夢中文庫

難攻不落な部長に、けなげな人魚姫は今日もドキドキさせられています

  • 作家田崎くるみ
  • イラスト炎かりよ
  • 販売日2017/12/15
  • 販売価格500円

お前にとって俺がたったひとりの相手だろう――横田紗耶香二十五歳、大手食品メーカー勤務。親友の有住は会社の先輩に溺愛され、もうひとりの親友未知は優しい御曹司と結婚。ふたりとも幸せそうで嬉しい!最高の親友に恵まれ、重要な仕事を任されるようになり張り切る紗耶香。でも完璧な彼女にもコンプレックスが。女性から妬まれ、男性から心ない視線を向けられ嫌な思いをしてきた。それを一蹴したのが七瀬圭司。自分にも他人にも厳しいが部下思いの部長で、紗耶香は入社前から彼のことが大好き。親友に勇気づけられ告白を決意した矢先、七瀬に断れないお見合い話が持ち上がって!?ずっと抑えていた本気の恋心を紗耶香は伝えることが出来る?

YAHOO!JAPANブックストアで購入
BookLiveで購入

片想いの相手
 緊張感が漂う会議室内。私、横田(よこた)紗耶香(さやか)は昨夜遅くまで作成していた資料を片手に同僚たちにプレゼンしていく。
「今回の新商品に関しましては、ターゲット層が若年層ということもあり、SNSに特化したキャンペーンを展開していきたいと考えています」
 私が勤めているのは、会社名を口にすれば誰もが知っている大手食品メーカー。社内研修を経て配属された先は本社、第二販売促進部。
 流通、小売店、代理店向けのプロモーションや、商品の認知度を上げたり、SNSにアップしたり、キャンペーンなどの企画を請け負う部署だ。ここで私はSNSに特化したキャンペーンを担当している。
 配属されて今年でもう三年目。今では責任ある仕事も任されるようになってきた。
 長い髪を後ろできっちりと結び、毎回戦闘態勢で会議に臨んでいる。一通り話し終えると、彼の視線が資料から私に向けられた。
「横田、資料にはRT数に応じて当選数を増やす……とあるが、これで本当に新商品の認知度が上がるのか? ただ単にプレゼント目的で商品を見ず、拡散されて終わりとも限らんぞ?」
 厳しい口調で指摘され、一瞬怯んでしまうもすぐに自分を奮い立たせる。
「はい、たしかにたくさん拡散されたからといって、それが商品の認知度アップに繋がるとは言い切れません。ですが、目を引く画像やキャッチコピーでアップすれば、若年層の目に留まるかと」
「その目を引く画像やキャッチコピーは? 資料には掲載されていないが」
「それは今後、市場調査を重ねて慎重に決定していきます!」
 間髪入れずに言うと彼、七瀬(ななせ)圭司(けいじ)は厳しい目で「早急に決定するように」と言った。けれどこれはゴーサインがもらえたってこと。
「はい、もちろんです!」
 うれしさを噛みしめながら大きく頭を下げた。
 彼は我が第二販売促進部の若き部長。去年まで所属していた、隣の第一販売促進部での、最年少課長としての活躍が認められ、三十四歳の若さで部長に大昇進を果たした。
 自分にも他人にも厳しい人だけれど、仕事ができて指示も的確。だからこそ人望も厚く、部下の些細な変化にも気づき、声をかけてくれて精神面でもしっかりフォローしてくれる。
 おまけに長身で、学生時代スポーツをやっていた身体はガッチリと逞(たくま)しい。今でも週に何度かジムに通ったり、毎日ジョギングを欠かさないとか。
 肩幅が広くて大きな背中に憧れる女性は少なくない。三十五歳で大人の男性の魅力たっぷりで。当然モテる。
 けれど浮いた噂など一切なく、女の影もない。どんなに綺麗で美人な女性に言い寄られても顔色を変えない。だから女性社員はみんな諦めモード。……でも私は違う。そんな彼に入社する前からずっと想いを寄せていた。
「紗耶香聞いたよ~! 紗耶香の考えた企画案が通ったって。すごいね、おめでとう!!」
「ありがとう、有住(ありす)」
 この日の昼休み。一階にある社員食堂をいっしょに訪れていたのは、第一販売促進部に所属しており、私の同期で親友でもある星野(ほしの)有住。お互い仕事のことからプライベートのことまで、なんでも話せる仲だ。
「本当に紗耶香ってすごいよね。同期の女子の中では一番活躍しているんじゃない?」
「えー、そんなことないよ。有住ってば褒め過ぎ」
「ごちそうさまでした」と手を合わせ、トレーを手に立ち上がると、有住も慌てて後を追ってきた。
「本当だよ? お世辞じゃないからね!!」
「わかったよ、ありがとう」
 リスみたいに頬を膨らませてムキになる姿に、和まされてしまう。
 有住は身長百四十五センチと小柄な体型で、正直同い年とは思えないほど可愛らしい子だ。
 私や他人の目からはそう見えるけれど、有住本人はそう思っていない。身長が低いことで昔から嫌な思いをたくさんしてきたようで、背が低いことがコンプレックスとなっていた。
 そう、“なっていた”もう過去形なんだ、有住にとって背が低いことは。だって……。

オススメ書籍

アイツから逃げきれ!

著者朝陽ゆりね
イラストまろ

転職先の専務は小中学時代さんざんからかってくれた男、慶吾だった。マジで?茫然自失の夏帆ではあるが、役員なんだから我慢するしかない。と思っていたら「付き合え」と迫ってくる始末。丁重にお断り申し上げているのに、慶吾はまったく引かない。追い詰められてつい言ってしまった「一週間手を出さなかったら付き合ってあげる」という言葉で、同棲がスタートしてしまう。ここはなんとか逃げ延びて……そこまで思った夏帆は重大なミスに気づいてしまった!この賭けに勝つということは慶吾が我慢できなかったということで、それはつまり関係を持つということ。負けたら交際しなければならない。どっちにしたって苦手な慶吾となんらかの関係になるということで――

この作品の詳細はこちら