何でも見る。好きなのだ。萌えものってやつが。
 中でも一番好きなのは小説だ。もともと文学少女なので、活字慣れしているからだと思う。
 小説は、なんといっても自分の頭の中で好きなように想像できるところがいい。読み過ぎで、すっかり頭でっかちの耳年増だけど、これまで実際に経験する機会がなかったのだから仕方ない。
 恋愛経験がないということは、当然、セックスの経験もない。二十五歳で処女……。でも絶食系も多い昨今、さほど変わっているわけではないような気がする。とはいえどさすがにこの年になってくると、少々、焦りはあるけど。
 なぜなら……たぶん、結婚を意識してもいい年齢になってきたから。
 人生の中で大きなウェイトを占めるのであろう、恋愛と結婚。
 自分がちょうどそれをしてもいい年齢になっているのに……むしろ推奨されている感じなのに……このまま無縁でいいのかな、とつい思ってしまう。
 四つ上の姉が二十五歳のときに結婚しているから、余計にそう思うのかもしれない。姉は職場の同僚に十歳年上の歯科医をお見合いのような形で紹介され、あっという間に結婚した。
 その彼は悪い人ではなかったかもしれないけれど、どうにもさえない見た目の人だった。姉は結婚式直前のある日、何気なく言った。
『恋愛や結婚って、期待し過ぎないほうがきっと上手くいくんだと思うよ?』
 姉はわたしより見た目も雰囲気も華やかでモテていた。もっとカッコいい彼氏ともちゃんと付き合っていた。両親という同じ素材のかけ合わせで出来上がっているのだから、元はそれほど違わないはずだけど、メイクやファッションで工夫していて、学生時代を通してずっと男子に人気があった。わたしはそのへんもあまり上手じゃないというか、いわゆるモテファッションが好きじゃなかったので、姉と違ってモテなかったのかもしれない。姉は、割り切った感じで結婚したように見えた。期待し過ぎず、条件を優先して。
(あんなんで、いいの?)
 結婚式の日、姉は終始うれしそうにニコニコしていたけど……わたしはどこか冷めた気持ちで、そんな風に思っていた。
 わたしは姉ほど割り切れる気がしなかった。
 恋愛小説の読み過ぎと言われても仕方ないかもしれないけど、姉のような打算的に見える結婚はいいと思えなかった。
 条件が合うもの同士のお見合いだなんて、つまらなくて嫌だなあと思った。
 きっといつか運命の出会いがあるに違いないと、ぼんやり期待しながら日々を送っていた。

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