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エリート御曹司の優しい執着愛~初恋蜜月は溺甘ライフのはじまり~

  • 作家佐久良慶
  • イラスト梓月ちとせ
  • 販売日2019/7/9
  • 販売価格300円

女子校育ちの真理子には、6つ年上でエリート商社マンの亘平という父親同士が決めた許婚がいた。今までも親に従ってきた真理子は大学を卒業後すぐ亘平と結婚。絵本作家の夢を応援してくれる穏やかで優しい亘平に心を惹かれていくが、すぎるほど大事にしてくれる彼からまだ触れられたことがない。焦れた真理子は亘平との子どもが欲しいと勇気を出して誘い──「ずっとこうして、君を抱きたいと思ってた……」 初めてのキス、不慣れな真理子を亘平は優しく少し強引にリードし初めて結ばれるのだが、本当に愛されているのかまだ不安な真理子。しかし、亘平の本心は真理子への独占欲と愛情に溢れすぎていて……!?


 自分に許婚(いいなずけ)がいたことを知ったのは、大学に入ってしばらく経った頃だった。
「真理子(まりこ)、お前には許婚がいるんだから、変な男に引っかからないようにしなさい」
 父は私をリビングに呼び出し、真剣な表情でそう言った。突然知らされた事実に驚いて、私は声も出なかった。
 私は両親の意向で、小学校、中学校、高校とずっと女子校に通い、大学ももちろん女子大に進んでいる。いわゆる箱入り娘というやつだ。ずっと共学の学校に通っている弟がうらやましく感じることもあったけど……女子だけの空間というのは嫌いではなかった。
 中学高校はあまり活動が盛んではない美術部に所属していた。そのため、大学でも活動的なサークルに入るつもりはなかったのだけれど、大学で初めて出来た友達にやや強引に誘われて、児童ボランティアのインカレサークルに入ってしまった。もちろんサークルのメンバーには、他大学の男子学生がいる。
 これを両親が知ったら絶対に猛反対すると思って、その時はすぐに辞める覚悟もしていた。でも意外なことに父も母も反対はしなかった。サークルの活動内容にはいい印象を持ったから、らしい。ただ、飲み会の類は門限を理由に断るように言われた。そしてさらに、父は今まで一度も話したことがなかった許婚の話を切り出してきたのだ。
 お相手の名前は神川(かんがわ)亘平(こうへい)。私より六つ年上の商社マン。アメリカの大学を卒業した人で、英語が堪能ということもあり、今は海外を飛び回っているんだとか。性格は穏やかで誠実、趣味は映画鑑賞。父が渡してきた写真を見る限り、かなり整った顔立ちをしている。ちょっと古いけど、甘いマスクという言葉が良く似合う顔だ。
「亘平くんは家柄もいい。将来的には達久(たつひさ)さん……父親の会社を継ぐことになるだろうな。……どうだ、かなりの優良物件だと思わないか?」
 父は得意げに話すけど、人を物件扱いするのはどうかと思う。
 でも確かに、話を聞く限りかなり素敵な人なんだろうな。こんな人が許婚だなんて、ちょっと申し訳なく思ってしまう。
「まあ……うん……」
 私はその後も適当に返事をして、自分の部屋に戻る。どうせ私の意志なんてろくに聞いてくれないから、適当なくらいがちょうどいい。
 そんなことを考えていたら、母が追いかけてきた。
「さっきの話について、もう少し補足しておかないとと思って」
 こうしてあとから母に聞いた情報によると、許婚の話は十年以上前にした親同士の口約束だったようだ。神川達久さんには遠く及ばないけれど、一応私の父も電子機器を扱う会社の取締役社長だ。多分、仕事関係で接点があったんだろうな。そしてきっと、口約束のことなんて向こうは忘れている。今後父があの時の約束を思い出させようとコンタクトを取ったとしても、断ってくるに決まっている。ちょっと人より絵がうまいくらいしか取り柄のない私と結婚するメリットなんて、大企業の御曹司でエリート商社マンの彼にはないはずだもの。

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