夢中文庫

年下隠れオオカミにロックオンされました

  • 作家田崎くるみ
  • イラスト海月あると
  • 販売日2019/01/25
  • 販売価格400円

仕事への厳しさと見た目で近寄りがたい印象を持たれがちな速水奏は、実は女の子らしい可愛いものが大好き。しかし、他人の目に映る自分を気にしてその事を隠している。そして最近同じ部署に異動してきた後輩・榊航平は分厚いレンズの眼鏡で冴えない見た目だが、仕事ぶりは誰よりも真面目。教育係の奏は彼に好感を抱いていた。ある日、可愛いキャラクターの誘惑に抗えない奏は、大量にグッズを購入し併設カフェで寛いでいるところを榊に目撃されてしまう。意外だと驚かれはしたが「そのギャップに惹かれる」と、彼はふたりきりの時だけ迫るようになって──榊も冴えないようで何かを隠している?と感じつつ、惹かれる奏。久しぶりに恋の予感!?

『年氏のカレが気になるんです』
 女の子なら誰だって、可愛いものに興味を抱くはず。私もそうだった。
 可愛いぬいぐるみ、グッズ、スイーツetc……。それらすべてに目がなかった。
 それなのにいつからだろう。好きなものを好きと堂々と言えなくなったのは。……自分を偽るようになったのは。
 夕陽が差し込む夕方のミーティングルーム。私、速水(はやみ)奏(かなで)の書類をめくる音だけが異様に響いていた。
 そしてそんな私の様子を、固唾を呑んで見守る部下たち。
 それぞれのプレゼンテーションを聞いた後、企画書すべてに目を通し総合的に判断していく。
 背中まである髪を耳にかけて、視線を企画書から部下たちに向けると、一気に顔が強張ったのがわかる。だけど、どんなに厳しいことだろうと、伝えるのが私の仕事だ。
「この万年筆のターゲット層は働く女子になっているけど、インパクトが弱いと思う。それに類似商品がないか、しっかりリサーチした? 私、同じようなものを最近、文房具店で見たわよ? もっとキャッチーなデザインを入れるなど、改善して今週中に提出してください」
 その後も部下たちの上げた企画書に対し、容赦なく改善点を告げていく。
「それでは、以上で企画会議を終了します。次回は来週に予定しておりますので、よろしくお願いします」
 撃沈している部下を残し、自分の荷物をまとめてミーティングルームを後にした。
 ここは『株式会社ヒカリ』。大手文具会社『ニイノ』から十年前に設立された新しい子会社だ。
 文具類全般を取り扱っているニイノに対し、ヒカリはシリーズものに特化した会社だ。
 ウサギをモチーフにした『ウサマルコシリーズ』が我が社の看板商品。数々の商品展開をしている。
 ウサマルコと高校生の時に出会い、すっかりファンになった私は念願叶ってヒカリに入社できたものの……。
 私が配属されたのは、シンプルで洗練されたデザインのものを企画、開発、販売する第二企画営業部だった。主に大人向けステーショナリーを扱っている。万年筆やペーパーナイフ、ガラスペンなどだ。
 希望していたのは、ウサマルコグッズを扱う、第一企画営業部だったのに。現実はうまくいかなかった。
 ちなみに他に学生向けのステーショナリーを扱う第三企画営業部がある。
 けれど、実績を積めばいつか希望の部署に異動できるかもしれない。そんな淡い期待を抱いていたものの、入社して間もなく驚愕の事実を知る。
 我が社では、よほどの理由や問題を起こさない限り、部署異動はないと。
 それでも一筋の光を信じて、無我夢中で仕事に取り組んできた。
 その甲斐あってか、入社五年目の昨年に主任に昇進。二十八歳になった今も、第二企画営業部の主任として働いている。現在、異動できる確率はほぼ皆無だ。
 オフィスに戻る途中にある、ウサマルコグッズで溢れている第一企画営業部前で足が止まる。
 ガラス窓越しに見えるオフィス内では、社員たちが和気あいあいとした雰囲気の中、楽しそうに仕事をしている。
 今の仕事は仕事で、遣り甲斐がある。けれどやっぱり私もあの輪の中に入りたかったな。大好きなウサマルコのグッズを手掛けたかった。
 ため息ひとつ零して再び歩を進めた時、背後から声を掛けられた。
「速水、お疲れ。企画会議は無事に終わったようだね」
 にこやかに手を挙げてこちらに向かって来るのは、第二企画営業部の青山(あおやま)課長だった。
 創設間もない我が社の平均年齢は比較的若い。重役たちも四十代が中心だ。青山課長も三十三歳だし。
 気さくな人で、人望も厚い。……私とは正反対の人だ。

オススメ書籍

難攻不落な部長に、けなげな人魚姫は今日もドキドキさせられています

著者田崎くるみ
イラスト炎かりよ

お前にとって俺がたったひとりの相手だろう――横田紗耶香二十五歳、大手食品メーカー勤務。親友の有住は会社の先輩に溺愛され、もうひとりの親友未知は優しい御曹司と結婚。ふたりとも幸せそうで嬉しい!最高の親友に恵まれ、重要な仕事を任されるようになり張り切る紗耶香。でも完璧な彼女にもコンプレックスが。女性から妬まれ、男性から心ない視線を向けられ嫌な思いをしてきた。それを一蹴したのが七瀬圭司。自分にも他人にも厳しいが部下思いの部長で、紗耶香は入社前から彼のことが大好き。親友に勇気づけられ告白を決意した矢先、七瀬に断れないお見合い話が持ち上がって!?ずっと抑えていた本気の恋心を紗耶香は伝えることが出来る?

この作品の詳細はこちら