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姉の婚約者をNTR(寝取)った訳ではありません、ハメられたんです

  • 作家園内かな
  • イラストはんにゃじ
  • 販売日2018/7/27
  • 販売価格300円

鈴音は姉の綾音から政略結婚の相手である惣一郎とうまくいっていないと相談される。同時に、会社が危ないとも…。そして惣一郎との仲をうまくいかせるため、協力してほしいと頼まれ、驚く。性格や考え方が違いすぎてあまり仲の良くない姉が頭を下げるなんて……ただ事ではないと了承した鈴音。その日、二人の食事の場に同行するとさんざん酒を勧めらる。言われるままに飲んだ鈴音は、かなり酔ってしまった。綾音からスイートルームで休むように言われたが、当の綾音は帰ってしまう。一人でのんびりしようかと思っていたら、なぜか惣一郎がいるではないか。これは一体どういうこと!?――園内かな大好物のラブHなクヤビク物語!

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プロローグ
「おかえりなさいませ、鈴音(すずね)さま」
 鈴音が門限ぎりぎりに駆け込むように帰宅すると、父の秘書である白崎(しろさき)が玄関に居た。
 彼がここに居るということは、父は珍しく早く在宅しているのだろう。
「ただいま。お父さん、今日は早かったんだね」
「はい。先方の都合で、会食が早く終わりましたので」
 老舗製薬会社の社長である父は、夜の付き合いも二箇所、三箇所と回るのが常だった。
 会食やパーティなど様々な予定が分刻みで詰め込まれていて、帰宅が深夜になるのが日常的なのだ。
 その父の、叱責するような声が聞こえ鈴音は思わず首をすくめた。
 玄関近くのリビングの扉は開け放たれていて、部屋に戻るにはそこを通らなければいけない。
 鈴音は小さく呟いた。
「お姉ちゃん、また怒られてるの。本当に、要領が悪いんだから……」
 白崎は小さく咳払いして言う。
「綾音(あやね)さまは、真面目で一生懸命な方ですので」
 確かに、良いように言うとそうだろう。
 いつも生真面目な長女気質で、何事も誰にも頼らず一人でやり遂げようとする。そのせいで何をするにも時間がかかるし、他人が差し伸べる手を拒絶してしまうところがあった。
 鈴音の目には、姉の言動は意固地な物に映った。誰にも頼らず可愛げがないので、人をイライラさせるのだ。
 鈴音は姉とは違い、自分に出来ないことはそれと認め、他人の手を借りて素早く完結させる。甘え上手で要領のいい、末っ子タイプの鈴音は両親にも可愛がられていた。
 鈴音は父の怒りの矛先がこちらに向かない為にも、二人の取り成しをしようとわざと明るい態度でリビングに入って行った。
「ただいまー。今、白崎さんが帰って行ったよ。今日は早いんだね、お父さん。お母さんは?」
「チャリティ演奏会に行っているが、もうすぐ帰るだろう。それより鈴音、遅かったじゃないか」
「門限には間に合ったよ。ね、お姉ちゃん」
 適当に姉に話を振ったところで、切り上げて自室に向かおうと思ったのだが、姉は咎めるような口調で鈴音に話しかけた。
「また飲みに行っていたの。いつも門限ぎりぎりまで」
 余計なことは言わないで欲しい。
 こっちも姉のことは何も言わないから、適当に遊べばいいのに。しかし、綾音は四角四面に規律を守る代わりに、違反すれすれの鈴音を罰しようとしてくるのだ。
 そういうところが、この姉と仲良く出来ないと思う。
 鈴音はさらりと言い訳をした。
「今日は大学のOBの方と食事会だったの。社会人になる為の、就職活動から教えてもらわないと何も知らないから。私は世間知らずのまま終わりたくないし、うちの会社以外の所に就職したいんだよね」
「っ……」
 そう言うと、綾音には返す言葉もなくなる。今、大学四年生で今年卒業の綾音だが、就職活動はしていない。
 卒業後、すぐに結婚することが決まっているからだ。
「お姉ちゃんはそういうの、しなくていいし分からないだろうけど」
 畳み掛けると、姉は何とも憎々しげに鈴音を睨み付けた。
 それもまた、鈴音には理解が出来ない。
 卒業後に結婚することを受け入れたのは、綾音だ。
 確かに、家同士の約束もあるし婚約者からそのように請われたのかもしれない。しかし、どうしても嫌なら断ることだって出来る。綾音の婚約者がいかに資金を持った有力者だろうが、このご時世に人質のような政略結婚なんてありえないだろう。
 綾音は進んで自己犠牲を選んでおきながら、自分だけが不幸のように振る舞っている。
 嫌なら嫌と主張し、自分のしたいことをすればいいのに。

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