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生真面目ドクターはかわいいものがお好き?~甘やかされ同居生活~

  • 作家織原深雪
  • イラストnira.
  • 販売日2020/09/11
  • 販売価格400円

「出ていかれたら困るのは俺になりそうだな」──不動産会社の令嬢でありながら、家族に疎まれ暮らしてきた真実。ある日、自身の政略結婚の話が進んでいることを知ると、ついに家を出る決心をする。家を飛び出したものの行く当てのない真実が歩いていると、車に轢かれそうになっている一匹の子猫を見つける。真実は危険を顧みず車道に飛び出し子猫を助けるが、家のない自分は引き取ることができない。車を運転していた男性・慎司は責任を感じ、真実と子猫をまとめて面倒を見ると言い出して──。そして始まった、生真面目なドクター・慎司との同居生活。しかたなく始めた同居のはずなのに、慎司は真実を甘やかし、可愛がっていき……?

プロローグ
 私は家族から疎まれている。
 そう感じながらもなんとか邪魔にならないように静かに、言われたとおりに過ごしてきた。
 ここでの私はいらない子同然だったけれど……。
 それでも私を可愛がってくれる唯一の人がいたから、耐えてきた。
 離れに住んでいた祖父だけが私を可愛がり、祖父の離れでのみ私は息ができた気がした。
 そんな祖父が倒れて、入院してから一週間。
 祖父が倒れたこともありいつも以上に静かに過ごしていた私は、通りすがりに居間で話している父と義母の会話を聞いてしまった。
「もう、あの子も二十歳でしょう? 面倒を見る義務は果たしたのではなくって?」
「まぁ、それでもまだ学生だからな。卒業と同時に嫁に出すために今、会社にとってもいい縁組を用意しているから」
 優しさや思いやりなどかけらもない、そこには私の意思も関係ない。
 そんな半ば決まったような結婚の話に、私と早く離れたいのだろう義母はまだまだ不満を漏らしつつも、家から出てくれるならと父が話した私の縁組を受け入れたようだ。
 こんなに言われたとおり静かに過ごしても、私の意思すら無視して家から出すがためだけに結婚まで勝手に決められるのか……。
 それも父にとって都合のいいように、家の駒として嫁がされる。
 この扱いを思い知ると同時に私は初めて思った。
 もうこんな人たちの言いなりになる必要はないんじゃないの?
 教育や生活の面倒は見てくれたけれど、家族の情なんてこの人たちにはないように感じるほどだし。
 そして私自身も、そんな親にはもう期待もなにもないよね?
 そう思い立ったら、私の行動は早かった。
 祖父の入院と同じくして、祖父が離れで飼っていた愛猫も虹の橋を渡ってしまったので、ここを離れることにためらいはなかった。
 育った家に思い入れがないのは、思ったより良かったかもしれない。
 必要最低限の荷物をまとめると、私は部屋に書置きを残し、十五年育った家を出ていった。
 二度と戻らないという覚悟をもって……。
一、インテリ系イケメン男子に猫とまとめて拾われました
 思い立ったまま家出を敢行するも、その後の行動に困った。
 あまりお金もないし、住むところと働くところを見つけなければならない。
 しかし、まずはあの家を出ることを唯一の家族と思える祖父には話すべきだろうと思い至ると、ボストンバッグを載せた大きなキャリーバッグをカラカラと引いて、祖父の入院先である大石総合病院(おおいしそうごうびょういん)を目指すことにした。
 たどり着いた病棟のナースステーションの前でいつものように受付を済ませる。
 ここには父も義母もまず来ない。
 なにかのときにはお手伝いさんが来るだけで、家族で来るのは私ぐらいだと三日前にも祖父は苦笑しつつこぼしていたっけ。
 何度か顔を出しているからか、顔見知りの看護師さんがいつもとは違う時間に顔を出した私に声をかけてくれた。

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