
イラストルシヴィオ
大手広告代理店に勤める広告デザイナーの夏羽は、入社六年目で仕事に行き詰まりを感じていた。そんなある日、元カレである月島ほたるの経営するギャラリーに立ち寄る。元売れっ子CMデザイナーの彼は、誰にでも優しくて、大人の色気に満ちていて、やっぱり私はまだ彼が好き。年下の可愛い彼氏の光太郎がいるというのに、私は心の隙を突かれてイケない関係に……。年下カレの一途な愛と、大人な元カレの変質的な愛。そんな毎日に溺れていた私は、実はふたりの罠に堕ちていたことに気づかなかった。めくるめく官能の世界についに私は心も体も蕩けさせられ……。甘く危険なノンストップ倒錯ラブストーリー。
「可愛いよ、夏羽……」
彼は私のショートヘアを指で軽くすきながら、耳元で優しくささやいた。
身体を壁に押しつけられる。彼のギャラリーに飾ってあった絵画がカタンと音を立てた。
どこか虚ろげながらも、奥に鋭い光を見せる切れ長の瞳。この色っぽく妖しげな眼差しに見つめられると、不思議と私は身体の力が抜けてしまう。
微かな柑橘系の香水が鼻先をくすぐる。彼がいつもつけているエルメスのフレーバーだ。
無造作に伸ばした黒髪、端正な顔がゆっくりと近づいてきて、そっと唇を重ねられる。
少しだけ煙草の匂いがする。付き合っていたときの懐かしい感触と温もりを思い出し、私は身体を震わせた。
「ん……やっ……んふっ」
深く口づけされ、抵抗する言葉を押し込められてしまう。当然のように唇のあわいから舌を差し込まれる。
彼の舌に口中を攪拌され、あふれだした唾液を吸われる。甘くて苦い唾液が口内に流しこまれると、私の身体は早くもジンと疼いてしまう。
「ん……く……」
熱い舌が首筋をなぞるように這う。ぬめった感触に背中がぞくぞくし、甘い息が上がる。手足が、腰が、痺れ始める。
彼の指がブラウスのボタンを外しにかかった。
「あっ……月島さん……っ」
私は月島さんの身体を押しのけようとするも、その手にすでに力は入らない。細くても、年齢の割に締まった身体をしている彼の力の前に、抵抗など無力だ。
ボタンを外され、ブラウスをはだけられ、下に身につけていたキャミソールをまくられる。抗う間もなくブラを取られ、乳房がまろみ出された。
「だめっ……月島さんっ……こんなところで」
まだギャラリーは営業中である。誰かが入って来ないとも限らない。
「そんなこと言って……夏羽はこういうとこでされるのが好きなくせに。ほら、もうこんなに……」
乳房の先の突起が、熱いものにくるまれた。
「はう……!」
硬くなった乳首を、ちゅぷちゅぷと唇と舌で弄ばれると、どうにも身体はビクンビクンと反応し、蕩け出していく。
「ほら、後ろを向いて……壁に手をついて」
甘い声でささやかれると、抗う気力がどんどんと弱まってしまう。
くるりと後ろを向かされ、腰を後ろからひっぱられると、お尻を突き出した恥ずかしい格好になる。
「この体位が、好きだったよな……後ろから犯されるのがたまんないって……」
「そ、そんなこと言ってませ……あンっ!」
後ろから抱きすくめられ、ミニスカート越しに硬くて熱いモノがこすりつけられる。身悶えし、出したくもない嬌声を漏らしてしまう。
「あっ……はぁ……いっ……はぁぁ……」
後ろから乳房の膨らみをやわやわと揉まれ、空いたほうの手は、太ももを撫でまわしながらスカートの奥に指を忍ばせてくる。
服を着たまま、後ろからなんて……本当に犯されているみたい……。
―どうして、私……こんなこと……。
イラスト白峰早菜
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