夢中文庫

不完全な月、夜の腕

  • 作家西條六花
  • イラスト藤谷一帆
  • 販売日2018/10/30
  • 販売価格700円

間宮伯爵家の当主・和孝の元に輿入れした、子爵家令嬢の佐保。夫となった和孝は寡黙であるものの控えめな気遣いを見せ、佐保はそんな彼に次第に慕わしさをおぼえていく。しかし結婚して一カ月が経っても、和孝は佐保を抱かない。その理由がわからずに悩んでいた矢先、佐保の実家が借金を踏み倒し、夜逃げしたという知らせが入る。それと同時に、実は佐保が子爵の庶子であり、女中同然に育ったことが明るみに出てしまった。怒りをあらわにした和孝は、佐保に残酷な罰を課す。「詫びの気持ちを示したいなら、僕の目の前で沢村に抱かれてみせろ」夫の和孝、そして彼の乳兄弟である沢村。二人の男の間で、佐保は翻弄され……。

*序章
 深夜の時間帯、広大な屋敷の中はしんと静まり返っている。使用人たちは既に別棟に引き上げ、寝静まっている時間だ。
 佐保(さほ)はひどく緊張しながら、その部屋の入り口に佇んでいた。中は西洋風に設えられ、豪奢な雰囲気だ。
 バルコニーに面した大きな窓には、優美なドレープを描くカーテンが掛けられている。床に敷かれた分厚い絨毯や壁掛けの絵画、舶来物の調度の数々が落ち着いた雰囲気を醸し出しているが、それがより佐保を緊張させていた。
 寝台の脇にひとつだけ灯された洋燈(ランプ)の明かりが、壁に濃い陰影を落としている。
「──こっちへ」
 ふいに低い声に呼ばれ、佐保はビクッと身体を震わせる。
 本当は、拒絶したかった。世間の常識に照らし合わせれば、こんな行為はきっと間違っている。
 だが自分の立場を考えると断るのはあまりにもおこがましく、佐保はぐっと言葉をのみ込んだ。結局声を発しないまま、そろそろと部屋の中央にある大きな寝台に歩み寄る。
「あっ……!」
 腕をつかんで強く引かれ、小柄な佐保は呆気なくよろめいた。寝台に押し倒されて息をのむのと同時に、上に男の身体がのし掛かってくる。
 寝間着の紐を解かれ、前を開かれた佐保は、ぎゅっと目を閉じた。すぐに男の唇が肌に落ちてきて、淫靡なその感触に声を押し殺す。
「……っ……ん、っ」
 男の唇は首筋から喉元、そして胸までを辿る。節の目立つ大きな手でふくらみを握り込まれ、佐保は思わず息を詰めた。
 まだ少女らしい硬さを残す乳房は、力を込められるとほんの少し痛みがある。佐保の表情でそれに気づいた男が、握り込む力を緩めた。そして詫びるように、先端部分を優しく舐めてくる。
「ふ、……っ」
 濡れた舌の感触に肌が粟立ち、佐保は唇を噛んだ。
 敏感なそこは舐められるうちに芯を持ち、硬く勃ち上がる。さらに嬲られるとムズムズと落ち着かない気持ちが湧き起こり、足先で所在なく敷き布(シーツ)を掻いた。
 胸の尖りを嬲っていた男が、ふいにそこを軽く吸い上げてくる。その瞬間、じんとした愉悦が走って、声が漏れた。
「あ……っ!」
 思いのほか大きな声が出てしまい、佐保は慌てて口をつぐむ。するとそれを見た男が、淡々とした口調で言った。
「声を我慢するな。……出したいなら、好きに出していい」
 佐保は無言で首を振る。
 そんなはしたないことは、できない。──断じてできない。なぜならこの行為に快感をおぼえている事実は、絶対に表に出したくないからだ。
 男はそれきり何も言わず、佐保の身体を丁寧に愛撫する。胸を吸いながら太ももを撫で上げ、裾よけの紐を解(ほど)かれた。
 無防備になった脚の間に手を差し込まれた佐保は、ビクリと身をすくませる。薄い恥毛を撫でた男の手が花弁を割り、秘められた部分に触れてきて、既に熱くなっていた蜜口からかすかな水音が立った。
「……っ」
 粘度のある蜜を溢れさせたそこは、触れられるとぬるりと滑る。
 初めてのときは解れるまで時間がかかったはずなのに、今は愛撫に反応して明らかに濡れるのが早い。その事実が、佐保の心を苦しめていた。
「ぁっ、あ……っ」
 男の武骨な指が、意外なほどの繊細さで蜜を塗り広げ、蜜口の上部の花芯に触れてくる。途端に甘ったるい感覚が湧き起こり、佐保は手元の敷き布を強く握り込んだ。
 ごくささやかな尖りであるにもかかわらず、そこはひどく敏感で、触れられると体内からトロトロと蜜が溢れ出す。身体が熱くなって呼吸が乱れるのを、佐保は自分で止めようがなかった。

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