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犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

  • 作家田崎くるみ
  • イラスト小島ちな
  • 販売日2018/10/02
  • 販売価格600円

なんでも話せる一番親しい同期として入社時からともに頑張ってきたのに。いつの間にか一歩先にいる櫻井虎に、片岡菊はいつも悔しい思いをしていた。今では、顔をあわせると言い合う「犬猿」の仲。一方、虎は菊の気をひくため仕事に打ち込んだ結果、想定外に彼女からライバル認定されてしまっていた。菊の悔しがる様子に愛しさを感じ、想いを募らせるのだが、彼女は虎以上に素敵な彼氏を作る!と決意してしまう。それを知った虎は「誰にも彼女を渡さない!」と、より目を光らせる。同期会で虎といつものように言い合い、酔いつぶれてしまった菊。目覚めると隣には虎、そして……!?犬猿同期ふたりのジレったい関係が変わりだす。

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『犬猿同期の私と彼』
「うーん……。どの企画案も魅力的だが……」
 部長が企画案を見ながら首を捻る姿に固唾を呑む私、片岡(かたおか)菊(きく)、二十八歳。
 首都圏を中心に、全国に数十店舗展開している老舗の大泉百貨店に入社して六年目になる。
 身長百五十五センチと小柄で、見た目だけではよく可愛らしいイメージを持たれがちだけれど、実際の私は違う。負けず嫌いな性格で、少々言葉遣いが悪い。それは社会人になって、ますます拍車をかけた。
 入社後、本社の販売促進部企画課に配属された。店内催事担当となり、年始の福袋、バレンタイン、ハロウィン、クリスマスといった歳時記に合わせたイベントや、GWや夏休みなど長期休暇の時期に合わせたファミリーイベント等、百貨店で行なわれる催事の企画を発案し、各部署と連携して実施に向けてプロモーションしている。
 都内にある十五階建てのビルが、私の勤め先である大泉百貨店の本社だ。そこの十階で午後、大きな窓からあたたかな日差しが差し込む会議室内では、企画会議が行われていた。
 私をはじめ、各自のプレゼンが終わり、あとは販売促進部企画課部長の最終判断を待つ室内は、異様な緊張感に包まれていた。
 大丈夫、今回の企画案は自信がある。今度こそあいつに勝てるはず。
 ドクン、ドクンと脈打つ心臓を落ち着かせるように胸に手を当てて、深呼吸をする。
 そして目の前の席で余裕な顔をして部長を見つめる彼、櫻井(さくらい)虎(とら)を見据えた。私が誰よりも負けたくない相手。例え自分の企画案が選ばれなくてもいい。あいつのが採用されなければ……!
 お願いします部長、どうかあいつの企画案だけは採用しないでください!
 祈りながら部長の答えを待つ。けれど少しして企画案から私たちに目を向けた部長の口から出たのは、「うん、今回も櫻井のでいこう」だった。
「やっぱり今回も櫻井だったかー」
「仕方ないですよ。櫻井主任の、誰が見てもよかったですもん」
「才能あるやつは違うよな」
 口々にあいつを褒め称えながら会議室を出ていく同僚たちを尻目に、私はいまだに座ったまま動けずにいた。
 デスクにある自分の企画案をボーっと眺めてしまう。
 今回は自信があったのにな。いつからだろう、あいつに勝てなくなったのは。
 呆然としていると、突然私の肩に大きな手が触れた。
「悪いな、片岡。また俺の企画が採用されてお前の努力が無駄になっちまって」
 声を掛けてきた相手は、悪びれた様子など皆無で、むしろ面白がっているようにも見える。いや、見下されている気がしてならない。
「まぁ、次があるさ」
 なんて言いながら憐みの眼差しを向ける彼にイラッとし、私は思いっきり自分の肩に置かれている手を払い除けた。
「うるさい櫻井のバカ! いつも言っているでしょ!? 会議の後は話し掛けてこないでって!」
 勢いよく立ち上がり、櫻井を残して会議室を後にした。
 櫻井とは同期で、唯一企画課に共に配属され、同期の中では一番親しい存在だった。……そう、“だった”なんだ。
 入社したての頃は、右も左もわからない者同士、切磋琢磨してきたというのに、いつの間にか実力に差が出はじめ、今では彼は私の上司。主任の職に就いている。
 櫻井は身長百七十五センチの長身でスタイルもいい。サラサラの黒髪から覗く瞳は切れ長の二重で、整った顔立ちをしている。
 最初はなんてカッコいい子だろうって思った。同い年とは思えないほど大人びて見えたし。
 でも意外と気さくな性格で人懐っこいことを知り、気兼ねなく話せるようになった。
 今ではなんでも言い合える関係になっている。だからこそ毎回自分の企画ではなく、櫻井の企画が採用されるたびに、負けず嫌いな性格が災いして悔しい思いをしていた。
 するといつからか、櫻井が私のことをからかうようになった。それがまた悔しくて私は先ほどのように、子供じみた態度をとってばかり。
 本当はちゃんとわかっている。自分に実力がないからだって。櫻井に対して苛々(いらいら)するのは的外れだって。
 それでも毎回わざとらしく声を掛けられたら、どうしてもムカムカしてしまうんだ。

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