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女子学生は多忙中!~秀才監督生との恋と勉強に大変なんです~

  • 作家佐倉紫
  • イラスト八美☆わん
  • 販売日2019/7/26
  • 販売価格800円

侯爵家の娘でありながら勉強が大好きなライラ。両親は女の子が勉強をするなどとんでもないと言ってくるが、探究心にあふれたライラは隣国の大学への留学を夢見ていた。ある日、そんなに勉強したいのなら国内にできる男女共学の大学に入学してはどうか、と父に勧められる。大喜びで入学したライラだが、いざ蓋を開けてみるとカリキュラムは男女別に分かれており、女子学生の授業は花嫁修業ばかり。なんとか男子学生と同じ授業を受けられることになったものの、待っていたのは他の学生からの嫌がらせ……。さすがに心が折れそうになったとき、ライラは謎めいた監督生レンドリックに出会う。秀才の彼に勉強を教えてもらうことになるけれど……?

プロローグ
「ねぇ先生。この関数の計算ってどうやるんですか?」
 分厚い数学の本をめくった少女は、鋭い声音ですぐさま質問を繰り出した。
 少女ではなく、その隣に腰掛ける少年に向けて授業をしていた女家庭教師は、ぎょっとした面持ちで目を見開く。教科書を手にしていた少年も、まだ小さな肩をびくっと震わせた。
 そんな二人に気づかず、少女は濃い緑色の瞳をキラキラ輝かせ、さらなる質問を繰り出していく。
「それと、昨日読んでいた外国語の本の中に、書き方がおかしいところがあったんです。たぶん文法の違いだと思うんですが、辞書を見てもわからなくて。それも一緒に教えてほしいんですが」
「……あ、あの、ライラ様。今はあなたのお兄様であるジャスティン様の授業中で──」
「でも、お兄様が今やっているところは、もうとっくにやってしまったもの。つまらないわ。わたしはもっと難しいことをやりたいのよ」
 口元を若干引き攣らせながらも、なんとか笑顔を浮かべてたしなめる家庭教師に、少女は悪意なくズバリと言い切る。その瞬間、隣に座る少年の肩が先ほどより大きく震えた。
 だが少女はそれにも気づかず、小さな手をぱんっと打ち鳴らす。
「あ、それと! このあいだ植物図鑑を見てみたんですが、世の中には毒を持っている植物もあるんですって。でもお庭に咲いているお花はどれも毒がないと庭師が言っていました。毒がある植物とない植物ってどう違うんでしょう?」
「ラ、ライラ様、あいにくわたしは植物には詳しくなくてですね……」
「じゃあ虫のことは知っていますか? 植物に毒があるものとないものがあるなら、蜂たちはどうやって毒がない植物だけを選んで蜂蜜を作れるのかしら?」
「え、ええっと、ですね……」
 次々に質問を繰り出す少女に、家庭教師はもはや笑顔を保つことも難しいらしく、口元だけでなく目元までピクピクさせて、なんとか怒りをこらえている。
 だが自らの好奇心を満たすことだけに集中している少女は、なおも質問を重ねた。
「蝶も蜜を吸って生きているのでしょう? でもここよりずっと南の国では、このへんにいるのとはまったく違う大きな蝶もいると聞くし、そういう蝶はどれくらい蜜を吸えばお腹いっぱいになれるのかしら?」
 いっぱしに腕組みなどして、うーんとうなる少女に、家庭教師はもはや歯をギリギリと食いしばって、怒鳴りたい気持ちをこらえている。
 だが、家庭教師が大人げなく怒鳴り散らす前に、少女の隣に腰掛けていた少年が、バンッ! と大きな音を立てて教科書を机に叩きつけた。
「──もう勉強なんかやりたくないッ!! ライラばっかり質問してるんじゃ、授業をしている意味もないよッ! おまけにライラがなにを言っているかも全然わかんないし……どうせ僕は馬鹿で出来損ないなんだッ! 勉強なんてもうやだよおおおおッ!!」
 うわあああああん! と小さな子供のように号泣する兄ジャスティンを、ライラはぽかんと見つめていた。
 ほどなく、騒ぎを聞きつけた両親が勉強部屋に飛び込んでくる。二人ともライラには見向きもせずに、大泣きするジャスティンをなだめ、すっかり臍を曲げた家庭教師にへこへこ頭を下げていた。

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