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友達宣言から始まる恋~スパダリDr.は私の脚に魅せられる~

  • 作家連城寺のあ
  • イラスト夢志乃
  • 販売日2020/3/27
  • 販売価格700円

「葉さん、キスしてもいい?」キスって、脚?唇?どっちに!?――高野葉は、仕事に集中するあまり、突然彼氏に振られてしまった! 失恋に落ち込む葉は、友人と訪れた店で魅力的な男性を見かける。葉の好みド真ん中な人だったが、縁はないだろうと思っていたそんなある日。いなくなった飼い猫の捜索中に大けがをし、搬送先の病院で医師をしているあの時の男性・園田に再会する! しかし運命的な再会に喜んだのも束の間、彼が素敵な女性と歩くのを目にし、二度目の失恋に落ち込む葉だったが……またも運命的な再・再会で、失恋した者同士だと発覚し意気投合! 友達関係になった二人だけど……園田の挙動に、葉はドキドキしっぱなしで……!?

1.ありえない元カレの話
 風薫る五月。遮光カーテンの隙間から、真っ白な朝日が射るように部屋を照らした。
「……ん……眩しい」
 高野(たかの)葉(よう)は、浮腫(むく)んだ瞼を半分開くと、光から逃れるように体をずらし、枕元に転がったスマホを手にした。時間を確認したところで、寝ぼけ眼がぱちっと開く。
「えっ、十一時!?」
 金曜の残業が終了したのが午後十時。帰宅して横になってから、ほぼ十二時間が経過していた。このまま寝転んでいると、背中から根が生えて一生起きられなくなりそうな気がする。
 大きな伸びをして、のろのろとベッドから降りた。カーテンを開けると、いやおうなしに眩しい太陽の光に晒される。あまりの明るさに、目を開けていられない。目を閉じて瞼の奥にゆらゆらとそよぐ赤い光を感じると、温かい腕に抱かれているような、妙な安心感に包まれた。
「植物になりたい……」
 願いが叶うはずもなく、いくら日光を浴びたところで、葉は人間のままだ。しばらく太陽を堪能した後、思い切って窓を開けると、涼やかな風が部屋をスーッと走り抜けた。
(あ、気持ちいい)
 春は名のみの三月から、無我夢中で日々を過ごしている間に、すっかり初夏になってしまった。目を細めて外に視線を向ければ、ベビーカーを押した若い夫婦の姿が目に入る。産後なのだろう、少しふっくらした母親は、抜けるように白い肌を日差しに晒して歩いている。その傍には、夫が寄り添ってゆっくりと進む。お互いが慈しみあう姿は、幸せの絶頂にいるように見える。それをボンヤリと眺めているうちに、葉の胸の中に、訳もなく激しい羨望が沸き上がってきた。
「……っ!」
 逃げるように部屋に入り洗面室で顔を洗う。冷たい水のおかげで目がシャキッと覚めた。タオルで顔を拭いて、鏡に映る自分の姿を正面から見すえる。
 そこには、やつれた顔のデブ女が映っていた。
「これ……私……!?」
 髪の毛や眉毛はボサボサ。色白の肌は甘いものの食べすぎでニキビの花が咲き、浮腫みのせいで枕の跡がくっきりと残っている。笑えるくらいに醜い。鏡に映る姿を見ているうちに、これが自分のどん底なんだ……。と、葉は理解した。
(私……終わっている。こんなんじゃダメだ)
 県庁勤務の葉にとって、年末から今年の四月にかけては、仕事が最も忙しい時期だった。部署によっては、『若いうちの苦労は買ってでもしておけ』などという、ハラスメントめいた言葉が頭上を飛び交うが、葉の上司はそれほど厳しい人ではない。それでも昨今では、公務員の人件費削減は当然の事で、人員補強などは夢のまた夢。入庁三年目の若手の葉に与えられた仕事は煩雑になり、確実に本人のキャパを超えていた。特に三月は恐怖の年度末だ。仕事は超多忙を極めていたのだった。
 付き合っている彼にも、自分の仕事がいかに大変か、デートの時には言える範囲で丁寧に説明したつもりだった。その度に、「頑張ってね」と激励されていたし、少しくらい会えなくても彼はわかってくれる。我慢した分、五月のゴールデンウィークには二人で旅行も良いかもしれない……。などと、彼とのデートをキャンセルするラインを送りながら、葉はそう考えていた。ラインが既読のまま返事がなくても、それを気にする余裕さえなかったのだ。
 そんな自分の考えが、いかに一方的で甘かったかを、その一か月後に思い知る事となる。

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