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デキる上司が狙うは恋愛戦力外のシンデレラ

  • 作家涼川凛
  • イラスト上原た壱
  • 販売日2019/12/17
  • 販売価格500円

暗色スーツと銀縁メガネ。自他ともに認める地味スタイルで、転職早々カースト最下層の愛梨。そんな愛梨が任命されたのは、女性社員から圧倒的人気の高倉主任の営業補佐だった! 疎まれるはずのポジションだが、地味すぎてライバル視もされない愛梨。ところがある日、補佐と一緒に行動しないはずの高倉が、愛梨に営業先への同行を求めてきた!? 「この後は時間ある?」同行をきっかけに、勉強と称し食事をするだけの逢瀬を重ねる二人。優しいがスキンシップ強めな高倉に胸をときめかせ、恋心を自覚した矢先に、社内公認の婚約者の存在を知ってしまい!?「結構頑張ってアピールしてたんだけどなぁ」二人の不思議な関係の向かう先は――?

一章 恋愛戦力外女子
 ──早く帰りたいな……。
 夕食を楽しむ客たちで賑わう週末のレストランの中で、園田(そのだ)愛梨(あいり)はお酒をチビリと飲み、そっとため息を零した。
 面前にあるテーブルにはグリルチキンやサラダなど、おつまみ系の料理が彩りよく盛られたお皿と、お洒落なカクテルのグラスが並んでいる。
 お酒は飲めない方ではない。むしろ好きな方で、家でも簡単なおつまみを作って飲むことが多い。勤めているところもアルコール飲料のメーカーである。新卒で入った会社を辞めて、好きなものを扱う会社に再就職できたのはとても幸運なことだった。
 その好きなはずのお酒が楽しめないのは、この場の雰囲気のせいだ。
 同席しているのは同世代の男女数人。みんな楽し気にお話ししているけれど、愛梨はたまにおつまみに手を伸ばす程度で会話に加わることができない。
 女性は愛梨の同僚たち。お洒落な服を着て、美しい笑顔を浮かべて愛想よくしている。
 対する男性たちは一流企業に勤めるエリートな人たちらしく、しわのないスーツをビシッと着こなしており、見た目も高レベルな人たちだ。
 いわゆる合コン。お互いにほんの数十分前に自己紹介をしたばかりの面々で、同僚たちは男性の品定めをしている最中なのだろう。たまに隣同士でひそひそと話をしているのが分かる。
 そんな中で愛梨は、どうやったらこの場を抜けて早く帰れるかと、そればかりを考えていた。
 大人しくて引っ込み思案なうえに、とあることがきっかけで男性が苦手になった愛梨にとっては、合コンは億劫なイベントでしかない。
 普段から誘われることは滅多にないのだけれど、今回はランチタイム時に社員食堂で突然声をかけられたのだった。
「メンバーが足りなくなったから、あなた来て。どうせ暇なんでしょ?」と。
 相手は女子社員の中でも、リーダー的な存在の飯塚(いいづか)真紀(まき)だった。
 とても押しが強い人で、愛梨の知っている範囲内では彼女に逆らっている女子社員など見たことがない。実際に、彼女には逆らわない方がいいと忠告されてもいる。
 それゆえにひと月ほど前に中途入社したばかりの愛梨には断ることができず、そのまま強引に約束させられたのだった。
 けれどいざ来てみれば、男性は四人で女性は五人。人数は愛梨がいなくても十分足りているようだった。
 男性側はひとり都合がつかずに来られなくなったと、男性幹事が最初に謝っていたのだけれど。
 ──だからって、即行で帰るわけにもいかないよね。
 今日愛梨が誘われたのは、メンバーが足りなくなった理由のほかに、みんなの引き立て役になれる最適な人材ということもあると思うのだ。
 いつも真黒な髪をひとつに束ねて銀縁メガネをかけ、メイクは極薄めにしている。おまけに今日の服装はグレーのリクルートスーツという合コンらしからぬ姿である。

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