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ナルシスト神官は我慢しない~容赦ない独占欲が全開です!~

  • 作家小山内慧夢
  • イラスト蓮水薫
  • 販売日2019/10/22
  • 販売価格600円

「あぁ、なんと素晴らしい……」神秘の国、トゥクルディア。鏡を覗き込み恍惚にため息を漏らすのは人並みはずれた美貌を持つ『救国の神官』ジョゼ。その熱視線の先は──「あぁ、私死ぬんだわ」現代日本で平凡に生きる鏡子。鋭い視線を感じ逃げようとして階段から転落! 死を覚悟するが気づくと目の前に迫る美青年の顔。鏡子を絶妙のタイミングでジョゼは特別な力を使って召喚したのだった。もとに戻してもらうのは難しいと知った鏡子はここで生きていくと決意。ジョゼの過剰に親密な優しさに惹かれるのだが、この世界の勝手はいろいろちょっと違う。「順番を守ってください!」男女のお付き合いの行程までも……!?

プロローグ
 いにしえよりこの地に祈りを捧げてきた人々の拠り所となってきた石造りの神殿は、夜になるとその様相をがらりと変える。月明かりに照らされたそれは人を拒絶するまでに冷たく、ぬくもりをはねつけるように固い。朝が早いゆえ夜には人気(ひとけ)が無くなるのが常であるが、今夜は音を立てるのも憚られる。そんな中、ある場所でゆらりと燭台に灯りがともる。それは迷い無く石の回廊を進み、やがて地下へ繋がる細い階段を下っていく。ひたひたと忍ぶような足音はやがて立ち入りを禁止されている扉の前で止まり、蝶番が小さく軋むとその足音は聞こえなくなった。
「これだ……、とうとうやったぞ! これでアレは私のものだ……!」
 口元を緩め、目を異様にギラつかせた人影が足早に立ち去ったのは、明け方近くのことだった。
1・救国の神官
「救国の神官さま、救国の神官さまはどちらに」
 まだ着慣れない神官服を引きずりながら見習い神官が声を上げる。その手にはいくつもの手紙の束が握られている。綺麗な透かし編みのリボンで丁寧に封を施されたもの、美しい花が添えられているもの、香が焚きしめられているもの。およそ神殿には似つかわしくない華美なそれは一見すると女性への贈り物のように見える。
 しかしそれは全て『救国の神官』と称される特別神官、ジョゼへの訴状であった。訴状といっても内容はといえば前半はどうあれ、最終的には『どうか我が領においで下さい』というお誘いの手紙……言うなればある種の恋文である。あまりに熱烈な恋文……訴状のためジョゼはその受け取りを渋って身を隠すことがよくあった。しかし見習い神官も訴状を届けるのが職務である以上諦めるわけにもいかず、こうして神殿内をくまなく探すことが日課となっていた。
「救国の、……あぁ、しまった」
 見習い神官は自分が一足遅かったことを悟った。彼が探していた姿は神殿の奥に安置されている秘術の鏡の前にあった。遠目からでもわかる豊かな銀髪は、日の光を受けていないにも関わらず神々しいまでに輝いている。月の女神に愛されし救国の神官・ジョゼ。その神力は神官長をも凌ぐとされ、その人並外れた美貌も相まって皆の尊敬や羨望を集める……筈だったが、彼には欠点があった。
「ああなってしまっては正気を取り戻すのに一刻はかかるだろう……仕方ない、午後からにしよう」
 見習いにさえそう言われてしまうほどジョゼが熱中するもの、それは己の美貌であった。

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