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わけあって、天敵王子に嫁ぎます!~二泊三日の短期決戦・蜜愛婚!?~

  • 作家高久ややこ
  • イラスト縹智穂
  • 販売日2019/10/18
  • 販売価格400円

バルヒュエット王国の王女・アレクシアは幼い頃、強くなりたいと願う同盟国の王子・ヴィルフリートと出逢い『幸運を招く』と褒め称えられた自らの美しい髪を贈り友人となった。しかし感激したヴィルフリートからの過剰な贈り物攻撃が続いて『とんでもない我が儘王女』という不名誉な悪評が。舞踏会では精悍に逞しく成長したヴィルフリートにいつも付き纏われてばかりで、他の男性から誘われるはずもなく……アレクシアにとって彼は天敵に。そんなヴィルフリートから十八歳の誕生日プレゼントとして贈られたのは白紙の目録!? ちょっと勝気で恋に無自覚な王女アレクシアが少し不器用で一途な天敵王子ヴィルフリートに望んだものは!?

プロローグ
 少女が……アレクシア・グリューネヴァルト・バルヒュエットが、後に彼女が“天敵”認定することとなる『彼』に初めて出会ったのは、六歳の夏だった──。
 それは、大陸の西方地方にあるバルヒュエット王国の女王である母親に連れられ、隣国のヘルムガルド王国に訪れたときのことだ。近年、西方地方での領土拡大を目論むエーディルン公国が近隣の国々を武力で次々と傘下に収めており、バルヒュエット国の女王ダニエラも強い危機感を抱いていた。
 だが、幸運にもバルヒュエット国は勢いづいたエーディルン公国もおいそれとは手を出せない西方地方最大の領土を持つ強国ヘルムガルド王国が隣国であり、初代国王の時代から同盟国として親交があった。そのため、エーディルン公国に侵略されることなく今のところバルヒュエット国は戦のない平和な時間を過ごすことができていた……。
 今回、アレクシアの母親でありバルヒュエットの女王でもあるダニエラ・グリューネヴァルト・バルヒュエットが同盟国ヘルムガルド王国に来た目的は、同盟諸国の国王達が集まりエーディルン公国とその属国の動向と今後の対処を話し合う会議に出席するためだった。だがそれだけではなく、待望の第二子を死産し、深い悲しみに沈む王妃ミネルバを見舞うためでもあった。ミネルバにとって数少ない友人の一人であるダニエラの訪問は大いに喜ばれ歓迎され、時間の許す限り共に過ごすことを彼女は望んだ。
「ダニエラが妾(わらわ)を見舞っている間、あなたにはこの後宮内を自由に散策することを許しましょう、アレクシア姫」
 大人に付き合わせるのも酷だと考え、破格の待遇をミネルバが告げると。
「ありがとうございます、ミネルバ様! 行ってきます、母様!」
 アレクシアは満面の笑みで礼を言い、ドレスの裾を持ちいそいそと部屋を後にした。
 不作法と咎められてもしかたない行動だったが、あまりに愛らしい容姿のせいか、無邪気なさまはかえってその場にいた大人達を微笑ませた。それほどに、アレクシアは可愛らしく……美しい少女だった。
 アレクシアが四歳の時に亡くなった父親は、絶世の美男子と讃えられた中性的な美貌を持つ美しい男で、彼女は父親からその美しさを受け継いでいた。
 幸運を招くと古くから言い伝えられている稀少なストロベリーブロンドの髪に、宝石のように澄んだエメラルドグリーンの瞳。まるで、お伽噺(とぎばなし)に書かれた妖精の国から人の世に迷い込んだ妖精の姫かと思うほど愛らしく……美しかった。
 ふわりとしたシルクのドレスを纏って後宮の回廊を蝶のように軽やかな足取りで進み、アレクシアの住んでいる城壁に囲まれた要塞のような城とはまったく違う、広大かつ壮麗な後宮内を好奇心が赴くまま時間をかけてあちこちと見て回り……。
「そうだわ! お庭にも行ってみましょう!」
 いつの間にか傾き始めた陽が噴水の水を黄金色に煌めかせる庭園へと、アレクシアは……バルヒュエット国の世継ぎの王女アレクシア・グリューネヴァルト・バルヒュエットは向かった。

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